ホンダはF1撤退表明はすべきでなかった?レッドブルとは2025年を最後にパートナーシップ解消 迷走浮き彫りに

2023年2月10日(金)12時16分 ココカラネクスト

2月3日にニューヨークで行われたレッドブルの新車発表会 フォードのファーリーCEOも出席((c)RedBull Content Pool)

 F1のレッドブルが2025年を最後にホンダとたもとを分かつことになった。国際自動車連盟から2026年から5年間に参入するパワーユニットサプライヤーとしてマニュファクチャラー登録された6社を発表。ホンダレーシング(HRC)、アルピーヌ、アウディ、フェラーリ、メルセデスに加えてレッドブル・フォードが盛り込まれた。

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 ホンダはレッドブルに2021年までPUを供給を続けたが、同年でワークス活動を終了。2022年はレッドブルパワートレインズ(RBPT)にOEM(相手先ブランドによる生産)のような形でPUを送り込んでいた。ただし、ホンダが持つPUの知的財産権は使用を許可しただけで、権利を譲渡したわけではない。しかも、レッドブル陣営がコンストラクターズ(製造者)タイトルを獲得したものの、記録としてホンダの名前が残ることはなく、全てが中途半端な活動になっていた。

 レッドブルは当初、ホンダに代わるPUのパートナーとしてモータースポーツ界でも名門のポルシェと組むつもりでいたが、最終的には破談に。その後にアプローチをかけていたのがフォードだった。

 2月3日に行われた今季車両の発表会も本地のオーストリアや、ベースのある英国ではなく、米ニューヨークで開催された。その席上でフォードとのパートナーシップが正式に公表され、実質的にチャンピオンPUを送り込んできたホンダは全くの蚊帳の外に置かれた。

 ホンダが2026年のPUサプライヤーとして名乗りを上げながらレッドブルに見切りを付けられた理由は何か。F1ジャーナリストのルイス・バスコンセロス氏は「ホンダの撤退で、レッドブルが独自にPUを開発するRBPTを設立させてしまったことが大きい」と話す。

 ホンダが開発に関わるPUのメーカー名は昨季まではRBPTだったが、今季からはホンダRBPTに変更。2年ぶりにホンダの名前がPU名として復活した形にはなった。が、PU開発部門をレッドブルにつくらせてしまったことで、外部からわざわざPUを調達する必要はなくなってくる。ホンダが介入する余地がなくなるのは時間の問題だった。

レッドブルの新車「RB19」。車体後部にホンダのロゴが((c)RedBull Content Pool)

 レッドブルはフォードとは市販車製造でもなじみのあるOEMに近い形態を取り、RBPTで独自PUを開発していく見通し。フォードは1990年代にエンジンメーカーのコスワースに資金提供する形で参入。設計・開発はコスワースが行うが、エンジンのバッジはフォードをつけた。OEMを有効活用してF1での知名度を上げた実績を持つ。

 フォードとレッドブルは深い縁がある。レッドレーシングはジャガーレーシングを買収して2005年からF1に参入したが、ジャガーレーシングはフォード傘下。もともと前身チームのスチュワートGPが1997年に新規参戦した際にフォードが全面的に支援した経緯がある。

 今のところホンダと組むチームは決定していない。レッドブル系のアルファタウリを買収するうわさもあるが、ホンダ首脳陣がF1からの撤退を巡って迷走したことが影響して実現は難しいとの声はある。

 チームとして新規参戦を目指す米国の「アンドレッティ・キャデラック」も選択肢の1つだが、こちらは他のF1チームが参入に難色を示している。しかもチーム名にキャデラックの名前があるように米ゼネラル・モーターズがバックアップしているチーム。こちらも袖にされる恐れはある。

 ホンダがF1撤退を大々的に発表したのが2020年10月。F1に数%でも未練があるのであれば、わざわざ表明するべきではなかったと言わざるを得ない。後の祭り。そんな例えがぴったりと合う。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

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