アビスパ福岡の補強成果は?新戦力の活躍度を5段階評価【J1リーグ2025】
2025年4月17日(木)19時30分 FOOTBALL TRIBE

昨季(2024)の明治安田J1リーグでは一時期11戦未勝利という苦しい状況も味わったが、最終的に12勝14分12敗と五分の戦績で12位フィニッシュとなったアビスパ福岡。今季はJ2時代から5シーズンにわたって指揮を執った長谷部茂利監督が退任し、昨年まで町田ゼルビアのヘッドコーチを務めていた金明輝氏を招聘し新たなスタートを切った。第10節を終えたここまでは、6勝1分3敗で暫定首位につけている。
再び一桁順位そして2023YBCルヴァンカップに続く2つ目のタイトル獲得に向け、今冬は補強にも積極的に動いた。MF前寛之やDFドウグラス・グローリなど、長谷部体制を支えた主力選手の一部流出こそあったが、それを補えるだけの戦力を整えた上で新シーズンに入ったと言っていいだろう。ここでは、第10節までにリーグ戦で出番のあった期待の新戦力について、その活躍度を5段階で評価していく。

MF見木友哉
評価:★★★★★
昨季、東京ヴェルディでJ1デビューを果たしたMF見木友哉。初のJ1ながらジェフユナイテッド千葉(J2)時代と変わらず攻撃面で大きく貢献し、リーグ戦37試合出場4ゴールと結果も残していたが今冬福岡への移籍を決断した。
福岡では開幕からスタメンの座を維持し続けており、ここまで10試合すべてに先発。第2節のガンバ大阪戦で今季チーム初得点となるゴールを挙げると、直近第10節の横浜F・マリノス戦では前半に同点ゴールをお膳立て。さらに後半には低いクロスに合わせて得点を挙げ逆転勝利の立役者となっている。全試合スタメンというチームからの信頼に加え、早速複数のゴールに絡んでいることから評価を「5」とした。

DF安藤智哉
評価:★★★★★
J2の大分トリニータから個人昇格を果たしたDF安藤智哉。冬にDFドウグラス・グローリやDF宮大樹といった選手を失っていた福岡にとって、J3から着実にステップアップしてきた長身DFの加入は極めて大きかったと言えよう。ここまで9試合に先発出場し、持ち前の高さを武器に相手の攻撃を弾き返す壁となっている。
その高さは攻撃時にも活きており、第6節のFC東京戦では後半アディショナルタイムにヘディングでネットを揺らし値千金のゴールでチームに勝ち点3をもたらした。さらに続く第7節でもゴールを挙げ、攻撃面でも福岡の新たな武器となっている。守備陣に空いた穴を埋めつつ、得点源としての役割も果たしていることから評価を「5」とした。

FW藤本一輝
評価:★★★★☆
昨冬大分トリニータから町田ゼルビアへと移籍したFW藤本一輝。2021シーズン以来となるJ1の舞台で開幕から出番を掴み最終的に36試合に出場して3ゴールと存在感を示した。そして、今冬の移籍で金明輝監督と共に福岡へ加わり新シーズンをスタートさせている。
今季も開幕スタメンとはならなかったが、ここまで全試合に出場。直近の第10節横浜FM戦で今季初ゴールも挙げた。左サイドでスピード感のある突破から敵陣深くまで侵入しクロスでチャンスを作り出す力は一級品。試合での活躍に加え、同ポジションのFW岩崎悠人より多くの出場機会を得ているなど、監督の信頼がうかがえることから評価を「4」とした。

DF志知孝明
評価:★★★☆☆
サンフレッチェ広島からの期限付きで3年ぶりに福岡へ帰ってきたDF志知孝明。期限付きとはいえ、一度はクラブを離れたものの2021〜22シーズンに主軸を務めた左サイドバックの帰還に歓喜したファンやサポーターも多くいることだろう。
開幕戦では早速スタメン出場を果たすも終了間際に退場となり復帰初戦は苦々しいものとなったが、出場停止明け以降もほぼ変わらずスタメンの座を掴んでおり好調なチームを支えている。ゴールやアシストこそないものの早速定位置を掴んでいることから評価を「3」とした。シーズンはまだ長いが、このままいけば今季終了後は志知の去就を心配するファンやサポーターも多く出そうだ。

GK小畑裕馬
評価:★★☆☆☆
下部組織からベガルタ仙台で育ったGK小畑裕馬が、今冬初めて仙台を離れる決断をし福岡へと加わった。これまで、世代別代表の経験があることからもその実力は十分信頼に値するものと言えよう。直近の2シーズン仙台ではリーグ戦での出場機会はなかなか得られておらず、新天地でポジションを掴めるかが注目された。
迎えた開幕戦では先発を掴み取り、後方からのボール供給で存在感を発揮。そのまま第2〜3節まで出場機会を得たが、福岡と言えば直近のシーズンを見てもGK村上昌謙とGK永石拓海の両選手がハイレベルなポジション争いを続けていたクラブであり、第4節以降はスタメンから遠ざかっている。足元の技術で差別化できる要素があり、早速特徴を見せつけていたが徐々に出番が無くなっていることから評価を「2」とした。

MF名古新太郎
評価:★★☆☆☆
昨季は鹿島アントラーズでチーム4位の5ゴールとチームトップの9アシストをマークしたMF名古新太郎。鹿島の攻撃の軸を務めた選手の移籍は、今冬の国内移籍の中でも驚くニュースの1つであった。
セットプレーの場面などで見られるキック精度の高さや、前線からボールを何度も追い相手のプレーを制限していく運動量が持ち味。福岡でも攻守で高い貢献度が期待されたのは間違いない。しかし、ここまでは出場機会こそ得られているもののスタメンでの出場は多くなく、プレー時間は限られている。昨季を思えばやや物足りない活躍度合いから評価を「2」とした。

MF秋野央樹
評価:★☆☆☆☆
今季6年ぶりにJ1の舞台へ帰ってきたMF秋野央樹。2023年11月に当時所属していたJ2のV・ファーレン長崎から一度は契約満了が発表されながらも同クラブと再契約し、昨季はキャプテンも務めあげた。そして今冬はJ1の福岡へ移籍と見事な復活を遂げた選手だ。しかし、秋野が主戦場とする中盤中央には昨季チームに加わったMF松岡大起や同じ新加入組のMF見木友哉といった選手たちがおり、出場機会は限定的なことから評価は「1」とした。

DF上島拓巳
評価:★☆☆☆☆
今季5年ぶりに福岡への復帰を果たしたDF上島拓巳。以前所属していた2020シーズンには41試合に出場し、福岡J1昇格の原動力にもなった選手だ。空中戦の強さが大きな武器だが、同じく高さや強さに定評のあるDF田代雅也やDF安藤智哉とのポジション争いは熾烈で、現時点では後れを取っていることから評価を「1」とした。堅守を誇る福岡で定位置奪取は成るのか。ハイレベルな序列争いに引き続き注目だ。

DF橋本悠
評価:★☆☆☆☆
福岡大学から加入した大卒ルーキーのDF橋本悠。ここまでリーグ戦は2試合わずか6分の出場に留まっているが、ルヴァンカップでは一回戦のFC琉球戦に続き直近行われた二回戦(栃木SC戦)でも先発フル出場を果たし確実にプロ環境でのプレー経験を積んでいる。リーグ戦での出場が極めて少ないことから評価を「1」としたが、対人の強さが光る同ポジションの選手たちとの序列争いでさらなる成長に期待だ。