「裁定を覆す権限もない」前代未聞の膝つき→ノーダウンにWBAが私見 王者デービスの“疑惑”に反論「不合理でも不当でもない」
2025年3月6日(木)12時30分 ココカラネクスト

ローチとの攻防の中で膝をつく振る舞いを見せたデービス。(C)Getty Images
前代未聞の行動に、ついに“御大”も口を開いた。
波紋を広げているのは、現地時間3月1日に米ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズセンターで行われたボクシングのWBA世界ライト級タイトルマッチで、王者ガーボンタ・“タンク”・デービス(米国)が見せた“膝つき”だ。
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挑戦者で、WBA世界スーパーフェザー級王者のラモント・ローチ(米国)が、攻勢を強めた9回だった。やや後手に回ったデービスが相手の左パンチを受けた刹那、フラッと後退。膝をつき、突如として戦いをやめるような仕草を見せた。
さらにコーナーに直行したデービスは、セコンドにタオルで頭をふいてもらう異例の振る舞いも披露。おそらく会場の誰もが無敗王者のダウンを確信したが、カウントを始めかけたレフェリーはダウンを取らず。そのまま継続された試合は、12ラウンドで決着がつかずにドローとなった。
試合後に猛烈なバッシングを受けたデービスは「ブーブー言うなよ。俺は2日前に髪を切った。そこで彼女(美容師)がヘアグリースを付けたんだけど……な、分かるだろ、髪が(汗で)濡れたときそれが顔まで落ちてきて、目に染みて痛かったんだ」と釈明。苦しい言い訳のようにも聞こえるが、あくまで整髪剤が目に入ったことによるふらつきであったとした。
しかし、デービスの弁明はまさに火に油。“炎上騒動”をより激化させ、ボクシング関係者からも「最悪の決定」「審判はダウンと判定することもできたし、そうすべきだった」といった反発を招いた。
そして、試合を主催したWBAもデービスの“ダウン疑惑”に意見する。英紙『Independent』によれば、「すでに削除された」というホームページに掲載されたマッチレポートにおいて同団体は「我々の観点からすると、審判の決定は不合理でも不当でもない」と断言。世間が疑問視する判定の正当性を唱えたという。
「目の前で見ていた審判は、デービスがダウンする前にパンチを受けておらず、したがって『ダウンは記録されるべきではない』と判断した。ジャッジは審判の裁定に従わなければならず、その裁定を覆す権限もない。彼の判定が不当にデービスを利したという懐疑的な意見もあるが、我々はそのような考えはない」
一方でWBAを取り仕切るジルベルト・メンドーサ会長は、米誌『The Ring』で「再戦が行われることに疑問の余地はない」と公言。「非常に物議を醸した夜だった」と認めた上で、審判のジャッジに「拮抗した試合を見ていた中で、咄嗟にどうやって彼が膝をキャンバスに打ちつけたのかを理解できるだろうか?」と持論を投げかけた。
後味の悪さだけが残った試合は、この先、いかなる展開を見せるのか。両陣営ともに再戦に向けた動きを見せているが、果たして。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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