阪神・才木 “見えない敵”と戦った2月を乗り越え今季初勝利 「ゼロで抑えられたのが良かった」

2025年4月16日(水)5時15分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 阪神5—1ヤクルト(2025年4月15日 松山)

 阪神は15日、ヤクルト戦(松山)に5—1で快勝した。先発の才木浩人投手(26)が、6回2死まで無安打投球を披露するなど7回2安打無失点の快投。自己最多13勝をマークした昨季と同様に、シーズン3度目の登板で待望の初勝利を挙げた。若き大黒柱が連敗を阻止し、チームは4日ぶりに貯金生活に再突入。投打がかみ合った松山の夜から進撃を狙う。

 才木が、松山の野球ファンへ“見せ場”をつくったのは5回だ。

 「リズム良くいけた」

 茂木、山田、中村悠を3者凡退に斬った12球はすべて直球と、真っ向勝負で力を示した。6回2死で西川に中前打を浴びるまではノーヒット投球。快挙を逃した瞬間は心の中で「ミスったぁ」と叫んだものの、投球は乱れることなく7回までゼロを並べた。

 “見えない敵”に足元を見つめ直す機会をもらったのは2月。沖縄に連日寒風が吹き付けた春季キャンプ序盤はブルペンでも出力が上がってこなかった。

 「寒かったし、なかなか上がらんなと…」。ブルペンを視察した岡田彰布オーナー付顧問が口にした「才木はあんまり良くない」の言葉も記事を通して目にした。

 「1年間ローテで投げて、周りの見る目が変わったことを今年の春は凄く感じた。“昨年あんなボールを投げていたのに今こんな状態なん”みたいな。あんまり良くないっていうことも実際言われたりした。良くないことは自覚してた」

 力み倒して空回りが続いた。そんな中、肩の力を抜くきっかけになったのは藤川監督の言葉だった。「監督に“今、調子良くてもな”って。確かにそうだなと」。ブルペンを視察したOBの能見篤史氏(本紙評論家)にも「ちょっと力みすぎやぞ」と客観的な意見をもらった。「良いところを見せる必要はないし、やるべきことを明確にしよう。どれだけ自分のペースでできるか。監督と能見さんの言葉で立て直せた」。

 周囲の見る目は変わっても、才木自身は変わらない。年末年始もトレーニングに明け暮れ、実家に滞在したのは大みそかの夕方から初詣に行った元旦まで。家族に「練習あるから」と告げて帰宅し、24時間もいなかった。1人暮らしをする自宅から実家までの移動時間すら惜しい。ストイックではなく、それが才木浩人の野球への向き合い方なのだ。

 昨年と同様、3試合目の登板でシーズン1勝目。24年はそこから8連勝し、自己最多の13勝に到達しただけに白星量産へ、吉兆の1勝になるはずだ。

 「ゼロで抑えられたのが良かった。継続してやっていけたら」

 松山の快投から背番号35の進撃は始まる。 (遠藤 礼)

スポーツニッポン

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