ピレリの最も柔らかいタイヤ『C6』がイモラで登場。シーズン後半の選択に向けたテストの意味合いも
2025年5月15日(木)18時10分 AUTOSPORT web

F1の公式タイヤサプライヤーであるピレリは、今週末のF1第7戦エミリア・ロマーニャGPでドライバーが使用できるタイヤとして、同社の最も柔らかい『C6』コンパウンドが用意されると発表した。
C6コンパウンドは、ピレリがエミリア・ロマーニャGPに投入する3種類のスリックタイヤのうちのひとつだ。2024年シーズン中と、アブダビで行われたシーズン後の1日でテストが行われたC6は、今年のバーレーンでのプレシーズンテスト中にチームが使用できるようになっていたが、サクヒールのコースの要求には柔らかすぎたため、当然ながらどのドライバーも3日間の走行中に使用しなかった。
最もソフト寄りのコンパウンドであるC4、C5、C6タイヤが、アウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(通称イモラ・サーキット)の要求に最も適しているとピレリが確信していることから、この選択は、同社が今シーズン後半にさらに大胆なタイヤ選択を行う可能性を評価するために実施する、最初のテストでもあると考えられている。ピレリはすでに、C6を第8戦モナコGPだけでなく、第10戦カナダGPでも使用することを発表している。C6タイヤを他のサーキットでも使用できる可能性があることが示されれば、ピレリは過去に使用した戦略を再び採用し、グランプリで使用できる2種のハード寄りコンパウンドと、特定の週末に選択される3つのうち最もソフト寄りのコンパウンドとの間にギャップを作る可能性が十分ある。
ピレリは次のように述べた。
「イタリアのサーキットは、一般的にタイヤにそれほど負担がかからないと考えられているが、高速コーナーと多数のトラクションゾーンがあり、タイヤには依然として大きなエネルギー負荷がかかる。これにより、チームは追加のピットストップを避けるために、より慎重にレースを管理する必要に迫られることになるが、ピットレーンが長く、追い越しの機会が限られているイモラでは、追加のピットストップは特に弊害となる」
1ストップレースではよいレースにならないという批判について、ピレリは次のように指摘した。
「C6を導入するという決定は、シーズン序盤にピレリが採用したより広範な戦略の一部だ。サウジアラビアやマイアミなどいくつかのイベントでより柔らかいコンパウンドを使用し、戦略的要素を広げてきた。レースは、柔らかいコンパウンドでも大部分がワンストップのままとなっているが、タイヤマネジメントがより重要になっている」
ピレリは、より柔らかいタイヤを導入することはF1の問題の解決策ではないと繰り返し強調している。それは、マシンは依然として幅広で重く、乱気流に敏感であるためだ。より柔らかいコンパウンドの導入により、予測不可能な要素が加わる可能性はあるが、それはより複雑な管理を促したり、レースを2ストップに近づけたりするためであり、チームはそうしたことに適応する傾向がある。
少し前、ピレリのレーシングディレクターを務めるマリオ・イゾラは、この状況について次のように主張した。
「これは終わることのない物語だ。我々はチームを困難に陥れようとするが、彼らは解決策を見つける。1ストップでタイヤを管理するのが最善の戦略であれば、彼らはそうする。あるいは、タイヤを労るようにマシンのセットアップを行うのかもしれない。我々は、よりデグラデーションを起こすコンパウンドを彼らに与えようとしているし、彼らはそれを使うことを学ぶ。我々はより柔らかいコンパウンドに移行するし、彼らはアプローチを変える方法を理解している」
「C6によってイモラで何が起こるか、ということに関心を持っている。我々が持っているなかで最もソフトな組み合わせだからだ。もうひとつのポイントは、収集されたデータを使用して、あるコンパウンドをスキップし、その後のレース分析をすることも検討できることだ。テストだけでなく、レースウイークと同様の状況でC6がどのように機能するかを理解するために、イモラを待ちたい」