スペイン人ライターのF1便り:トラブル連発のマクラーレン。ホンダPUを載せていたらどうなっていただろう

2018年3月16日(金)10時0分 AUTOSPORT web

 スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアのモータースポーツコラム。プレシーズンテストでトラブルを繰り返したマクラーレン・ルノー。果たして問題はどこにあったのか。ホンダPUを使い続けていたらどうなっていただろうか。


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 プレシーズンテストにおいて、コース上で起きたことを分析しようとすることは、非科学的なことだ。各チーム、自分たちのマシンでやっていることに集中しているおかげで、チームの序列についての情報は多くない。


 それぞれのチームにより異なる燃料搭載量、異なるテストプログラムが行われており、何もはっきりしたことは分からない。各チームの調子はどうなのか、適切な評価を下すことはとても難しいことだ。


 しかし、マシンの信頼性が予想外に低いことが判明した場合、何かがおかしいと見破ることは容易にできる。これがまさにマクラーレンに起きたことで、フェルナンド・アロンソとストフェル・バンドーンは落胆しているだろう。


 マクラーレンが2018年からルノーのPUを使用することを発表したのは、昨年の9月のことだ。これで3年間マクラーレンを苦しめた信頼性の問題が消えるだろうと多くの人々が考えた。マクラーレンはホンダPUがしばしば不安定すぎると訴え、そう考えられていた。


 それにも関わらず、2018年のバルセロナテストは異なる展開となった。ホンダPUは高い信頼性を見せていた一方で、マクラーレンはコースに出るよりも、ガレージ内で過ごすことの方が多かったのだ。一体なぜこのような逆転現象が起きてしまったのだろうか?


 まず、トロロッソはテスト1週目でホンダPUをいくつか使用したとされているが、彼らはプレシーズンテストの前半で最も多くの周回数を走り込んだチームとなった。


 もちろんこの状況はテストの後半では変わった。周回数は減り(部分的にはブレーキの問題であり、ホンダのせいではない)、走行の様子もそれほど目を引くものではなくなった。


 マクラーレンにも変化が訪れていた。テスト1週目では多くの信頼性のトラブルに見舞われていたチームは……さらに多くのトラブルを抱えていたのだ。


 2週間のテストでマクラーレンに起こったことを並べてみると、ホイールナットの欠陥、ハイドロ系のトラブル、オイル漏れなどがあり、エンジンベイ内部が高温化したことで、テスト2週目には少なくとも2基のエンジンを交換している。

ルノー搭載のマクラーレンにはトラブルが多発した


 こうした問題の多くは、過去のホンダとのシーズンでも見受けられている。一部では、ホンダに起因するとされてきた問題の少なくとも半分は、マクラーレンに責任があったのかもしれないと考えられている。


 空力がアグレッシブすぎて、大きな問題を解決するのにどれだけの冷却機能が必要かということが考慮されておらず、チームは解決策を見つける必要がある。


 メルボルンまでにデザインをやり直すことは難しいが、焦げ跡のついたエンジンカバーに、冷却を助けるための穴を開けているマクラーレンは、前途有望なチームには見えなかった。だが、様々なトラブルが発生したにせよ最終日にはアロンソが苦境を抜け出し、堂々たる1分17秒7のタイムを出している。この時、彼より速かったのはフェラーリだけだった。マクラーレンのニューマシンMCL33はショートランでもロングランでも速いマシンのようだ。


 したがって、誰もが気になる一番の疑問は、マクラーレンとアロンソは2018年に何ができるのか? ということだろう。


 まずベストな目標としては、グリッド上でメルセデス、フェラーリ、レッドブルに次ぐベスト4のチームになることだ。


 不可能なこととは思えないが、F1の中団グループは特に強力だ。アロンソとバンドーンは、フォース・インディア、ウイリアムズ、ルノーと戦わなければならないし、ルノーはルノーPUを搭載するチームのなかで最下位になることを回避するために全力を尽くしてくるだろう。


 バルセロナでのラップタイムを見てみると、マクラーレンはスピードの点で、昨年と比較して明らかに良いポジションにいる。ルノーPUには十分な速さがあり、彼らのシャシーの空力効果はよく出ている。不満があるとしたら、それは彼らの最高速度にある。それは中団グループの中でもかなり下のほうだ。


 その最高速度を見た今となっては昨年のホンダだけを責めることはできない。原因はマクラーレン自身の開発にもあることは明白だ。チームがドラッグを考慮せずに、ダウンフォースをさらに向上させるよう、マシンを開発してきた可能性をほのめかす声もある。


 レーシングカーを設計する上で、ドラッグは誰もが避けたがる事象だ。ドラッグによりマシンは直線コースで遅くなってしまうからだ。想定されていたホンダのパワー不足ではなく、このことが昨年のスピード不足の原因となったのだろう。


 8日間(そのうちほぼ1日が雪で潰れ、他の日は雨の影響を受けた)のテストで、チームに競争力があるかないかを判断することは、当然のことながら非常に難しい。しかしラップタイムとタイヤテストから、マクラーレンには優れたベースラインがあることが見てとれる。


 チームはトップ10を目指して戦うべきだし、アロンソはマクラーレンへの復帰以来最高のシーズンを迎えてもいいはずだ。だが一つの仮定としてマクラーレンが今年もホンダのPUを使い続けていたら調子を出せなかっただろうか?


 私は、彼らは速さを出せたと思う。つまり、ホンダは進歩しているということだ。そして2019年にはレッドブルがホンダPUを搭載する可能性もあるのだ…。


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