コンビ変更で“新たな化学反応”に期待のゲイナー。昨年の11号車GT-Rにあった不安要素も解消へ

2023年2月11日(土)10時33分 AUTOSPORT web

 2月7〜8日に富士スピードウェイで行われたGTエントラント協会主催のGT300特別スポーツ走行。全15台が参加した2日間のセッションに、ゲイナーは10号車と11号車、2台のニッサンGT-R NISMO GT3を送り込んだ。


 2022年は11号車が安田裕信/石川京侍、10号車が富田竜一郎/大草りき/塩津佑介という組み合わせで臨み、大草がチャンピオンからわずか3ポイント差のシリーズ3位でシーズンを終えたゲイナー。先日のニッサン/NMCからの発表のとおり、2023シーズンは11号車に富田/石川(+塩津)、10号車に安田/大草という、新たな布陣で参戦することとなった。


 ドライバーの組み合わせ変更の背景には、近く正式発表されるスポンサー体制面との絡みもあるようだが、いずれのドライバーも昨年は安定した速さ・強さを発揮しており、チームとして確固たる基盤があることに変わりはないと言える。


 そんななか迎えた2月7日の富士での走行初日には、安田が11号車、そして富田が10号車のステアリングを握り、『乗り比べ』をする時間帯もあった。


「去年の車体は2台を同じ(セット)にしても同じ(ような挙動)にならない、という問題がありました」と11号車の藤井一三監督は説明する。


「(開幕前の)いまならドライバーに関する制限もありませんし、そういった部分をふたりに乗り比べてもらっている、ということです」

2月7日午前中、11号車をドライブした安田裕信と、今季11号車のドライバーを務める石川京侍、塩津佑介


 藤井監督も「GT300のなかでは、速いドライバーをそろえている」という昨年からのラインアップだが、10号車が速さを見せる一方で、11号車は苦しむ場面も多かった。11号車のふたりは最終ランキングでも首位から17ポイント差の7位と、同じパッケージの10号車にやや引き離されている。


「去年はどうやっても11号車がいまひとつだった。コーナーもまったく10号車とは違っていたし、ストレートも遅かった」と藤井監督。ストレートスピードについては、2022年最終戦前にパーツを取り替えたところほぼ解決を見たというが、マシンの挙動の部分はこのオフの課題として残っていた。


 今回の富士での走行に向けてはその部分にも手を入れ、初日午前の走行を終えた段階でも、10号車の挙動に近づいていることが確認されたという。


■「思ったとおりの結果が得られている」と富田竜一郎


 その11号車からエントリーすることになった富田は、「ゲイナーに乗るんだったら11号車、というのは僕もずっと目指してきたところなので、そこに乗れるのは嬉しい反面、プレッシャーもあります」と語る。


「自分自身、10号車に乗っていた時間が長く、11号車のメンバーとは仲は良いとはいえ、一緒にレースはしてきていないので、どこかちょっと新しいチームでレースをするような気分で今回は臨んではいます」

2023年はゲイナーの11号車をドライブする富田竜一郎


 昨年に引き続き11号車は福田洋介氏が、10号車は牧野成伸氏がエンジニアを務める。「10号車でやってきたことをそのまま継続はできない」(富田)ため、新たな挑戦となる部分もあるという。また富田は、新たにコンビを組む石川とのドライビングスタイルの違いにも言及した。


「去年一年やってきて、安田選手と石川選手はすごい近いスタイルでしたし、僕と大草選手も結構似通ったスタイルで走ってきて、(2台の)方向性は結構違っていたんですよね」と富田は明かす。


「今年コンビが変わり、いまはそこのすり合わせをし始めているところです。どんな“化学変化”が起こるかはまだまだ未知数なところはありますが、石川選手はもともとホンダの育成でF3に乗っていたドライバーで絶対に速いと思うので、そこの部分を出すためにどうやってサポートしていくかという部分がありますし、また彼のいいところもたくさんあるので、それを僕も吸収して、お互いでいいチームにしていけたらなと思っています」


 走行初日午前の乗り比べについて富田は「10号車は昨年のまま。11号車の方で新しくやってきたことがどう出るかと思っていたのですが、ほぼ完璧に思ったとおりの結果が得られているので、いまのところうまくいっていると思います」と評価する。


「去年はセットアップどうこうではなく、クルマのキャラクターが2台で違う方向性になってしまっていたのですが、今年はそれが『同じ方向の線上の、違うポイントにいる』という感じになりました。だからセットアップとかも同じ系統でいけるし、タイヤも同じような使い方をしても大丈夫そうかなという気はしています。データの共有などもしやすいと思います」

2023年は10号車で安田裕信とコンビを組む大草りき


 経験や年齢を考慮しても、10号車は安田が、11号車は富田がリーダーとして引っ張っていく立場となる。


「周りの人が思ってるほど、(GT-Rは)めちゃめちゃ速いクルマではないので、やはり去年からやってきたことをコツコツ継続していきたい」と富田。ダンロップタイヤにも、この先新たな“タマ”が投入される予定はあるようだ。


「今年は最初からシリーズを見て、2台でやっていけるよう、僕と安田さんでリーダーシップを取ってやっていきたいと思っています」と語る富田が目標とするのは、最終戦時点でチームの2台がともにタイトル争いの上位に残っていること。もしこれが有言実行となれば、ゲイナーの2台は2023年シーズンもGT300の中心的な存在となるはずだ。

GTエントラント協会主催GT300特別スポーツ走行で富士スピードウェイを走るゲイナーの10号車

AUTOSPORT web

「GT-R」をもっと詳しく

「GT-R」のニュース

「GT-R」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ