多過ぎて迷う!? ドライバー“兄弟モデル”の正しい選び方【ゴルフクラブアドバイザーに聞いてみた】
2025年4月17日(木)17時0分 ALBA Net
毎年のようにドライバーの最新クラブが発売される中、悩ましいのはどのシリーズも3〜4つの“兄弟モデル”がラインナップされていることだ。自分に合ったモデルを見つけるには、どんな点に注意してクラブをチェックすれば良いのか。最新クラブの特性を知り尽くすVictoria Golfの「ゴルフクラブアドバイザー」に聞いてみた。
ティショットに使うドライバーは、最もボールを遠くに飛ばせて、スコアメイクへの影響の大きいクラブだ。メーカー各社はこぞって開発に力を入れており、毎年のように新モデルがリリースされている。
より良いクラブを使って、もっと飛ばしたい、曲げたくないと考えるゴルファーにとってドライバーの選択肢が増えるのは喜ばしいことだが、一方でモデルが多過ぎて選ぶことに難しさを感じている人も少なくない。そもそもどんなに性能が高いドライバーでも、自分の体格やスイングに合わないモデルではそのポテンシャルを最大限に発揮することはできない。どうすれば自分に合ったベストなドライバーが選べるのだろう。
そこで今回は、最新クラブの性能に精通し、さまざまなフィッター資格を保持するVictoria Golfの「ゴルフクラブアドバイザー」の内山和則さんにドライバーの“兄弟モデル”を選ぶポイントについて聞いてみた。
「メーカーによってモデル名の付け方は異なりますが、基本的にドライバーは3つのタイプに分けることができます。幅広いゴルファーに合うように性能バランスを調整した『スタンダードモデル』、つかまりやミスヒットへの強さに特化した『やさしさ重視モデル』、そして低スピンで左のミスが出にくい『LSモデル』の3つです。それぞれがどんなクラブで、どんなゴルファーに合うのか知っておくと、“兄弟モデル”が選びやすくなるはずです」
ドライバーのモデル名は基本的に「シリーズ名+クラブの特性を表す言葉」という形で付けられている。その中で「シリーズ名」のみがモデル名になっている“無印”のクラブこそ、幅広いゴルファーに合う『スタンダードモデル』だ。
「ドライバーを選ぶときに、第一の選択肢になるクラブが『スタンダードモデル』です。ボールのつかまりやスピン量など、性能バランスにクセがなく、幅広いゴルファーに合うように調整されています。フィッティングをしてさまざまなモデルを試しても、6割の方がこの『スタンダードモデル』に落ち着くことが多いです。クラブ選びに悩んだら、まず選んでおいて間違いないですし、試打をできるなら最初にテストしていただきたいですね」
もし試打をする時間や機会がない場合は、ヘッドを地面に置いて構えてみるだけでも自分に合っているかどうか見極められると内山さん。
「私がフィッティングでも重視しているポイントですが、構えたときの顔が心地良いと感じるかどうかは非常に大切です。目から入ってくる情報はスイングやショットの結果に大きく影響します。気になっているメーカーの顔を見たら意外にイマイチで、興味のないメーカーのクラブを構えたら、むしろしっくりきたという方も少なくありません。また、ヘッドの座りもしっかりチェックしておきたいポイントです。何も考えずにヘッドを置いたときに、フェースが開くのか、閉じるのか。スライスに悩んでいる人がフェースが開くタイプのヘッドでは安心して使えませんよね。このように構えてみるだけでも、そのクラブが自分に合っているかどうか見極めることができるのです」
バランスに優れた『スタンダードモデル』に対して、性能的に個性を出しているのが『やさしさ重視モデル』や『LSモデル』だ。
「試打をして『スタンダードモデル』だと右に曲がってしまう場合は、つかまりを強化した『やさしさ重視モデル』を選ぶと良いでしょう。ヘッドのヒール側に重量配分することでフェースターンしやすくなっているのでスライスなど、右へのミスを軽減してくれます。高さも出しやすくなっていますので、初心者の方などにもおすすめなタイプです。最近ではヘッドの慣性モーメントを高めて、左右のブレを抑えて真っすぐ飛ばせるタイプの『やさしさ重視モデル』も増えています」
『やさしさ重視モデル』で注意したいのはモデル名だ。例えば、「MAX」は慣性モーメントを高めてブレを減らしたヘッドに付けられることが多いが、HONMAの『TW767』シリーズでは、ドローバイアス設計のつかまり重視のモデル名に採用されている。『スタンダードモデル』に「MAX」と付けているメーカーもあるので、そのモデルがシリーズ内でどのような位置付けるになるのか、しっかり調べることが大切になる。
一方で、『スタンダードモデル』だと左に曲がったり、スピンが増えて飛距離ロスしている場合は『LSモデル』が選択肢に入ってくる。
「しっかり練習をしていて、ヘッドスピードの速い方が『スタンダードモデル』や『やさしさ重視モデル』を使うと、左への引っかけが出やすく、ボールも高く上がり過ぎることがあります。そんなときはモデル名に『LSモデル』を試してみてください。余分なスピンを抑えて効率良く飛ばすことができますので、飛距離を重視するゴルファーにもおすすめです。小ぶりなヘッドで操作性が高いクラブも多いので、弾道をコントロールしたい人にも最適です」
一般的に『LSモデル』と言うとミスにシビアで、上級者向けのイメージがある。内山さんは最新モデルではレベルに関係なく、“叩ける性能“が実感できると話す。
「『LSモデル』と聞くと、“低い球しか出ない”と誤解している方が多いです。たしかに過去にはそういうモデルも存在しましたが、最新モデルでは適度な寛容性が備わっていて、あくまでもシリーズの中で“強く叩けるモデル”だと考えるべきでしょう。スピン量が減ることで左右の曲がりを抑えることも期待できますし、スポーツ経験があってパワーのある方ならゴルフ経験が浅くても試す価値ありです」
「最新モデルではどのメーカーも共通して、『スタンダードモデル』の性能に『やさしさ重視モデル』や『LSモデル』が近付くように開発しています。昔のような極端な性能差のあるシリーズはなくなったので、“兄弟モデル”が選びやすくなったことは間違いありません。あとはロフトの寝たモデルでつかまりと高さをプラスしたり、パワーに合わせてシャフトのフレックスを選ぶなど、ちょっとしたアレンジを加えれば、飛距離を最大化できるドライバーが手に入るはずです」
ドライバーはラウンドで使う頻度の多いクラブで、ティショットが成功するかどうかはスコアメイクに直結する。クラブの性能はモデルが切り替わるごとにアップデートされているので、自分に合う“兄弟モデル”を見つけたら、ゴルフが大きく変わるはずだ。
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