【ヤングスター列伝④】“ロス・セレステス”の指揮者/フラン・ベルトラン(セルタ)
2019年4月18日(木)22時5分 サッカーキング
名前:フラン・ベルトラン(Fran Beltrán)
誕生日:1999年2月3日
年齢:20歳
身長/体重:170cm/66kg
主なポジション:センターミッドフィルダー
リーグ成績:28試合出場1ゴール0アシスト
■ラージョでプロデビュー…チャンスを確実に活かす強心臓ぶりを発揮
1999年にマドリード州マドリードで生まれたベルトランは、8歳でヘタフェのカンテラに加入。14歳の時には、ラージョ・バジェカーノのカンテラに活躍の場を移した。マドリード出身のベルトランが、同じくマドリード州にあるヘタフェとラージョに籍を置いたのは、自然な流れだったのかもしれない。
2016−17シーズンには、ラージョのトップチーム昇格が決定。すると、開幕節のエルチェ戦でいきなり先発出場をつかみ取り、あれよあれよといううちにデビューを飾る。2016年10月29日のテネリフェ戦ではトップチーム初ゴールを決めてみせるなど、訪れたチャンスに物怖じしない強心臓ぶりを発揮した。
■小気味良いパス捌きと、ボールの受け方が秀逸
ラージョのキープレーヤーに成長したベルトランは、今季開幕前にセルタへの移籍を決断する。セグンダ・ディビシオンでプレーしていたベルトランだったが、ここまではプリメーラ・ディビシオン初挑戦とは思えないようなプレーを見せている。
テンポ良くパスを捌く彼の姿を見て、20歳の若者だと思う者はほとんどいないだろう。プレーの選択はシンプルなものが多いが、むしろそれがチームのリズムを作り出すことに一役買っている。ボールの受け方も非常に上手い。相手との距離を常に把握しながら、次の動作にいち早く移れるような位置取りと体の向きを作り、ボールを呼び込むことができている。
■現在の役割は“チームの指揮者”、だが少年時代のアイドルは……
今季新加入ながら、セルタの攻撃サッカーを支えているベルトラン。中盤でリズムを作り出し、試合をコントロールしている童顔のミッドフィルダーだが、少年時代のアイドルは意外や意外、元レアル・マドリードのエースフォワード、ラウール・ゴンサレスだったようだ。
ベルトランがストライカーになることを諦めた要因の一つは、小柄な身長にあったという。だが、結果的にこの決断は、彼のキャリアを大きく前進させることになった。プレーの明確なビジョンを持っているベルトランは、中盤でチーム全体をオーガナイズする役割を与えられてこそ、その才能をいかんなく発揮できるからだ。ラウールのように華麗なゴールを決めることはないかもしれないが、ベルトランは非凡なパスセンスと20歳とは思えない落ち着きで、“ロス・セレステス”(セルタの愛称)の指揮者となっている。
文=松本武水
写真=Getty Images