コレア、F2スパでの大クラッシュを振り返る「アントワーヌの死を知らされた時が最もつらかった」
2020年1月31日(金)18時46分 AUTOSPORT web
2019年にFIA-F2に参戦していたファン-マヌエル・コレアは、第9戦スパ・フランコルシャンで発生した大クラッシュにより重傷を負った時の状況、そしてFIAのスタッフからのサポートがなかったことなどを明かした。
コレアとフランス人ドライバーのアントワーヌ・ユベールは、第9戦のレース1で発生した多重クラッシュの巻き添えとなった。ユベールは事故後に死亡が確認され、コレアは両足を複数箇所骨折したほか、軽度の脊椎損傷を負った。
その後肺の合併症を起こしたコレアは一度人工的な昏睡状態に置かれ、急性呼吸不全の症状からの回復を優先させたために、両足を危険な状態から救うための手術も延期された。
「事故については、僕がマシンから脱出して鎮痛剤を投与されるまでのことは覚えている」と、コレアはドイツの『RTL/n-TV』に対して語った。
「その後ベルギーの病院に搬送されて、僕は翌日まで目が覚めなかった。それから自分の足を見て、どれほどひどい状態かが分かったし、とにかく激痛に襲われていた」
「でも一番つらかったのは、アントワーヌが亡くなったと知らされたときだ」
コレアは、この事故の直後に自分はFIAから何の医療支援も受けられなかったと語り、彼の症状への対応を迫られていたリエージュの医師団に対して、FIAが専門的な医療知見をサポートできたはずだと示唆した。
「事故の翌日には全員が次のモンツァに向けて出発してしまったけれど、僕はその病院に残された。その4日後には死にかけたほどだったけれど、FIAかその関係者に面倒をみてもらうことはなかった」
「死にかけたのは、あれほどひどいクラッシュで、強いGを受けたからだ。ベルギーの病院の医師団は、あんなに強い衝撃を受けてなんとか生きている僕の状態について、どういうことだか分からなかったと思う」
■ユベールの両親からのメッセージが最大の励みに
コレアの両親は、息子の窮状に際して即座に手を打った。空路で彼をロンドンの病院に搬送して、両足を守るための複数回の大手術を受けさせたのだ。
現在彼はマイアミの自宅に戻り、ケガの状態も快方に向かっている。しかし今後も、体の動きを取り戻すためのリハビリには長い期間を要するとみられる。『将来レースに復帰できるのか?』という問いに対して、コレアは必ず復帰を果たすという強い決意を口にした。
「僕は復帰できる。ただ、いつになるのかは予測できない」
「とても複雑なケガを負ったから、今後どういうことが起きるのかが分からないんだ。それによっては復帰が5カ月早まるかもしれないし、5カ月遅れるかもしれない」
「たとえ2年かかっても、僕は必ず復帰する。その気持ちは揺るがないよ」
復帰への道のりにおいて、ファンやモータースポーツ関係者からは支援が続いている。しかし、コレアにとって最も大きななぐさめになったのは、ユベールの遺族からのメッセージだったという。
「息子を失ったわずか数週間後、ご両親が僕宛てのメッセージを病院に届けてくれたんだ。手術がうまくいくように祈っているという内容だった」
「とてもうれしかったし、僕にとってはこの応援が本当に励みになった」