ジャンボ金言「3」胸に…プロ5年目佐久間朱莉、123戦目で悲願初V! 両親支えに恩返し「やっと勝てた」

2025年4月21日(月)6時0分 スポーツ報知

ツアー初優勝を飾り、ガッツポーズする佐久間朱莉(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー KKT杯バンテリンレディス 最終日(20日、熊本・熊本空港CC=6565ヤード、パー72)

 プロ5年目の佐久間朱莉(しゅり、22)=大東建託=が初優勝を飾った。1打差2位で出て5バーディー、ボギーなしの67をマークし、通算11アンダーで逆転V。これまで2位が4回と苦しんだが、師匠で国内最多のツアー94勝を誇る尾崎将司(78)の金言を胸に、悲願の優勝を123試合目でつかんだ。この大会は、昨年に竹田麗央(22)=ヤマエグループHD=が初優勝し、年間8勝して年間女王、世界へと羽ばたいた“登竜門”。22歳のショットメーカーが、25年の主役に名乗りを上げた。

 涙がこみ上げた。30センチのウィニングパットを決めた佐久間は両手を広げて歓喜し、両親と同期の桑木志帆(22)らとハグしてうれし泣き。過去2位が4回の悔しさを晴らし「やっと勝てた。自分を信じてやってきた結果が結ばれてうれしい」と笑顔で喜びをかみしめた。

 6番のバーディーで堀を逆転し、首位に立った。同じジャンボの愛(まな)弟子で同組の小林夢果(21)に、11番で一度並ばれたが首位は譲らず。13、14、17番と約5メートルのしびれるパーパットが残っても「外しても死ぬわけじゃない」と強気にねじ込んだ。3日間54ホールのパット数は最少の「80」。一定のリズムで打つことを意識し、練習時はグリーン傾斜を計測する機器を置き、「右に1・5度」と正確に言い当てるほど研ぎ澄ませた感覚が土壇場で生きた。

 苦難を乗り越えた。アマ時代から活躍し、21年のプロテストはトップ合格。だが、岩井姉妹や桑木ら02年度生まれの同期生にツアー優勝で先を越され「自分が置いて行かれている気持ちになった」。母・美樹子さん(51)に「何で勝てないんだろう」と打ち明けた時期もあった。それでも、何度も優勝争いを演じて自信がつき「周りより自分の結果」を重視。地道な努力が実を結んだ。

 中学3年時から師事する師匠の言葉「3・3・3」が教訓だ。プロ野球・巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(89)に憧れる尾崎が好きな数字で「俺は最初と最後の3ホールを大事にしてる」—。この日も2番、16番でバーディーと見事に教えを守り、勝ち切った。「まだまだだぞ!と言われると思うけど、その言葉を信じてまた頑張る」とうなずいた。

 昨年は竹田が初Vを飾り、年間女王へ飛躍した。佐久間は「もう少し日本で頑張りたい。今年の目標は複数回優勝。特に国内メジャーは勝ちたい」と話す。成長著しい22歳が、“竹田ロード”を突き進む。(星野 浩司)

◆佐久間 朱莉(さくま・しゅり)

▽生まれ 2002年12月11日、埼玉・川越市生まれ。22歳

▽身長 155センチ

▽家族 両親と兄

▽ゴルフ歴 父の影響で3歳から。埼玉・名細(なぐわし)中3年時から尾崎将司が主宰する「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」に入門。19年の日本ジュニア2位、翌年アマ日本代表入り。21年に埼玉平成高を卒業し、同6月のプロテストにトップ合格。同11月に下部ツアーの京都レディース優勝

▽得意クラブ アイアン

▽趣味 映画観賞

▽好きな歌手 平井大。推し曲は「栄光の扉」

▽好きな食べ物 牛タン、すし(えび、サーモン)

▽好きな言葉 「笑う門には福来たる」

 ◆主なジャンボ門下生の女子プロ 原英莉花は15年に知人の紹介で弟子入り。18年7月にプロテストに合格し、20、23年の日本女子オープンなどツアー5勝。17年に開設された「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の1期生となったのが、佐久間と米ツアーで活躍する西郷真央だ。日本ツアー6勝の西郷は昨年米ツアーに本格参戦し、日本勢では34年ぶりとなる新人賞を受賞。19年には笹生優花が入門。20年に国内2勝を挙げ21、24年の全米女子オープンを制している。木戸愛(めぐみ)、小林夢果も愛弟子。

◆送迎やお弁当 両親の支えに恩返し

 佐久間は“三人四脚”で悲願の初Vにたどりついた。18番グリーンで両親と抱き合い「やっと恩返しができた」と涙。毎試合、同行する父・浩太郎さん(53)は「勝てなくても『焦るな』と話してきた。おめでとう、頑張ったねと言いたい」と目を細めた。

 高校卒業後、プロテストまでの数か月間は埼玉・東松山CCの“研修生”として荷物運びなどのアルバイト。父は早朝に車で送ってくれ、母は好物のロコモコ丼など弁当を作り、午後に9ホールを回る練習も手伝ってくれた。この日もラウンド中に、母が手作りしたワカメのおにぎりや煮卵を食べてエネルギーチャージ。母が不在時は、父が遠征先でおにぎりを握るサポートが心強いという。

 両親が「響きで決めた」という「朱莉」の名がリーダーボードの一番上で輝いた。「真面目な子。体調が悪くても頑張っちゃう」と母が話す佐久間家の長女は、家族の記念撮影の真ん中で最高の笑顔を見せた。(浩)

スポーツ報知

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