アビスパ福岡がクラブ史上初のJ1首位!金監督が導く快進撃の理由とは【2025】

2025年4月18日(金)19時0分 FOOTBALL TRIBE

アビスパ福岡 写真:Getty Images

各クラブの激しい戦いが繰り広げられている2025明治安田J1リーグ。第10節を終え、消化試合数の違いこそあるものの、徐々に上位と下位の勝ち点に差が開きつつある。その中でも注目したいのが現在首位に立つアビスパ福岡だ。


開幕後3連敗を喫したものの、その後は3月1日の第4節ヴィッセル神戸戦を機にここまで公式戦9試合負けなしと好調を維持している。ここでは、クラブ史上初のJ1首位に立った福岡の好調要因を読み解いていく。




金明輝監督 写真:Getty Images

堅守アビスパから「能動的サッカー」へ


2024シーズンまでの福岡のサッカーは、堅守を武器に粘り強い守備から素早い攻撃で得点を奪うスタイルが特徴的だった。J1でも失点数の少なさは突出しており、昨シーズンの失点数はリーグで4番目に少ない「38」。守備面では前任の長谷部茂利監督がしっかりと土台を築いたと言えるだろう。


2025年、クラブは新たな指揮官として金明輝氏が就任。金監督は就任会見で「選手たちが主体的に、能動的にボールを前進させる。守備においても、強くアクションを強く目指していきたいと思っています」と語っていた。その言葉通り、チームはシーズン序盤から積極的にアクションを起こすサッカーを見せる。開幕直後こそ3連敗を喫するも単なる受動的な守りから一歩前進し、守備を攻撃の始まりと位置付ける新たなスタイルをチームに浸透させた。


これがまさに金監督の言う“能動的にボールを前進させる”サッカーなのではないだろうか。相手がボールを保持時している時にも能動的に動き、不利な状況を自ら打開し素早く攻撃に結びつける戦術は数字にも表れている。3月15日に行われた第6節のFC東京戦では計23本ものシュートを放ち、ボール支配率も相手を上回る53%と圧倒的に自分たちのペースで試合を運び1対0と完封勝利を挙げた。福岡が好調な要因の一つにはには金監督が目指す”能動的サッカー”がチームに定着してきた事が挙げられるだろう。




志知孝明 写真:Getty Images

走行距離はJ1トップ


金監督の目指す能動的に動くスタイルのサッカーには、常にボールを追いかける運動量が必要とされる。監督は選手たちにトレーニングでも常に全力を出し続けることを求めており、その結果相手にボールを持たれている被ポゼッション時の走行距離はJ1全クラブの中で東京ヴェルディ、セレッソ大阪と並ぶトップタイの数字だ。特にMF見木はチームトップの119.6kmという走行距離を記録しており、これはJ1リーグ全体でも8位となっている。相手にボールを持たれる時間が多くとも、チームとして組織的に守備を行い、機を見て素早い攻撃を仕掛けるスタイルの実現に必要なスタミナと運動量で相手を圧倒するプレーもまた福岡が好調の要因のひとつだろう。


名古新太郎(鹿島アントラーズ所属時)写真:Getty Images

既存選手と新戦力の融合


今年、福岡には東京ヴェルディからMF見木友哉、町田ゼルビアからFW藤本一輝、鹿島アントラーズからMF名古新太郎、大分トリニータからDF安藤智哉らを獲得。彼らは開幕直後からスタメンに名を連ね、見木と安藤はこれまで2ゴール、藤本も第10節の横浜F・マリノス戦で貴重な同点ゴールを記録し、それぞれが主力として活躍している。


一方で既存選手の活躍も見逃せない。福岡屈指のサイドアタッカーであるMF紺野和也はこれまでリーグ戦全10試合(スタメン8、途中出場2)に出場、YBCルヴァンカップでも2得点を挙げている。その他、MF金森健志やFWウェリントン、FWシャハブ・ザヘディ、FWナッシム・ベン・カリファなどの既存選手もチームにとって欠かせない存在だ。


前述の横浜FM戦では、スタメン11人中5人が新加入選手で試合は見木の逆転ゴールで勝利を掴んだ。これまでチームを支えてきた既存選手と新加入選手とが上手く融合することにより良い結果をもたらしていると言えるだろう。




アビスパ福岡 写真:Getty Images

チーム力底上げの鍵


福岡は今季、FWサニブラウン・アブデル・ハナンとFW前田一翔の2名が下部組織よりトップチームに昇格。また福岡大学から加入のDF橋本悠は、3月15日の第6節FC東京戦でJ1デビュー。さらに4月17日に行われたYBCルヴァンカップ2回戦では、来シーズンからの加入が内定し今季は特別指定選手として登録されている宮崎産業経営大学のFW佐藤颯之介がゴールを決めるなど、若手にも期待が持てる逸材が多くいる。


今後、福岡が上位争いを演じるには選手層の底上げが必須であり、彼らのような若い選手の活躍はチームにとって重要な要素のひとつだと言える。リーグ戦のほかカップ戦でも勝ち進むとなれば試合数も増え選手のコンディション調整も重要となる。福岡が本当の意味で強豪クラブとなり、J1上位のみならず近い将来アジアの舞台で戦うためにはチーム全体のさらなる強化が必要だ。その一環として若手選手の活躍が鍵を握る事になるだろう。




Jリーグ 写真:Getty Images

「感動と勝ちにこだわる」その先へ


筆者が小学4年生(もしかしたら3年生だったかもしれない)の時に誕生したアビスパ福岡も今年で創設30周年を迎えた。当時、中央防犯FC藤枝ブルックスが静岡県藤枝市からの移転を経て福岡ブルックスと名前を変え、さらに2年後アビスパ福岡へと改名したことは今でも鮮明に覚えている。


数年前に他界した父と共に前身の福岡ブルックス、そして誕生したばかりのアビスパ福岡の試合を見に行ったのは今でも良い思い出だ。あれから30年、偶然にも現在小学4年生の長男はクラブチームでサッカーをしている。


J1での上位争いは簡単なことではない。クラブはスローガンとして「感動と勝ちにこだわる」を掲げている。“5年周期”と言われたJ1での戦いや経営難など数々の歴史とともに歩んできた福岡。クラブの歴史はサポーターの歴史でもある。首位を走る今シーズンはいったいどんな戦いを見せてくれるのか、30周年を迎え勢いに乗る福岡の今後に期待したい。

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