インディカー開幕戦で初勝利を挙げたマクラフラン。常勝ペンスキーのドライバーとして覚醒へ

2022年3月9日(水)8時53分 AUTOSPORT web

 2022年のNTTインディカー・シリーズ開幕戦を制したのはニュージーランド出身のチームペンスキードライバー、スコット・マクラフランだった。


 マクラフランは一昨年の2020年、開幕前にインディカーがサーキット・オブ・ジ・アメリカスで行ったオープンテストに参加し、インディカーを経験。そして、シーズン最終戦として開催されたセントピーターズバーグでインディカーにデビューした。


 翌2021年からフルシーズン出場を始めた彼は、まだインディカー2年目、デビューから18戦目にして初優勝に到達した。

ポール・トゥ・ウインでインディカー初勝利を遂げたマクラフラン


 1993年6月10日にニュージーランド南島のクライストチャーチで生まれたマクラフランは現在28歳。アメリカではチーム・ペンスキーが本拠地を置くノースカロライナ州シャーロットに妻と愛犬とともに住んでいる。


 マクラフランのキャリアはとてもユニークな部類に入る。レーシングカートからフォーミュラでステップアップを重ねたのではなく、カートからツーリングカーに進み、そこから直接インディカーにスイッチしてきたのだ。


 そこには幸運も味方していた。2015年からチーム・ペンスキーがオーストラリアの人気ツーリングカーシリーズに現地の強豪ディック・ジョーダン・レーシングとジョイント参戦していたことが彼の人生を大きく変えることになった。


 2013年に地元ニュージーランドでのレースでシリーズ史上最年少での優勝を挙げ、2017年にディック・ジョーダン・レーシング・チーム・ペンスキー入りしたマクラフランは、フォード・ファルコン、フォード・マスタングを駆って戦った4シーズンで48勝、59ポールポジション、2018年から3年連続でシリーズチャンピオンという驚異的な成績を残した。


 2019年には歴代最多となる1シーズン18勝をマークし、ポールポジションは15回手に入れ、表彰台に22回上った。シリーズ最大のレース=バサースト1000での初優勝をペンスキーにもたらすことも成し遂げた彼は圧倒的パフォーマンスによってオセアニアを飛び出し、アメリカ最高峰オープンホイールシリーズへトップチームから参戦する切符を掴み取った(DJRTP以前のチームでの成績も合わせると通算56勝、76PP、表彰台106回)。


 マクラフランは2021年のインディーカーシリーズ全16戦を走り、ベストはテキサスレース1での2位。予選のベストリザルトはインディアナポリスGPでの5番手。トップ10フィニッシュは5回記録した。獲得ポイントの合計が305点だった彼はシリーズランキング14位となり、チーム・ペンスキーのドライバーとしては初めてルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。

2021年のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたスコット・マクラフラン


 優勝まであと一歩の2位フィニッシュもあり、ルーキーとしてのパフォーマンスは決して悪いものではなかったが、ペンスキーからの出場のため、もっとコンスタントに上位でフィニッシュすることが期待されていた。


 しかし、ウィル・パワーをもってしても1勝しか挙げられなかったのが2021年のペンスキー。ジョセフ・ニューガーデンは2勝してランキング2位となったが、ツーリングカー出身ルーキーは常に最速マシンを与えられていたわけではなかった。


「2021年に自分のチームで一緒に戦ってくれたスタッフの奮闘を誇りと感じている。私がどのようなマシンを好むのか、チームがそれを把握してからは予選順位も良くなり、さらに進歩を遂げていくことができた。これから長いことチーム・ペンスキーでやっていくための基礎を作ることのできた1年間だった」とマクラフランは自身のデビューシーズンを振り返った。


 ほぼすべてのコースが初めて訪れるものだった上にオーバルレースが生まれて初めてだった彼は、トップチームからの出場という大きなプレッシャーにも耐えて大健闘をしていた。唯一の表彰台がオーバルレースだったことが示す通り、マクラフランはアメリカのオープンホイールレースへの順応も順調に果たしてきている。


 2シーズン目を迎えるにあたりマクラフランは、「自身2回目となるオフシーズンテストを終えると2022年シーズンがセント・ピーターズバーグから始まる。私たちは2021年を上回るリザルトを手にしたいという期待を抱いている」と抱負を述べた。


 そして、開幕戦でいきなりのキャリア初勝利をキャリア初ポールポジションから果たしたのだった。マクラフランが1年目を大きく上回る実力をすでに備えているのは明らかだ。初勝利達成でプレッシャーからも解放されることだろう。2022年のインディカー・シリーズで注目すべき20歳代のドライバーがひとり増えた。

ロジャー・ペンスキーに祝福されるスコット・マクラフラン


初勝利を喜ぶスコット・マクラフラン

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