フェラーリF1リザーブ就任の周冠宇。2024年はザウバーのペース不足に「希望を失っていた」と吐露

　2022年シーズンより、3年間ザウバーのドライバーを務めた周冠宇は、2025年はスクーデリア・フェラーリのリザーブドライバーとなることが決まった。2024年を終えてザウバーのシートを失っていた周は、スイスのチームで過ごしたF1キャリアを振り返るなかで、昨季後半に自信を喪失していたことを明かし、一方で自身が成し遂げたことには強い誇りを持っていると語った。

　彼はそのうちのハイライトについて、幼い頃に初めてF1レースを見たまさにその場所でレースを戦った、昨年の中国GPに出場したことだったと語っている。

　周は母国のメディアに対し、「中国人F1ドライバーとなるだけで、僕はレガシーを残したんだ」と語ったが、それは「もし僕がF1に復帰できなければ、今後10年のうちに新たな中国人ドライバーは現れないかもしれない」という意味での言葉だった。

　F1での3シーズンを経て、周は中国出身ドライバーとして初めてグランプリレースに参戦したという功績を、今でも非常に誇りに思っている様子で、「自分が最初のひとりになれたこと、そして若者たちへの刺激の源になれたことをとても光栄に思う。大きなプレッシャーではあるが、最高の名誉だ」と続ける。

　現在の中国では、モータースポーツ自体がいまだにニッチなスポーツだと認識されているが、上海出身の周は、「たとえ中国にいる皆がこのスポーツを強くフォローしていなくても、僕はまだまだレースで素晴らしいパフォーマンスを発揮できるということを感じてもらいたい」とし、母国のファンへ自身の才能を伝えるさらなるチャンスを願っている。

　F1での3シーズンのハイライトを振り返るにあたって、周はふたつの瞬間を選ぶことに迷いはない。

「もちろん、2022年にバーレーンで開催された僕の最初のグランプリは、決して忘れられない週末になるだろう」

「それは夢の集大成であり、多くの困難と努力の結晶だった。初めてのグランプリでポイントを獲得できて、夢に見ていた以上に報われたし、それ自体が大きな成果だ」

　そしてもちろん、昨年の中国GPに出場したときが「人生でもっとも感動的な瞬間だった」と続ける。

「家族やファンの前でレースをするのがずっと夢だったが、渡航制限のためにF1での最初の2シーズンは上海でレースが開催されず、ホームサーキットでレースができないことに苛立ちを感じていたんだ」

「昨年になってようやくチャンスが訪れたが、残念ながらシーズン序盤の僕たちのマシンは一番遅かったので、中団で戦うことができなかった」

「でも、レーストラックに出るたびにファンから受けた歓迎と、レース終了後の彼らのサポートは一生忘れられない思い出だ」

　2024年のザウバーがもっともパフォーマンスの低いチームだったことは、結果として明らかになってしまった。さらにマシンの速さだけでなく、最初の5レースでは許し難いピットストップの問題が起こり、バルテリ・ボッタスと周は数少ないチャンスを奪われてもいた。

　そして、ピット作業の問題が解決しはじめた頃には、すでに中団のライバルチームはさらに速いマシンを手にしており、周がわずかなポイントを獲得できたのはシーズン終盤になってからだった。そのため周は、「忘れたいシーズンだった」とためらうことなく語り、次のように当時の心境を明かした。

「マシンのスピードという点では、最初こそ順調に思えていた。しかし、ピットストップの問題が解決した後、気づけばグリッド上でもっとも遅いマシンに乗っていた」

「以降、その期間が長く続いたため、マシンのスピードに苦しむと同時に、将来への希望を失っていた」

　2025年のシートがない周が『F1に戻りたい』と願っていることは間違いなく、その想いを彼は「まだ自分の潜在能力を最大限に発揮できていない」と言葉にする。最後には、F1へ戻るための意志を示して締めくくった。

「僕は今も将来に向けて取り組んでいるし、グリッドにはルーキーがたくさんいるので、何が起きてもおかしくない。いつだって自分は対応できるし、どんなチャンスでもつかむ準備ができているよ」

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