驚きのダブルスティント敢行も、赤旗で水の泡となったコルベットC8.R/WEC第1戦

2022年3月21日(月)12時11分 AUTOSPORT web

 コルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.RでWEC世界耐久選手権第1戦セブリング1000マイルレースに挑んだニック・タンディは、レース折り返しを前にした赤旗中断により、LMGTEプロクラスの優勝を失った可能性が高い、と述べている。


 タンディとトミー・ミルナーはレースをクラス2位で終え、ポルシェGTチーム92号車ポルシェ911 RSR-19のケビン・エストーレ/ミカエル・クリステンセンが開幕戦の勝利を奪う結果となっていた。


 2台はレースの最初の1時間を通して激しい戦いを演じていたが、レースのハーフウェイが近づく頃にはコルベットが先行していた。


 ここでトヨタ7号車GR010ハイブリッドのクラッシュにより、レースは赤旗中断に。これによって、ミルナーとタンディがポルシェに対して築き上げたリードは帳消しとなった。


 このとき、ミルナーはタイヤをダブルスティント(2スティント連続で使用)していたため、レースが再開されるとよりフレッシュなタイヤを履くエストーレのチャージを抑え込むことができず、リスタートした周の最終コーナーで首位を明け渡していた。


「タイヤを交換せずにピットでの時間を稼ぐことで、マージンを効果的に構築しようとしていた僕らは、最初の赤旗によってすべてを台無しにさせられた」とタンディは説明している。


「ポルシェは常にタイヤを替えていたが、僕らはダブルスティントをしようとしていた。これで20秒ほどのギャップがあった。赤旗はこの20秒を消し去っただけではなかった」


「僕らは左側のタイヤについて、ダブルスティントの終盤にあった。92号車はタイヤを4本替えたばかりだったと思う。だからそれは、“銃撃戦にナイフで立ち向かうようなもの”だった。ちょっと切ない類のものだったね」


「(赤旗が出ずに)レース全体がグリーン下だったら、どこかで92号車と戦う機会があっただろうから、残念だ。だが、2位を獲得できたのも幸運だった。今季のスタートとしてはまずまずだ」

WEC第1戦セブリングでLMGTEプロクラス2位となった64号車シボレー・コルベットC8.R


 この表彰台フィニッシュは、シボレー・コルベットC8.Rにとって、ル・マン以外のWECのレースにおける最高順位となった。


「レースウイークの終わり方については、満足している。僕らには、(優勝を争って)戦う機会があった。それは誰もが望むことだ」とタンディ。


「そのうえで、完璧なレースを実行する必要があるんだ。僕らはポルシェほど、燃費の面で1スティントを伸ばすことができなかった。これは、僕らが目を向けなければいけないポイントだ」


「僕らは燃料を30周もたせていたけど、彼らポルシェは30〜32周を走っているみたいだった。したがってこの点では少し違いがあり、それがレース後半の戦略に影響を及ぼした。とはいえ、かなり良かった。とてもハッピーだ」


■コルベットの戦略に驚いたポルシェ。フェラーリは新燃料に問題?


 レースにおいてコルベットがタイヤをダブルスティントするという決定は、ポルシェのファクトリー・モータースポーツ・ディレクターを務めるアレクサンダー・ステューリッヒを驚かせた。


「正直なところ、彼らが最初に完全なダブルスティントを実行したことに驚いた」とステューリッヒ。


「それは勇敢な戦略だ。プロローグとトレーニング(プラクティス)セッションでは、全員がロングランをしていなかった。フルコースイエローと赤旗があったからだ」


「もし我々がダブルスティントをやったとしても、そこで何が起こるのかは分からなかった」


「彼らが最初のピットでタイヤを変えずにダブルスティントをするのを見て、彼らはこれから起こるべきことが分かっているのだな、と思った」


「しかしながら、結局のところは古典的な耐久レースであり、それぞれのコンディションというものがあったと思う。あるメーカーがライバルに対してわずかに有利だったということだ。我々の間では、面白いレースができた」


「結局のところ、彼らはタイヤをセーブしていた。しかし赤旗とFCYによってダメージを受けた。それがリスクだ。そこにはふたつの戦略がある。タイヤを使ってアドバンテージを得るか、なんとかタイヤを長くもたせようとするかだ」


「タイヤをセーブしてセーブしてセーブして……最後にアタックができるのか? どちらの戦略にとっても、イエローや赤旗の影響を大きく受ける可能性がある」

LMGTEプロクラスの優勝を飾った92号車ポルシェ911 RSR-19。スタートではLMP2との隊列間隔の不保持によりペナルティを受けていた


 ステューリッヒはまた、ロペスの事故によって引き起こされた赤旗が、ポルシェを救ったと述べている。


 ポルシェの2台はスタート手順の違反によって、いずれもレース前半に15秒ストップのペナルティを受けていたからだ。


「どちらのドライバーも、レースディレクターの指示に従わなかったため、それぞれに15秒のペナルティを受けた。赤旗は、我々には不利にはならなかったと言える」


 なお、ポルシェとコルベットに対して大きく遅れたフェラーリ陣営は、レース終了以降、セブリングのLMGTEプロクラスのペースについてコメントしていない。


 フェラーリ488 GTE Evoは、すべてのチームが今季から使用するトタルエナジーズの100%再生可能燃料に関連する問題に見舞われた可能性があるものと見られている。

WEC第1戦セブリング、LMGTEプロクラスで4位となったAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evo

AUTOSPORT web

「コルベット」をもっと詳しく

「コルベット」のニュース

「コルベット」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ