GR010ハイブリッドはいつまで走る? トヨタ、ル・マンの水素規定導入が遅れれば後継車を検討へ

2024年3月11日(月)7時5分 AUTOSPORT web

 TOYOTA GAZOO Racingは、WEC世界耐久選手権のトップクラスに水素エンジン搭載車が導入されるスケジュールが、現行ハイパーカー『トヨタGR010ハイブリッド』の寿命を左右することを示唆した。


 トヨタは、WEC/ル・マン24時間に水素技術が追加されることを支持するもっとも声高なメーカーのひとつだ。この日本のメーカーはスーパー耐久シリーズで水素エンジンを使用したパイオニアであり、2023年のル・マン24時間レースではGR H2レーシング・コンセプトを発表している。


 昨年、ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長は、将来的に計画されている水素カテゴリーには、内燃機関自動車だけでなく、ACOが独自に進める“ミッションH24”プロジェクトで開発を進めている燃料電池(FC=フューエルセル)を搭載したマシンも含まれることを明らかにした。


 しかし、同カテゴリーの登場はすでに2025年から26年、さらに2027年へと延期されており、トヨタのハイパーカー・プロジェクト・リーダーであるジョン・リッチェンスは、これ以上遅れるようなことがあれば、ドイツのケルンを拠点とする同社はその間に新しいシャシーが必要かどうかを検討することになると考えている。


 リッチェンスによると、トヨタは現在、ハイパーカー初年度の2021年に導入されたGR010ハイブリッドのアップグレードに残りの“EVOジョーカー”を費やすかどうかを評価している最中であり、同時に将来の水素自動車の前に後継車が必要かどうかも検討しているという。


 3月初旬にカタールで行われたWEC開幕戦に先立ち、リッチェンスは「FIAと次のレギュレーションについて話し合いを始めるのは確かだ」と語った。


「彼らは水素の導入を検討しているため、我々も検討を始めなければならない」


「とはいえ、我々は自分たちの考えを明確にする必要がある。現時点ではトップにいるが、他のチームが大きく進歩すれば我々はもうそこにいないかもしれないし、そのときに考え始めたら手遅れになるかもしれない。私たちは何ができるか考えている」


「(新しいルールが)あまり遅れなければGR010ハイブリッドを維持したまま、必要であれば(EVOジョーカーで)ステップアップしていきたい。完全に新しいクルマ(後継車)と水素自動車を並行させるのであれば、それはやりすぎだ」

水素エンジンを搭載するGR H2 Racing Concept


 GR010ハイブリッドがどこまでレースを続けられるか、という具体的に尋ねられたリッチェンスは次のように答えた。「2027年までは大丈夫だと思う」


「(水素車のルールが導入されるのが)2029年か2030年まで掛かるのであれば、その間に何かしなければならないのは確かだ」


 リッチェンスは、トヨタが2027年にも水素エンジン搭載車で競争できるほど水素技術が成熟すると確信していると語ったが、レギュレーションの正式化に時間が掛かるため、さらに遅れる可能性があることを示唆した。


「日本にいる同僚たちが、すでに(水素エンジンを搭載する)カローラを走らせており、彼らはそこで多くのことを学んでいる」と彼は述べた。


「しかし、それ(がWECやル・マンで発展するかどうか)はFIA国際自動車連盟がどのようにレギュレーションを定めるかにかかっている」


■水素車の単独クラスか、トップカテゴリーとの混合か


 ACOは、水素クラスにエントリーするマシンがWECやル・マンで最初から総合優勝を目指して戦えることを望んでいることを明らかにしているが、水素クラスが独自のクラスで行われるのか、それとも既存のハイパーカー・カテゴリーの一部として行われるのかについては、まだ不透明な部分が残っている。


 リッチェンスは、他のメーカーが開発中の技術にコミットするには時間が掛かると考えているため、当初は混合クラスというアイデアをトヨタが好んでいることを明言した。


「(ハイパーカーの)フィールドが広くなるのに最終的にどれだけの時間が掛かったを見れば、水素も同じだ」と語った同氏。


「参加できるメーカーはいくつかあるかもしれないが、すべてが新しいので1台か2台しかいないだろう」


「私は、ハイパーカーとこれらの(新しい)クルマを一緒に走らせ、ある時点で(完全な水素車クラスに)切り替えることが最適だと思う」


 彼はまた、ACOとFIAは現在のハイパーカークラスで、理論的に似たようなLMH規定車とLMDhカーのバランスをとるという困難に直面しているが、将来のパワートレインと水素を動力源とするマシンをバランスさせることは可能だと確信していると付け加えた。


「おそらく、もっとも難しいのはこれらのクルマの重量だろう。だが、ハイパーカーはすでにエアロや多くのパラメーターを制限している」


「同じパフォーマンスを得るためにこの重量のバランスを取る必要がある場合、他の部分をもう少し自由にすることができるかもしれない」


「それは可能だと思う。しかし、私たちはより多くの情報が入ってきてからでないと判断することができないんだ」


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