「ル・マンで役立つ」NASCARの哲学。IMSA並行参戦がWECチームとドライバーのメリットに

2025年4月19日(土)17時53分 AUTOSPORT web


 デュアルシーズン・プログラムに参加しているポルシェ、BMW、キャデラックのドライバーは、それぞれのLMDhマシンでより多くのシートタイムを獲得することでメリットを実感しているという。


 今季2025年WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では、少なくとも5人のドライバーが両シリーズ並行参戦することになっており、その結果3メーカーの“コア”ファクトリードライバープールが減少することとなった。昨年、6号車ポルシェ963を駆りWECのドライバーズチャンピオンを獲得したアンドレ・ロッテラーは、この影響を受けたひとりだ。



 マット・キャンベルは、マシュー・ジャミネとともに、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)からウェザーテック選手権にフル参戦し、さらにWECの全8ラウンド中少なくとも5戦をサードドライバーとして走る予定だ。


「僕たちドライバーだけでなくチームにとっても、あらゆる面でメリットがあることは間違いない」とキャンベルはSportscar365に語った。


「それぞれのチャンピオンシップで週末ごとにやってきたことを確実に学べるし、次のレースに向けて何かを学ぶこともできる。僕は両方のシリーズを楽しんでいる。そして明らかに、今年はこのプログラムで多くの成功を収めている」


「今回の(デュアル)プログラムでは、今の僕たちの一貫性の高さ、そしてミスを最小限に抑えていることが、本当によく分かると思う。今年のチームと彼らのパフォーマンスを見ると、感銘を受けるよ。なぜなら、レースで一度も大きなミスを犯したことがなかったのだからね」



ジュリアン・アンドラウアー/ミカエル・クリステンセン/マシュー・ジャミネ組5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ) 2025年WEC第2戦イモラ

 BMWのシェルドン・ファン・デル・リンデとドリス・ファントールは、ウェザーテック選手権のフルシーズンと、IMSAと日程が重ならないすべてのWECレースに参加している。キャデラックのドライバーであるアール・バンバーも同様だ。


 2025年は、昨年WECハイパーカーとDTMの両レースを分担していたファン・デル・リンデにとって、プロトタイプマシンにフルタイムで取り組む初めてのシーズンとなっている。


 南アフリカ出身のドライバーはSportscar365に対し次のように語った。


「このマシンの隅々まで理解できたことは、個人的に大きなメリットだと思っている。ブレーキ・バイ・ワイヤやアンチロールバーなど、ドライバーがコクピット内でできる微調整は非常に多くある。これらの中にはGT3カーでは調整できないものもあるため、LMDhに乗ったときに、こうした細かい調整が可能なことすら忘れてしまうことがあるんだ」


「今はそれらのセッティングを本当に理解し、運転中に自分の好みに合わせてマシンを微調整しようとしている。それが今のところ一番大きな違いを感じているところだ」



レネ・ラスト/ロビン・フラインス/シェルドン・ファン・デル・リンデ組20号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT) 2025年WEC第2戦イモラ

■5台分のデータを各チームが共有


 キャンベルとジャミネは両シリーズで同じチームで走っているが、ファン・デル・リンデ、ファントール、バンバーはそれぞれ異なる組織で時間を割いている。ただし、いずれの陣営、チームともデータ共有に関してはオープンブックポリシーを採用している。


「キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAと(IMSAでキャデラック・ウェーレンを運営する)アクション・エクスプレス・レーシングの連携は素晴らしいよ」とバンバーはSportscar365に語った。


「イアン・ワット(AXRのテクニカルディレクター)は、すでにいくつかのテストのためにチーム間を行ったり来たりしている。また、電話でよく話をしているから、両チームは過去の学びや、今学んでいることなどについて、本当に頻繁に情報交換をしているんだ」


「5台のマシン(WEC2台、IMSA3台)がそれぞれ個別にではなく、連携してサーキットを走っているので、プロジェクト全体のレベルアップにつながっていると思う」


「キャデラックが体制を変更したことは、今年のレースへの取り組み方に大きな影響を与えている。ル・マン24時間レースに4台で臨むことにも役立つはずだ」


 バンバーによると、両チームはセットアップデータを共有しており、3月にイモラで行われたプレイベントテストではJOTAがキャデラックVシリーズ.Rのスピードを上げるのに役立ったという。


「ここイモラでは、セブリングをベースラインとしてスタートした」と彼は述べた。


「1カ月前にテストに来た際、AXRとJOTAの間で大きな議論があった」


「ロングビーチのセットアップは、この場所では少しアグレッシブすぎるかもしれないが、それはおそらく、現在行われているコラボレーションとアイデアの共有を示す良い例だろう」


「最近はすべてのマシン間でデータとセットアップを共有している。これはまさにNASCARの哲学そのものだ。アメリカでは同じ陣営内の誰もがすべてを見ることができる」



アール・バンバー/セバスチャン・ブルデー/ジェンソン・バトン組38号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA) 2025年WEC第2戦イモラ


AUTOSPORT web

「ドライバー」をもっと詳しく

「ドライバー」のニュース

「ドライバー」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ