スキージャンプ 15歳の森大耀がレジェンド葛西紀明超え…ラージヒル自己最長132メートルで初優勝
2025年3月3日(月)6時5分 スポーツ報知
1回目128メートルを飛んだ森(カメラ・島山 知房)
◆宮様国際大会 最終日(2日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル、K点123メートル)
ラージヒルが行われた。高校生以下の少年組は、オリンピアンの父を持つ中学3年生の森大耀=札幌福井野中=が2回目に公式戦自己最長の132メートルをマークし、初優勝。成年組6位のレジェンド葛西紀明(52)=土屋ホーム=を10・4ポイント上回り、頂点に立った。成年組は、小林潤志郎(33)=Wynn.=が1回目に142・5メートルの大ジャンプを披露し、圧勝した。
15歳がレジェンドに初“勝利”だ。中学3年生の森は、高校生以下で争われる少年組を初制覇。ギネス世界記録であるW杯579戦出場の葛西を上回った。「(2回目は)みんなあそこからあまり距離が伸びてなかったので、風も悪かったのかな」と謙遜しながらも、「すごいびっくり」と喜んだ。
時折、強風が吹くコンディションでもK点越えの飛躍を2本そろえた。1回目に128メートルを飛びトップにつけると、2回目は「(1回目2位の岡部)凛大郎さんが121メートルを飛んだので、ちょっと緊張しました」。有利な2メートル超の強い向かい風を受けながら距離を伸ばすと、公式戦では自己最長の132メートル地点に着地。勝利を確信し、「気持ち良かったっすね」と思わずガッツポーズが飛び出した。
父・敏さん(53)は複合の元選手で、98年長野、02年ソルトレークシティで五輪2大会に出場。幼い頃から父の指導を受け、複合の選手である長男・恢晟(かいせい、19)=東海大=と同じく世界ジュニア選手権も経験してきた。コーチボックスから息子の姿を見つめていた敏さんが「まだ中学生ですからね。あの条件であれだけゲート低い中で飛んでいってるのですごい」と絶賛する大人顔負けのジャンプを披露し、五輪経験者が複数名を連ねる成年組を含めて全体6位のポイントをたたき出した。
中学までは複合とスペシャルジャンプの二刀流。父、兄は複合の道に進んだが、敏さんが「能力があると思うので、スペシャルで上の方を目指してできれば」と素質を評価するように4月から進む東海大札幌ではスペシャルジャンプに重きを置いていく方針だ。森は「W杯、オリンピックで活躍できる選手になりたい」。スキージャンプ界の新星候補は、父に続く五輪出場を目指す。
(島山 知房)
〇…五輪2大会連続出場中の小林潤が、今季国内最終戦を白星で飾った。1回目に142・5メートルの大ジャンプを披露すると、全体で最も低い13番ゲートからスタートした2回目もK点越えの126メートルをマーク。2位に約10点差をつけて勝利した。弟・陵侑らとW杯開幕メンバーに名を連ねるもポイントを獲得できず、世界選手権代表入りも逃した。今後は、来年の五輪にもつながる下部大会のコンチネンタル杯に出場予定で「気持ちを切らさずやっていきたい」と意気込んでいた。
▽成年男子 〈1〉小林潤志郎(Wynn.)249・1点(142・5メートル、126メートル)〈2〉佐藤慧一(雪印メグミルク)239・7点(131メートル、128・5メートル)〈3〉竹花大松(土屋ホーム)219・8点(132・5メートル、127・5メートル)
▽少年男子 〈1〉森大耀(札幌福井野中)202・7点(128メートル、132メートル)〈2〉岡部凛大郎(下川商高)192・2点(127メートル、121メートル)〈3〉佐々木星語(札幌日大高)126・8点(116メートル、95メートル)
▽女子 〈1〉宮嶋林湖(松本大)179・9点(122・5メートル、121メートル)〈2〉中山和(日本ビール)166・3点(119・5メートル、114・5メートル)〈3〉岩佐明香(大林組)160・6点(117メートル、104メートル)