ウラカンGT3『エボ2』の導入はいつ? ポテンシャルアップに大きな期待を寄せるJLOC

2023年2月8日(水)14時48分 AUTOSPORT web

 2月7日、富士スピードウェイで始まったGTエントラント協会が主催するGT300専有走行。昨年、スーパーGT・GT300クラスに2台のランボルギーニ・ウラカンGT3エボで参戦したJLOCは、今回の2日間の専有走行には88号車1台のみを持ち込んだ。


 世界的に見れば、1月のIMSAデイトナ24時間レースで2度目のエボルーションモデルとなる“エボ2”がデビューしたばかりのウラカンGT3だが、日本のスーパーGTでもこの新バージョンを見ることはできるのだろうか。2023シーズンへの展望と合わせ、則竹功雄JLOC代表に富士で話を聞いた。


■「フラストレーションが溜まった」2022年の“収穫”


 今回の走行でのドライバーは、2022年に88号車Weibo Primez ランボルギーニ GT3をドライブした小暮卓史と元嶋佑弥が務めているほか、ピットには87号車Bamboo Airways ランボルギーニ GT3でエントリーした松浦孝亮と坂口夏月の姿もあり、2023年もドライバーラインアップは継続することが濃厚な様子。則竹代表によれば、スポンサー/車名等を含めた体制発表は間もなくだという。


 JLOCは昨年、元無限の熊倉淳一氏をチームに招き入れるなど、“勝てる組織”を目指すべく、改革を進めた。しかし、リザルトで見れば表彰台登壇は最終戦での87号車の1回と、厳しい結果となった。


「熊倉さんに入っていただいて、何かこうピリッとしたところが出てきて、チーム内にも『勝つことへと意識』みたいなものが、以前よりはあったかなと思います」と則竹代表は2022年を振り返る。


「ちょっと手前味噌かもしれませんが、どのサーキットでも常に表彰台圏内にいられる車両ではあったと思います。ただ、ちょっとしたことでレースを落としてしまう、ということが非常に多かった。今年はいかにそのミスを少なくするか。そうすれば、もっといいリザルトが残せるはずです」


 厳しいリザルトではあったが、“収穫”もあったという。


「去年はドライバーもチーム側もみんなフラストレーションが溜まりましたけど、二言目にみんなが言うのは『力はあるよ』ということ。ドライバーもメカさんもそう思ってくれていますので、(リザルトは)残念ではあるけれど、そういったことを確認できたのは良かったと思っています」


■エボ2でのキーポイントは「エンジン」


 2023年に向けては新たなメカニックも加入し、「さらに上を目指すためにはどうしたらいいか、といういいミーティングもできている」という。


 昨年に引き続き、則竹代表はタイヤを供給するヨコハマとの協業をキーポイントとして挙げており、「なんとか我々が、セッティングを含めてヨコハマタイヤのいいところをもっともっと出さないといけない」と意気込む。今回の富士の走行の段階では、2023年仕様のタイヤへの理解を深めているところだという。

88号車の走りを見守る坂口夏月と松浦孝亮。手前は則竹功雄JLOC代表


 気になるウラカンGT3の“エボ2”導入については、まだその時期は固まっていないものの、2台を投入する予定だ。タイミングについては、本国側と調整を続けている。


「彼らはいま、デイトナで出たトラブルを検証しているんじゃないかな。(本国イタリアからは)日本は遠い国、というイメージがあるようで、『完璧なものを送り出したい』という意向があるみたいです」と則竹代表。遠く離れた日本で初期トラブルなどが起きてもランボルギーニ側としては対応が遅れてしまうため、万全を期した状態で車両を引き渡したいということのようだ。JLOCとしては2回の公式テストが予定されている3月に間に合うことを望んでいるが、具体的な導入時期について則竹代表は現時点での明言を避けており、シーズン開幕には間に合わない可能性もあるようだ。


 また、JLOCとしては2台ともエボ2パッケージの新車を導入したい構えだが、「1台はアップデートになるかもしれません。シャシーのホモロゲーションの問題もあるみたいで」と則竹代表は言う。実際、IMSAでデビューしたアイアン・リンクスの3台のエボ2も、2台は新車、1台はエボからのアップデートという形だった。

2023年デイトナ24時間レースでアイアン・リンクスがGTDプロクラスに投入した63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2


 世界的に見ても、ポルシェの992型911GT3 R、そしてフェラーリ296 GT3という新型車両が導入される2023シーズン。GT3界の覇権を争う立場という意味でも、ランボルギーニが投入するエボルーションパッケージには大きな注目が集まる。


 2022年5月に発表されたエボ2では空力や安全性などの面でアップデートが図られているが、則竹代表が一番大きな期待を寄せているのはエンジンだという。


「もちろんアンダー含めたカウル類が全部変わり、フロントのダウンフォースが出るようになっているらしいのですが、もっと変わるのはエンジンです。エンジンパワーが全然違ってくるんじゃないかな」と語る則竹代表は「僕も去年の暮れに向こうに行って現車を見てきました」という。


「素晴らしかった。少なくとも、これ(今回富士で走らせたエボ仕様の88号車)よりいいことは間違いないですね。(ポルシェ、フェラーリら)ライバルがあってこそ進化もするわけですし、ランボルギーニも彼らを意識しています。必ずや、いいクルマに仕上がると思いますよ」


 もちろん、実際にレースを走るとなればBoP(性能調整)も重要な一部を成すことにはなるが、果たして『エボ2』のポテンシャルはどれくらいのものなのか。その姿がスーパーGTで見られる日を、楽しみに待ちたい。

IMSA・GTDクラスにエントリーするアイアン・リンクスの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2

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