J2札幌 左右キッカーの活躍で逆転勝利…田中克がFK同点弾、青木がバカヨコV弾アシスト…岩政監督采配に「これまでで一番悩んだ」
2025年4月21日(月)6時0分 スポーツ報知
後半9分、決勝点となるゴールを決めた札幌・バカヨコ(左から3人目=カメラ・飯塚 康博)
◇明治安田J2リーグ 第10節 札幌2ー1藤枝(20日・大和ハウス プレミストドーム)
北海道コンサドーレ札幌が、左右のキッカーの得点とアシストで2戦ぶりに白星を手にした。ホーム・藤枝戦は前半7分にCKから先制を許すも、同30分、MF田中克幸(23)が左足でFKを直接決め、同点。後半9分には左ショートコーナーからMF青木亮太(29)が右足で上げたクロスを、FWバカヨコ(29)が頭で合わせて決勝点を挙げ、2—1で勝利した。岩政大樹監督(43)が試合2日前の18日に決断した、2人を軸とした布陣が奏功し、勝ち点3を上積みした。
高精度のボールを蹴る札幌の2人のキッカーの存在が、ビハインドを覆した。0—1の前半30分、中央やや右18メートルの位置からのFK。田中克が左足で逆サイドに蹴った低い弾道は、相手GKの手に当たるもゴールに吸い込まれた。鮮やかな弾道の同点弾にも「キックを特長としている選手として、あれは決めて当たり前」と田中克は冷静に振り返った。
決勝点は青木の右足から生まれた。後半9分の左CK。短いパスをスパチョークに出し、再び受けて上げたクロスをバカヨコが頭で決めた。「しっかり意表をつけたかなと。あそこは効いたと思う」と青木は安どした。今季2度目の逆転勝利を初めてセットプレーによる2発で挙げ、田中克は「セットプレーで点が入るのは相手にとってすごく脅威になる。それで勝ち切れたということは本当に良かった」とうなずいた。
岩政監督の熟考が実った。2日間のオフが明けた16日からの練習。最初の2日間、さまざまな選手の配置を試した。岩政監督は「今回はこれまでで一番悩みました」と、この日、負傷離脱が発表されたDF馬場の代役を誰にするかを含め、策を練った。「2日間終わったところで何となくしっくりしない感じがあった。そこから一晩中考えて、結論が出たのは18日の朝、練習場に着いてから」。決断したのが青木のボランチ投入だった。
「開幕からボランチがゲームをつくれていなかった。青木は戦術理解が非常に高いが、サイドでプレーしているとボールへの関わりが少なくなり、指示も通らない」と中央に置いた。指揮官の思いを受けた青木は「前線のスイッチがかけやすいように声掛けをしたことで前でボールを取れる部分があったのは良かった」と結果につながったことを喜んだ。
青木の配置変更で本来ボランチの田中克をゴールに近い位置でプレーさせたことも奏功しての勝利。岩政監督は「次に進むことができる試合になった」と価値ある白星に、少しだけ表情を緩めた。
(砂田 秀人)
〇MF荒野拓馬(32歳の誕生日に6試合ぶり出場)「チームの勝利に貢献できてうれしい。誕生日の日にホームでサポーターの前でサッカーできることに感謝してプレーしようと心がけた」
〇FWバカヨコ(4試合ぶりの今季2点目が決勝弾)「やっとゴールを決められてすごくうれしい。ずっと練習してきたセットプレーが形になりました」
〇MF深井一希(後半37分から途中交代で今季初出場。昨年10月5日のG大阪戦以来の公式戦に)「緊張はなかった。復帰した時は力になれるように…と常に考えていた」
◆J2札幌◇負傷 20日、2選手の負傷を発表。DF岡田大和(23)は9日の練習で右腓(ひ)骨筋腱炎を発症。DF馬場晴也(23)は、13日の札幌大との練習試合で左太もも裏を肉離れした。ともに全治は明らかにされていない。
◇交代 DF朴ミン奎(29)は、藤枝戦の後半36分に左内側側副じん帯を痛め、同37分に交代となった。21日に札幌市内の病院で検査を受ける。
◇選出 FW出間思努(19)が、19〜21歳の選手育成・強化などを目的としてJFAとJリーグが行う、U—22Jリーグ選抜のメンバーに選出された。22日に千葉・習志野で関東大学選抜と対戦する。