レッドブル、マクラーレンの違法なタイヤ管理を疑い、サーマルカメラで独自調査。FIAの検査では違反はなし
2025年5月11日(日)7時15分 AUTOSPORT web

レッドブル・レーシングは、マクラーレンがMCL39のリヤタイヤの温度を制御し、優れたロングランペースを実現するなかで違法行為が存在すると考え、独自に調査を行い、FIAを介入させようとしている。
F1マイアミGPの週末、レッドブルは、ガレージの上にサーマルカメラを数台、マクラーレンのピットストップエリアに向けて配置した。それによりレッドブルのエンジニアたちは、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが走行を終えて戻ってきた際に、MCL39のリヤタイヤのどの部分が他の部分よりも冷えているかを正確に確認しようとしていた。
レッドブルは、マクラーレンが型破りの方法でタイヤを冷却し、それが優れたロングランペースにつながっているのではないかと疑っている。
ブラウンCEOは、レッドブルのこうした行為を皮肉り、金曜日のフリープラクティス中に、ピットウォールで『tyre water(タイヤ用の水)』と書かれたステッカーで覆われた大きな黒いボトルで水を飲むという行動に出た。
「深刻な問題を揶揄したのだ」とブラウンは、ウォーターボトルのステッカーについて述べた。
「F1では昔から、チーム同士で非難の応酬が行われてきた。最近では、ある特定のチームが他よりもその戦略に固執している」
「レース終了後にチームに抗議する正当な方法がある。正式な手続きを踏んで、情報の出所を明示し、一定の金額を支払う必要がある。私は、この手続きをすべての申し立てに拡張すべきだと思っている。そうすれば、ただの妨害を目的とした軽率な申し立てを抑制できる」
「つまり、金銭を支払い、書面で主張を明示し、裏ルートを使わずに申し立てるという条件があれば、このスポーツで起こる根拠のない申し立てを一掃できると私は考えている。根拠のない申し立てはスポーツマンシップに反している。もし技術的な問題があると信じている者がいるならば、申し立てを行うのは当然の権利だ。だが、その場合は、書面で提出し、金銭を支払って訴えるべきである」
FIAの情報筋によれば、あるチーム(レッドブルと考えられている)からの申し立てを受け、MCL39に対してこれまでに複数回の完全な検査が行われたが、違法な点は一切見つかっていないという。
マイアミGP後にレッドブルの情報筋が明かしたところでは、マイアミでのサーマルカメラでの撮影によって、マクラーレンのリヤホイールのブレーキドラムに焦点を当てた熱画像を取得、そこから、通常は最も高温であることを示す黄色および赤色であるところ、そこに低温を示す青色の領域が存在することがわかるということだ。
その画像は即座にFIAのテクニカルデリゲートであるジョー・バウアーに送付され、彼はマクラーレンのマシンに対して綿密な調査を実施したが、違法なシステムは発見されなかった。しかし、マイアミのレース後にMCL39の1台が「ランダムに」選ばれて詳細に検査されることになった。その検査の結果についての公式報告は、次戦エミリア・ロマーニャGP開始時に公表される。
毎戦、レース後に1台のマシンがテクニカルデリゲートによって数時間保持され、その間に収集されたすべてのデータがFIA本部で精査され、違法なシステムが存在しないことの確認が行われる。今回、その対象となったのはマクラーレンの1台だったというわけだ。
マクラーレンMCL39がリヤタイヤの温度を制御し、オーバーヒートを回避していることに、他チームは注目している。メルセデスは、マクラーレンが良い仕事をした結果として、それを受け入れているが、レッドブルのクリスチャン・ホーナーと彼のエンジニアたちは、マクラーレンは違法なシステムを使用しない限り、これを成し遂げることはできないと示唆している。ただしレッドブルは、そのシステムが何であるかを解明できずにいる。
マクラーレンチーム代表アンドレア・ステラは、MCL39のこの長所について、次のように語っている。
「現在の我々は、バーレーンでのテストで得た最初の印象、すなわち、このマシンはシングルラップよりもレースシミュレーションの方が扱いやすいということを裏付けるのに十分な統計を手にしている」
「これまでのところ、予選では完璧なラップを達成できておらず、おそらくベストのラップはバーレーンでのオスカーのものだ。しかしレースにおいて、連続周回を重ね、暑さのなかで若干のサーマルデグラデーションが見られるとき、我々のマシンは非常に優れた挙動を示す。私は、それが的を絞ったエンジニアリング作業の成果であると申し上げたい」