【高校無償化】国が行う高等学校就学のための支援制度(2020年度版)
リセマム2019年12月19日(木)9時15分
2019年度現在、公立高校の授業料は「公立高等学校授業料無償制」によって年収910万円未満の世帯(*)では無償化されており、「高等学校等就学支援金制度(旧制度)」によって、私立高校に通う生徒に対しても授業料の一部が支援されている。
2020年4月より新たな「高等学校等就学支援金制度」が導入され、私立高校等に通う生徒の「就学支援金」の上限が、私立高校の平均授業料の金額まで引き上げられることになった。これにより、世帯所得によっては、私立高校に通う子どものいる世帯においても実質的な「高校無償化」が実現されることになる。
しかし、在住している自治体によって独自の就学支援制度を策定しているところもあり、その併用の可否なども異なるため注意が必要だ。
そこでリセマムでは、複雑なこれら「高校生向けの就学支援制度」について整理する。この記事ではまず、国が行う2つの支援制度、「高等学校等就学支援金」と「高校生等奨学給付金」について解説する。
*掲載している年収のモデル世帯は両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合を想定。以下、記載する年収については同様のモデル世帯を想定して換算。
国が行う支援の仕組み
2020年4月に、現行の制度が見直され実施される国の仕組みが「高等学校等就学支援金」と「高校生等奨学給付金」だ。これらは返還金不要の支援で、上限額の引き上げは、現在、就学支援金の対象となっている学校に適用され、引き上げ後の支給額は在校生(2020年度以前に入学した生徒)にも適用される。
ではまず「高等学校等就学支援金」からみていく。
高等学校等就学支援金
「高等学校等就学支援金」は全国の約80%の生徒が利用している、国が行う授業料支援の仕組みだ。支援される学校種は高等学校、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(1~3年生)など。年収約910万円未満の世帯が対象となる。これは、公立高校・私立高校いずれの高校に通う場合でも変わりはない。
子が公立高校に通う場合は今までと同様である。年収910万円未満であれば公立高校の年間授業料に相当する11万8,800円が支援される。ただし、公立高等学校(定時制)や公立中等教育学校の後期課程(定時制)などのように、授業料がこの金額に達しない場合は、授業料を限度として就学支援金が支給される。
2020年4月に変更があるのは、年収590万円未満で子が私立高校に通う世帯への支援額だ。現在、270万円未満の世帯への支援額は29万7,000円、270万円以上350万円未満の世帯で23万7,600円、350万円以上590万円未満の世帯で17万8,200円となっている。これが2020年4月以降、引き上げ後の支援額が「私立高校の平均授業料を勘案した水準」に変わる。ちなみに、私立の全日制高校の2018年度の年間平均授業料は約40万円である。年によっては若干の増減はあるものの、おおよそ40万円程度。都道府県による差もあり、たとえば2018年の東京都の年間授業料平均は45万5,345円だった。
文部科学省「高校生等への就学支援リーフレット(令和元年8月)」より全日制私立高校の場合の支援額
申込みは学校を通じて行う。入学時の4月など、手続きが必要な時期に学校から直接案内があるため、案内が届いたら必ず確認してほしい。
「高校生等奨学給付金」
ちなみに2018年度の私立高校の初年度納付金の平均額は、文部科学省が2018年12月26日に発表した「平成30年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」によると合計73万0,986円。授業料(39万9,152円)のほかに、入学金16万3,272円、施設整備費等16万8,562円が必要となる。
「高校生等奨学給付金」は、教科書費や教材費など授業料以外にかかる教育費支援の仕組みだ。
こちらは生活保護世帯、住民税所得割非課税の世帯が支給対象で、支援される学校種は「高等学校等就学支援金」と同様だが、特別支援学校は除かれる。そのかわり、特別支援学校については「特別支援教育就学奨励費」による支援がある。
支給される目安としては、収入が約270万円未満の世帯。約3万円から14万円が支給される。「高等学校等就学支援金」と両方が利用できる。
各都道府県の就学支援制度についてのWebサイト
高校生の就学支援については、国の助成のほか、各都道府県独自の制度を運用しているところもあり、国の制度との併用が可能なこともある。
以下に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、愛知県、北海道、福岡県の独自の私立高校就学のための助成金が記載されているWebサイトについてリストアップする。(*12/20追記 文部科学省より都道府県別私立高校生への授業料等支援制度が公表となった。平成30年度の支援金額が各都道府県別にグラフで示されている。なお、適用要件等の詳細は各都道府県の教育庁・教育委員会が発表している情報を参考にしてほしい)
●東京都
授業料軽減助成金のお知らせ
●神奈川県
私立高等学校等生徒学費補助金について
●千葉県
千葉県私立高等学校等奨学のための給付金(高校生等奨学給付金)
●埼玉県
私立学校の父母負担軽減事業について
●大阪府
平成31(2019)年度以降に入学する皆さんへの授業料支援制度について
●兵庫県
高校生等に対する修学支援制度ガイドブック
●北海道
教育費の負担軽減について
●愛知県
愛知県授業料軽減補助金(高等学校)
●福岡県
就学支援・奨学金等
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Q3,2020年4月より施行された「高等学校等就学支援金」制度は○○○○○料支援をする仕組み。
(ヒント:本記事を読んで【ひらがな5字】で答えてね)
回答してスタンプGET(スマホからのみ)
2020年4月より新たな「高等学校等就学支援金制度」が導入され、私立高校等に通う生徒の「就学支援金」の上限が、私立高校の平均授業料の金額まで引き上げられることになった。これにより、世帯所得によっては、私立高校に通う子どものいる世帯においても実質的な「高校無償化」が実現されることになる。
しかし、在住している自治体によって独自の就学支援制度を策定しているところもあり、その併用の可否なども異なるため注意が必要だ。
そこでリセマムでは、複雑なこれら「高校生向けの就学支援制度」について整理する。この記事ではまず、国が行う2つの支援制度、「高等学校等就学支援金」と「高校生等奨学給付金」について解説する。
*掲載している年収のモデル世帯は両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合を想定。以下、記載する年収については同様のモデル世帯を想定して換算。
国が行う支援の仕組み
2020年4月に、現行の制度が見直され実施される国の仕組みが「高等学校等就学支援金」と「高校生等奨学給付金」だ。これらは返還金不要の支援で、上限額の引き上げは、現在、就学支援金の対象となっている学校に適用され、引き上げ後の支給額は在校生(2020年度以前に入学した生徒)にも適用される。
ではまず「高等学校等就学支援金」からみていく。
高等学校等就学支援金
「高等学校等就学支援金」は全国の約80%の生徒が利用している、国が行う授業料支援の仕組みだ。支援される学校種は高等学校、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(1~3年生)など。年収約910万円未満の世帯が対象となる。これは、公立高校・私立高校いずれの高校に通う場合でも変わりはない。
子が公立高校に通う場合は今までと同様である。年収910万円未満であれば公立高校の年間授業料に相当する11万8,800円が支援される。ただし、公立高等学校(定時制)や公立中等教育学校の後期課程(定時制)などのように、授業料がこの金額に達しない場合は、授業料を限度として就学支援金が支給される。
2020年4月に変更があるのは、年収590万円未満で子が私立高校に通う世帯への支援額だ。現在、270万円未満の世帯への支援額は29万7,000円、270万円以上350万円未満の世帯で23万7,600円、350万円以上590万円未満の世帯で17万8,200円となっている。これが2020年4月以降、引き上げ後の支援額が「私立高校の平均授業料を勘案した水準」に変わる。ちなみに、私立の全日制高校の2018年度の年間平均授業料は約40万円である。年によっては若干の増減はあるものの、おおよそ40万円程度。都道府県による差もあり、たとえば2018年の東京都の年間授業料平均は45万5,345円だった。
文部科学省「高校生等への就学支援リーフレット(令和元年8月)」より全日制私立高校の場合の支援額
申込みは学校を通じて行う。入学時の4月など、手続きが必要な時期に学校から直接案内があるため、案内が届いたら必ず確認してほしい。
「高校生等奨学給付金」
ちなみに2018年度の私立高校の初年度納付金の平均額は、文部科学省が2018年12月26日に発表した「平成30年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」によると合計73万0,986円。授業料(39万9,152円)のほかに、入学金16万3,272円、施設整備費等16万8,562円が必要となる。
「高校生等奨学給付金」は、教科書費や教材費など授業料以外にかかる教育費支援の仕組みだ。
こちらは生活保護世帯、住民税所得割非課税の世帯が支給対象で、支援される学校種は「高等学校等就学支援金」と同様だが、特別支援学校は除かれる。そのかわり、特別支援学校については「特別支援教育就学奨励費」による支援がある。
支給される目安としては、収入が約270万円未満の世帯。約3万円から14万円が支給される。「高等学校等就学支援金」と両方が利用できる。
各都道府県の就学支援制度についてのWebサイト
高校生の就学支援については、国の助成のほか、各都道府県独自の制度を運用しているところもあり、国の制度との併用が可能なこともある。
以下に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、愛知県、北海道、福岡県の独自の私立高校就学のための助成金が記載されているWebサイトについてリストアップする。(*12/20追記 文部科学省より都道府県別私立高校生への授業料等支援制度が公表となった。平成30年度の支援金額が各都道府県別にグラフで示されている。なお、適用要件等の詳細は各都道府県の教育庁・教育委員会が発表している情報を参考にしてほしい)
●東京都
授業料軽減助成金のお知らせ
●神奈川県
私立高等学校等生徒学費補助金について
●千葉県
千葉県私立高等学校等奨学のための給付金(高校生等奨学給付金)
●埼玉県
私立学校の父母負担軽減事業について
●大阪府
平成31(2019)年度以降に入学する皆さんへの授業料支援制度について
●兵庫県
高校生等に対する修学支援制度ガイドブック
●北海道
教育費の負担軽減について
●愛知県
愛知県授業料軽減補助金(高等学校)
●福岡県
就学支援・奨学金等
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Q3,2020年4月より施行された「高等学校等就学支援金」制度は○○○○○料支援をする仕組み。
(ヒント:本記事を読んで【ひらがな5字】で答えてね)
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