兵庫トップジョッキー・広瀬航 2度目のJRA参戦「レベルの高さを感じた」
2025年4月17日(木)5時15分 スポーツニッポン
日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の新谷尚太(47)が兵庫のトップジョッキー広瀬航(41)を取り上げる。12日に自身2度目となるJRA参戦。スポニチ本紙西日本版・園田&姫路競馬面のコラム「さえワタル男前」でもおなじみの同騎手に近況を含めて取材した。
広瀬にとって12日の阪神は23年5月13日以来のJRA騎乗となった。私自身、以前は園田&姫路競馬を担当していただけに、その頃から何かとお世話になっているジョッキー。再会を楽しみに阪神に向かった。
レースの合間に検量室付近で声をかけると、まずは彼の持ち前の爽やかなスマイルでコンタクト。「朝からずっと緊張していました」と言いながらも見ている分には力が入り過ぎている様子もなく、いつも通り乗っているように見えた。
この日は4鞍。13、7、4着で最終12Rは矢作厩舎のアンジュフィールドとのコンビでJRAでは初の1番人気に支持された。「またがってからは普段と変わらず平常心でレースに臨めました」。積極的に前に取り付いたものの人気を背負っていただけに周りのプレッシャーも激しく、直線は伸びを欠いて4着に敗れた。「最後はじわじわ脚を伸ばしてくれましたが…」と反省の弁。その後は矢作師とモニターでレースを分析する姿があった。「ジョッキーなので当然、勝ちたい気持ちが強かったです。一日中(気持ちが)フワッとしていた感じで、あっという間に(一日が)終わりました。結果を残すことはできなかったけど騎乗を依頼してくださった関係者の方々には本当に感謝しています」と前を向いた。
近年は地元の兵庫で成績が向上。デビュー21年目の21年には自身初の年間100勝を超え(103勝)、兵庫若駒賞(ガリバーストーム)で重賞初制覇を飾った。その後も年間100勝を継続し、昨年はキャリアハイの157勝で吉村智洋、下原理に次ぐ地元3位、全国リーディング13位と躍進。「まだ技術面で未熟な面はあるけど日々こつこつ積み重ねたことが実を結びつつある印象です。地元だけではなく、全国の地方競馬ファンの皆さんに兵庫の広瀬航の名前を知ってもらいたい」と力を込めた。
今回のJRA騎乗は自身にとって刺激となり、チャレンジ精神がさらに強くなったという。「中央のジョッキーと一緒に騎乗してレベルの高さを感じたし、レースの駆け引きも勉強になります。中央に挑戦する機会がどんどん増えてほしい」と意気込む。最後に「来月16日から園田でナイター競馬が始まります。足を運んで競馬の迫力を間近で感じていただけたら」と地元のアピールも忘れなかった。兵庫リーディングは小牧太に次いで現在2位。悔しさをバネに奮闘を続ける広瀬の騎乗に注目したい。
◇広瀬 航(ひろせ・わたる)1984年(昭59)3月22日生まれ、大阪府出身の41歳。地方競馬教養センター騎手課程第73期生として卒業し、01年4月1日付で園田競馬場の国沢利照厩舎に所属。同年6月20日のヒュウガタイムで初勝利。21年兵庫若駒賞(ガリバーストーム)で重賞初制覇。22年4月22日付で兵庫県初となる兵庫県騎手会所属(フリー)になった。地方通算1万4032戦1154勝、JRA通算6戦0勝。
◇新谷 尚太(しんたに・しょうた)1977年(昭52)4月26日生まれ、大阪府出身の47歳。18年5月から園田競馬を担当、同年10月に中央競馬担当にコンバート。前職は専門紙「競馬ニホン」の時計班。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」のパドック解説を担当。