鷺宮製作所 劇的サヨナラ勝ちで初V!中島隼 志願の連投でMVP
2025年3月12日(水)5時0分 スポーツニッポン
◇第79回JABA東京スポニチ大会最終日・決勝 鷺宮製作所5—2大阪ガス(2025年3月11日 神宮)
準決勝、決勝が11日、神宮球場で行われた。鷺宮製作所は決勝で大阪ガスにサヨナラ勝ちを収めて初優勝。今年の日本選手権出場権を獲得した。8回1死から登板した中島隼也投手(26)が準決勝から連投して1回2/3無失点。大会3勝を挙げてMVPに輝いた。9回にサヨナラ3ランを放った主将の野村工(たくみ)外野手(26)が特別賞を受賞した。
スポニチ大会の球史に大きな勝利を刻んだ。9回に野村のサヨナラ弾で初優勝。エースの中島隼は着弾前に一塁側ベンチを飛び出し、何度も叫んだ。
「めちゃくちゃうれしい。(野村は)同期なので、ずっと信じていました。ちょっと涙目になりました」
準決勝第2試合は9回から登板し、2回無失点で延長10回のサヨナラ勝利を呼び込んだ。37分後に始まった決勝も熱戦。負担の大きい1日2登板を「勝つならば今しかない。自分の体のことは気にせず出してください」と志願した。同点を許した直後の8回1死二塁から救援。1回2/3を1安打無失点に抑えてサヨナラ勝利を「おかわり」した。
幡野一男監督の就任以来、23年から都市対抗、日本選手権の2大大会に出場なし。悲願の日本選手権出場権を得た指揮官にも「連投はリスクが高く、怖かった。でも、本人が勝ちましょうと言ってくれた」と感謝された。
九死に一生を得た経験を持つ。城西国際大2年の5月にバイクにはねられ、頭を強打。緊急手術が必要で、最初の病院では受け入れを断られた。嘔吐(おうと)など状態悪化の兆しが見え始めたところで次の病院に到着。奇遇にも脳神経外科の担当医がいて命は救われた。「周りにいた先輩がすぐに救急車を呼んでくれた。いろいろな人のおかげで今がある」とかみしめる。
千葉出身だが、仙台育英(宮城)では「友達が(津波に)流された話を聞いた」という。準決勝前には震災から14年を迎えた東日本大震災の犠牲者を悼んで黙とうをささげた。「皆が助け合う雰囲気がある。このまま都市対抗予選に向かえば(良い)結果が見えてくる」。野球ができる幸せを一球入魂する。(柳内 遼平)