【内田雅也の追球】侮れないデータ野球

2025年4月3日(木)8時0分 スポーツニッポン

 阪神は勝たねばならない試合だった。何しろ3点リードで終盤8回を迎えていた。セットアッパーとクローザーが締めて終わりなどと、安易に構えてはいけない。大リーグには「野球では、最後の6つのアウトを取るのが最も難しい」という警句がある。

 8回表、ハビー・ゲラは2死無走者から3点を失った。四球に始まり4連打を浴びて同点に追いつかれた。悪夢だった。

 相手のDeNAの強力打線には定評があるが、ゲラの快速球、カッターをライナーで打ち返す打棒には恐れ入った。

 昨年の悪夢の一戦を思いだした。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦(10月13日・甲子園)である。2回表、4連打を含む5安打を集中され、大量4失点。3—10の惨敗でCS敗退、終戦となった。退任が決まっていた前監督・岡田彰布の最後の試合となった。

 一方でDeNAはこの後、勢いを得て、日本一まで上り詰めている。オーナー付顧問となった岡田は開幕前「日本一になった自信は大きい」とDeNAを警戒していた。

 トラックマン、ホークアイ、ラプソード……などの機器を活用したデータ野球が進んでいる。なかでもDeNAはその統計や分析を行うアナリストの人数が12球団最多だと聞いた。データ野球の強みが出ているのか。

 岩崎優が登板した9回表1死、安打を放った三森大貴が初球にスタートを切った。モーションを盗まれた岩崎はあっけにとられたように、投球は山なりになったほどだ。動作解析などでけん制や投球の癖が盗まれているのだろうか。

 また、阪神の打者が放った安打性の打球が何本かアウトになった。事前にシフトを敷いていたのである。打球傾向を分析してのシフトなど、どこのチームでも行っているが、より精度が高いか。

 打撃に始まり、癖盗みや守備シフト……と「DeNA強し」と思わせるシーンが相次いだが、必要以上に警戒し、恐れることはない。阪神も一昨年日本一、昨年もシーズンは3位DeNAに4・5ゲームの大差をつけての2位だったではないか。

 「野球は敵を倒すスポーツじゃない」とカル・リプケンの言葉にある。大リーグ最長2632試合連続出場の「鉄人」は相手への敬意を忘れなかった。DeNAも阪神にとって侮れない好敵手だった。 =敬称略=

 (編集委員)

スポーツニッポン

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