無敵艦隊は戦略分かれても沈まず。太田が連日の1-2を先導し今季2勝目、トップ山下に悲劇【第4戦レポート】
2025年4月20日(日)19時12分 AUTOSPORT web

4月20日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦決勝(37周)が行われた。前日と同様にオープニングラップの1コーナーでアクシデントが発生し、レースは早々にセーフティカー(SC)が導入。ここでタイヤ交換を済ませほぼレース距離すべてを1セットのタイヤで走り切った太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップチェッカーを受け、今季2勝目をマークした。
2位は牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入り、チームは第3戦から連続のワン・ツーフィニッシュ。3位には岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が入った。ポールシッターの山下健太(KONDO RACING)はタイヤ交換のミスでほぼ最後尾に後退。13位まで追い上げたもののノーポイントに終わった。
決勝スタート前の気温は26度、路面温度は34度で、前日の第3戦と比べて涼しいコンディションとなった。レコノサンスラップ中にブレーキにトラブルが発生した福住仁嶺(Kids com Team KCMG)がダミーグリッドに着くことができず、さらにフォーメーションラップで出遅れた三宅淳詞(ThreeBond Racing)が最後尾に下がるというハプニングに見舞われる。それでも、トラブルを解消させた福住がピットロードに並び、20台全車が無事にスタートを切った。
ポールシッターの山下が好スタートを切ったかに見えたが、さらに良い蹴り出しを見せたのがフロントロウの太田。1コーナーで並びかけサイド・バイ・サイドのバトルに持ち込んだが、山下が耐えきりトップを死守する。その後方で平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)、高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)が絡むクラッシュが発生。平良はグラベルにストップしリタイアとなるが、このアクシデントでSCが導入された。
今回のレースはピットウィンドウの設定がなく、オープニングラップからタイヤ交換が可能。鈴鹿大会の第2戦同様、最終ビクトリーコーナーに戻ってきた車両たちは次々とピットへと舵を切るなか、3番手の牧野以下、岩佐、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、小林利徠斗(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)らがステイアウトを選択。
タイヤ交換に向かった組では、太田がチームの素早いピット作業で山下の前に出ることに成功する。山下は太田に続いてコースインしたが、タイヤがはまっておらずスロー走行に。ふたたびピットに戻ってタイヤ交換を済ませることとなる。予選からオープニングラップまでは順調に進めていた山下だったが、早々に優勝争いからは大きく外れることになった。
ステイアウトを選んだ牧野を筆頭に、岩佐、佐藤、坪井、小出というトップ5で、レースは5周を終えてリスタート。
予選で後方に沈んでしまった坪井だったが、決勝ではペースも良く6周目のS字で佐藤をとらえてポジションアップすると、牧野と岩佐に食らいついて行った。しかし、16周目に突如スローダウン。ギアにトラブルを抱えてしまった様子で、残念ながらピットへ戻ることに。これでふたたび佐藤が3番手に戻り、小出、小林という順。タイヤ交換を済ませたウラの首位に立つ太田は6番手につけた。
牧野とのギャップは、9周目を終えたところで約10秒。前後の車両に挟まれて思うようなペースで走行できない太田に対し、先頭を走る牧野はペース良く周回し、2台の差は徐々に開いていった。
牧野は、23周を終えるタイミングにピットイン。この時、太田とのギャップは約16秒で、タイヤ交換作業中の牧野の横を太田が通過していく。牧野は太田の5つ後方、暫定9番手で後半スティントを開始した。タイヤに熱が入ると3コーナーで1台、ヘアピンでさらに1台をとらえてポジションアップし、2周後の130Rでもサイド・バイ・サイドのバトルの末に1台をパスすると、残る1台はタイヤ交換に向かい、27周目には太田の後ろまで順位を取り戻していた。
牧野よりもタイヤ交換のタイミングを引っ張っていた岩佐が、28周を終えたところでピットに向かうと、これで全車の作業が終了し、太田が見た目上でもトップに。岩佐は太田の後ろでコース復帰するが、コールドタイヤのうちに牧野の先行を許し、3番手になっていた。
残りは9周のところで、太田と牧野のギャップは11.1秒と大きい一方、牧野と岩佐の差は3.3秒。フレッシュタイヤの岩佐は一気にペースを上げて牧野との差を縮めていく。比較的タイヤにマージンのある牧野もハイペースで太田を追いかけ、その差を削っていったものの、11秒の大差を逆転するには至らず、太田がトップでチェッカーを受けた。
これで太田は、鈴鹿での第1戦に続きシーズン2勝目。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGとしては、昨シーズンの第8戦から驚異の6連勝だ。太田を追いかけつつ岩佐からのプッシュもしのぎ切った牧野が2位で、岩佐はリタイアとなった前日の雪辱を晴らす3位表彰台獲得となった。以下、フェネストラズ、阪口、大嶋というトップ6。ポールスタートからまさかの最後尾となった山下は、13位まで順位を取り戻してフィニッシュした。