トヨタ、開幕4連勝なるか。初WRCのカナリアはフルターマック、タイヤの摩耗管理がカギに
2025年4月22日(火)11時40分 AUTOSPORT web

2025年WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)は、4月24日(木)から27日(日)にかけてスペインのカナリア諸島で開催される第4戦『ラリー・イスラス・カナリアス』に、5台のトヨタGRヤリス・ラリー1を出走させ、開幕4連勝を狙う。
ドライバーラインアップは、マニュファクチャラーポイントを獲得できる3台のクルーとしてエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が登録され、4台目には日本人ラリードライバーの勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)、さらに若手育成チームのTGR-WRT2ではサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)が乗り込む。
■5組中4組が初出走。今季初の純粋なターマックラリーは3日間1000kmの戦いに
WRC初開催となるターマック(舗装路)イベントの『ラリー・イスラス・カナリアス』。舞台は大西洋に浮かぶグラン・カナリア島で、北西アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島を構成する島のひとつだ。
ラリー・イスラス・カナリアスの前身となるイベントは1977年に初めて開催され、以降、スペイン国内ラリー選手権や、ERCヨーロッパ・ラリー選手権の一戦として行われてきた。そして49回目となる今年はWRCのシリーズ入りを果たし、島北東部の都市ラス・パルマスのサービスパークを基点とするイベントとして行われる。
今シーズン、TGR-WRTは第1戦ラリー・モンテカルロでオジエが、第2戦ラリー・スウェーデンと第3戦サファリ・ラリー・ケニアでエバンスが優勝し、開幕3連勝を達成。今大会では彼らふたりと、元世界王者のロバンペラの3名がマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして参戦する。
さらに、ラリー・スウェーデンで2位表彰台を獲得した勝田は、自己ベストリザルトの更新とドライバーズポイントの獲得を目指す。また、今季がトップカテゴリーフル参戦初年度のパヤリは、ERCとして開催された2021年大会にラリー4カテゴリーのクルマで走った経験がある。
ラリー・イスラス・カナリアスのステージは島の広い範囲に展開し、その多くがアップダウンの激しい山岳地帯を走行する。全体的にツイスティなコーナーが続き、片側は岩壁、片側はガードレールやガードストーンに囲まれた崖も多くある。路面は全体的にスムーズで、溶岩石を含む舗装が施された一部の路面は摩擦力が非常に高いため、グリップレベルは安定すると予想される。
しかし、そのためタイヤへの負荷はかなり大きく、摩耗をコントロールしながら走る必要がある。また島という立地から、天候の急変も懸念点のひとつだ。
ラリーは『ラス・パルマス』がホストタウンとなり、サービスパークは『グラン・カナリア・スタジアム』の隣接地に設置される。最初の走行セッションであるシェイクダウンは、現地時間で24日木曜日の午前中に行なわれ、同日の夜9時から始まるセレモニアルスタートでラリーは開幕予定。競技は翌日の25日金曜日から本格的に始まる。
大会初日となる金曜日のデイ1は、島の中心部に設けられた3本のステージを、サービスパークでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。26日土曜日のデイ2は島の北部を主舞台に、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その後、一日の終わりにはラス・パルマスでスーパーSSとして1.80kmのショートステージが行なわれ、バスケットボール・アリーナのコート内もステージとして走行する。
最終日となる27日、日曜日のデイ3は島の南側エリアにて、2本のステージを各2回走行。その間にはレーシングカート・サーキットでスーパーSS、SS16『コスタ・カナリア』も実施される予定だ。18本のステージの合計距離は301.30km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1082.20kmが予定されている。
チームのヤリ-マティ・ラトバラ代表の代わりに、第3戦ケニアに続いて陣頭指揮を執るユハ・カンクネン代表代行は、自身も過去に出場したこともあるラリー・イスラス・カナリアスについて次のように意気込みを語っている。
「チームの全員が、ラリー・イスラス・カナリアスでの新たな挑戦を楽しみにしている。WRCとして開催されるのは今回が初めてだが、最後に参加したのは10年前ながら、実は私自身も過去に6回出場した経験がある」
「ステージは非常に走りやすいので、ドライバーたちはきっと楽しむことができるはずだ。我々のドライバーの多くはこのラリーへの出場経験がないが、開幕戦以来の出場となるセバスチャン(・オジエ)も含むラインアップは強力であり、チームもしっかり準備を進めてきた」
「シーズンの序盤は良いスタートを切ることができたので、もちろんこの勢いを維持できることを期待しているよ」
今大会最初の走行となるシェイクダウンは、日本時間で4月24日の17時01分よりスタート予定だ。