すべての季節で美しい... 田んぼの中にポツンと佇む「荒神神社」の四季に反響
2022年12月6日、岩手県の遠野市立博物館の公式アカウント(@tonomuseum)から、次のようなツイートが投稿され、注目を集めている。
荒神様の四季
— 遠野市立博物館 (@tonomuseum) December 6, 2022
遠野市青笹町 pic.twitter.com/2iuDN2UlGP
田んぼの中に佇む、古びたお社だ。屋根は茅葺きのように見える。「荒神様の四季」というコメントが添えられているとおり、春夏秋冬、四季それぞれの光景が見事に切り取られている。
水田に青空が反射する春、青々と育った稲が一面に広がる夏、それが黄金色に染まる秋、そして、灰色の空から白い雪が舞う冬。「日本の原風景」なんて言葉が浮かんでくるような、1年を通して美しく、どこか懐かしい場所だ。
ここは、遠野市青笹町という場所らしい。
遠野市といえば、柳田國男著『遠野物語』の舞台であることであまりにも有名だ。民話のふるさととして知られる場所に、まさにピッタリな風景ではないか。
多くの人がこの光景に感動したようでツイートには3500件以上の「いいね」(12月9日現在)のほか
「素敵なところですよね。今度は夏にも伺いたいです」
「ビデオカメラを置いて一年間ずっと録画したい」
「しんどくても米作りを続けてるのはこの風景を絶やしたくないという思いがあるからなんだよね。田植え直後の写真が一番萌える」
といった声が寄せられている。
Jタウンネット記者は、遠野市立博物館に電話して、この場所の魅力を聞いた。
四季を通して美しい「遠野遺産」
Jタウンネット記者の取材に応じたのは、遠野市立博物館の担当者だった。
田んぼの真ん中にあるお社は、遠野市青笹町中沢に古くからある荒神神社。地元の人からは荒神(あらがみ)様と呼ばれ、荒ぶる神様として地域の人々の信仰を集めているという。
「田んぼに映る姿が見られる春の光景。夏の青田、秋の黄金色の稲穂も、見事です。冬は真っ白な雪景色となり、四季を通して美しい風景が撮れる、知る人ぞ知る撮影スポットで、『遠野遺産』に選定されています。
民話関連の遠野市内観光地からは少し離れているのですが、ぜひ一度訪れていただきたいとおすすめしています」(遠野市立博物館担当者)
遠野のキャッチフレーズは「永遠の日本のふるさと遠野」。岩手県東南部に位置する市で、古来より内陸部と沿岸部を結ぶ交易の拠点で、多くの物資や人々が集まる中継地として賑わってきた。内陸の盛岡・花巻から、沿岸の釜石・大槌に至る、ちょうど中間点にあたる。江戸時代には遠野南部氏の城下町として栄えたという。
昔ながらの風景や行事が今でも残っており、市ではそれら遠野の「たからもの」を、「遠野遺産」に認定し、未来に伝えていこうとしている。
祈りと生業とが一体となった風景
荒神神社では、地元の人々が豊作祈願などを行ってきたと言われている。博物館のツイートによると「人々の祈りと生業とが一体となった遠野を代表する景観」。
その生活は、現代においても営まれている。
「遠野市中心部からは離れているため、現地には車でお出かけください。荒神神社付近に『遠野遺産』の看板がありますので、そこから撮影していただき、お社(やしろ)と、その後ろに見えるご神木、櫟(いちい)の木、周囲の農地は、個人所有地となっていますので、けっして近づかないようにお願いします」(遠野市立博物館担当者)
遠野に行ったことがない人でも「懐かしさ」を感じる風景が、そこでは守られている。
車を借りて「遠野遺産」を巡る旅というのも、良さそうだ。
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