新加入MF藤井智也が感じた湘南ベルマーレの魅力とは【2025新体制発表会】

2025年1月14日(火)14時0分 FOOTBALL TRIBE

2025シーズン新体制発表会 湘南ベルマーレ 写真:今﨑新也

明治安田J1リーグ所属の湘南ベルマーレは1月11日、ひらしん平塚文化芸術ホール(神奈川県平塚市)にて2025シーズン新体制発表会を開催。新ユニフォームや新加入選手などを発表した。


ここでは、現地取材で得た湘南MF藤井智也のコメントを紹介する。昨年まで鹿島アントラーズに在籍し、完全移籍という形で湘南に加わった同選手が抱いた新天地への印象とは。この点を中心に取り上げる。




藤井智也 写真:今﨑新也

「戦い方がブレないチーム」


2021年より指揮を執っている山口智監督のもと、湘南は昨年7月に公式戦4連勝を達成。同年9月のJ1リーグでは、本拠地レモンガススタジアム平塚にて当時藤井が在籍していた鹿島と対戦している。この試合では鹿島に2点を先取されたものの、前半アディショナルタイムと後半の2ゴールで逆転勝利(最終スコア3-2)。J1リーグ残留へ弾みをつけた。


この試合に鹿島の一員として途中出場し、湘南の選手たちのプレーをピッチ上で体感した藤井は、今回の新体制発表会終了後に筆者の取材に応じている。一貫性のある湘南の戦いぶりに魅力を感じたようだ。


ー連勝していた時期の湘南について、思っていたことを教えてください。


「僕ら(鹿島)がアウェイで湘南と戦ったときは、2点リードしたので『これは勝ったな』と思った試合でしたけど、僕が出場する頃には2-2の同点になっていました(実際には、藤井が出場した後半25分時点で3-2)。戦い方がブレないチームだなと思いましたね」


ーどの点において、ブレの無さを感じましたか。


「やることが変わらないんですよね。負けているから(大雑把にロングボールを)蹴るとか、(最前線にロングパスを)放り込むとかではなくて、自分たちがやりたいパス回し、(敵陣の)中央を崩すというのを軸に置きながらあの試合で逆転しています。負けている試合だと、普通はハイボールを蹴ってこぼれ球を狙いたいとか、戦い方を変えたいなとか考えるんですけど、こうしたブレが湘南にはない。そういうチームは強いなと思いました。監督が目指しているサッカーを全員が理解している。そういう意味で、(対戦相手として昨年の湘南は)嫌でしたね」




湘南ベルマーレ 写真:Getty Images

昨シーズン序盤の低迷の原因は


2024シーズンのJ1リーグを15位で終えた湘南。シーズン序盤は[4-4-2]と[3-1-4-2]の2つの布陣を使い分けており、GKや最終ラインからロングボールを蹴る場面が多かった。


自陣でボールを失うリスクを回避する意図が窺えたものの、ロングパスの送り先が主に相手センターバックの手前や背後であったため、相手チームとしては対応が容易に。ロングパスが相手センターバックの背後へ落ちたとしても、相手GKが飛び出して対応しやすい。また、ロングパスが相手センターバック手前に落ちてこれを弾き返された場合、このボールがそのまま相手チームの速攻や中央突破に繋がりかねない。昨シーズン序盤の湘南は、まさにこの現象に陥っていた。


ロングパスの送り先は相手にボールが渡ったとしても速攻に直結しにくく、相手GKとしても飛び出しづらいサイドバック(ウイングバック)の背後に設定するのが得策と言える。相手サイドバックの体の向きを変え、楽な体勢でクリアできないようなロングパスを攻撃の初手とするのが理想的だが、昨シーズン序盤の湘南はこのセオリーに反する攻撃を連発していた。


また、基本布陣[4-4-2]のサイドバックや[3-1-4-2]のウイングバックがタッチライン際かつ低い位置(味方センターバックとほぼ同列の位置)でボールを受けることにより、その後のパスコースが無くなる場面がしばしば。サイドバックやウイングバックがここでボールを受けた場合、自身の傍にはタッチラインがあるため、パスコースが必然的に180度方向に限られる。これに加えサイドバックが相手選手の寄せを浴びれば、その後のパスやドリブルの成功率は極めて低くなる。ロングパスの送り先や攻撃配置の悪さが災いし、湘南は昨年2月から6月のリーグ戦で僅か3勝と、極度の成績不振に陥った。


2025シーズン新体制発表会 湘南ベルマーレ 写真:今﨑新也

夏場に整った攻撃の基盤


湘南のGKや最終ラインからのパス回しが安定し始めたのは、第18節名古屋グランパス戦の後半や第19節FC東京戦あたり。基本布陣[3-1-4-2]のウイングバックが安易に自陣後方や味方センターバック付近へ降りなくなったこと、そして3センターバックも極力ペナルティエリアの横幅から出ない立ち位置をとり、外側と内側(左右)どちらにもパスを出せる状況を作ったこと。こうした攻撃基盤が出来上がったことが、昨年7月の公式戦4連勝に繋がった。


最終スコア5-0で大勝した7月14日の第23節ジュビロ磐田戦でも、MF鈴木淳之介、DFキム・ミンテ、DF髙橋直也による3バックは概ねペナルティエリアの横幅に収まる立ち位置をとり、中央とサイドどちらにもパスを出せる状態を維持。これによりパスコースを限定しきれなかった磐田陣営の守備の出足は遅れていた。


磐田戦では池田昌生と茨田陽生の両MF(2インサイドハーフ)が早いタイミングで相手最終ラインと中盤の間へ立ち位置を移したため、攻撃配置が[3-1-6]に近い形となっていたが、試合を重ねるごとに湘南最終ラインと2インサイドハーフの距離感は良い塩梅に。相手のボランチ(守備的MF)やサイドハーフの斜め後ろに立ち、味方の縦パスを引き出すのが得意な池田と茨田の活躍により、湘南は昨年7月10日の天皇杯3回戦(東京ヴェルディ戦)以降も連勝を飾る。同年8月には当時J1リーグ首位に立っていた町田ゼルビアの堅守をも打ち砕いている。一時はJ2リーグへの降格危機に瀕したものの、湘南は7月以降の連勝と前述の鹿島戦からの4連勝で勝ち点を稼ぎ、J1残留を果たした。


新加入の藤井も魅力に感じている、昨夏の攻撃基盤を今季に活かせるかが、湘南の浮沈の鍵を握ることは言うまでもない。配球力が高いMFゼ・ヒカルド(川崎フロンターレから期限付き移籍)や、Jリーグ屈指の俊足を誇る藤井が湘南のパスワークに馴染めるか。この点も見どころのひとつだ。

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