DRSに安全装置は必要か。鈴鹿でのクラッシュを受けてドライバーたちが議論、意見が分かれる
2025年4月17日(木)7時18分 AUTOSPORT web

F1日本GPでジャック・ドゥーハンが起こした大クラッシュについて、同様の事故を防ぐための方策について、ドライバーたちの間で意見が分かれている。DRS(ドラッグ・リダクション・システム)を開けたまま鈴鹿のターン1に進入したドゥーハンは、スピンを喫してバリアに激しくクラッシュした。これについてドライバーがDRSの使用にどの程度責任を負うべきか、ある程度の規制をすべきかについて議論が巻き起こった。
DRSはリヤウイングのフラップを開くことでトップスピードを向上させ、オーバーテイクを促進するためのシステム。ドライバーがDRSを手動で閉じなかった場合に、コーナー進入時にDRSを自動的に無効にする機能をつけるべきだという意見を持つ者と、DRSを開いた状態でコーナーに進入できるかどうかの決定をドライバーに委ねるべきだと考える者がいる。
GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)理事を務めるジョージ・ラッセルや、史上最も経験豊富なF1ドライバーであるフェルナンド・アロンソは、DRSを操作する決定権をドライバーに与えるべきだと主張した。
「僕たちがラップ中にDRSを自由に使えた時、レッドブルはシルバーストンのターン1と2を、DRSをオープンにして走っていたが、他のチームはそうしていなかった。あるマシンではできるが、他のマシンではできないという場合があるのは、F1では普通のことだ」とアロンソは言う。
「ドライバーがそうした決定を下せないように規制するべきか、それともドライバーが自由にそうした決定を下せるようにすべきか? 僕たちは自由に決断を下すべきだよ」
「今の僕たちはあまり自由でなく、多くの決断を下せる立場にない。アウトラップの準備、予選、エネルギーデプロイメントは、今では自動で行われる。同じストレートで同じエネルギーを投入していて、追い越しなどの戦略を変えたりする自由はない。もうたくさんだと思う」
ラッセルは、日本GPを前に、「鈴鹿のターン1は、カレンダー全体のなかで、こういう問題を抱える唯一のコーナーだろう」と述べていた。
「ドライバーとして責任がある。ストレートを全開で走り、コーナーに進入しなければならない。ボタンを軽く押してDRSをオフにするのも仕事のうちだ。すでにガジェットやシステムが多すぎる」
DRSを開いた状態でコーナーに進入できるかどうかの決定をドライバーに委ねるべきではないという意見を述べているひとりが、カルロス・サインツだ。サインツはこう反論している。
「今のマシンでも、最優先事項が安全性であることに変わりはない。今のスピードを考えるとなおさらだ。他の時代のF1だったら、ジャックは今日(事故直後は)歩けなかっただろう」
「『このような事故がもっと頻繁に起きていないのは驚きだ』ということを僕は強く主張した。なぜなら、DRSボタンを誤って押してしまい、DRSが開いたままになってしまったことがあり、あのターン1や、上海のターン1、オーストラリアのターン9のようなコーナーに進入する際に、大きなスナップが起き、恐怖を感じた瞬間があったからだ」
「このアイテムの安全性について取り組む必要があるということを証明するために、もっと事故が起きなければならないのかと、僕は懸念している。ジャックの事故は、ブレーキをかける前に自動的に閉じるような装置を作る必要があることを示していると、僕は考える。そうすれば、ドライバーのミスや故障のせいでDRSが閉まらないといったことを防げるだろう」