山口すず夏 日本ツアーと米下部ツアー異色の二刀流に挑戦 「日本だけじゃなくてアメリカ、エプソンに行こう。」
2025年4月25日(金)11時0分 スポーツ報知
山路晶(左)とポーズをとるルーキーの山口すず夏
女子ゴルフの山口すず夏(24)=環境ステーション=は現地時間25日開幕の米女子下部(エプソン)ツアー、IOA選手権(米カリフォルニア州)に出場する。昨年の米ツアー最終予選会は61位だったが、下部ツアーの出場資格を獲得。ルーキーイヤーとなる日本ツアーとの異色の二刀流の挑戦を送る、今シーズンの決意を語った。
********************
米女子ツアー再挑戦を目標に、山口は大きな決断を下した。昨年11月、4度目の挑戦で日本ツアーのプロテストに合格。その1か月後に行われた米ツアー最終予選会は61位で切符をつかめず。それでも、下部ツアーの出場権を得て、今季は日本と米下部ツアーの両立に挑戦する。「LPGA(米ツアー)でやりたい思いが結構あったので、それで(ポイントランク)トップ10には入れれば(来季米ツアーの)シードがもらえる。そこを目指したいので、日本だけじゃなくてアメリカ、エプソンに行こうと思った」と異例の二刀流への思いを語った。
山口の名前が一躍、世間に広まったのは2015年だった。14歳341日で全米女子オープンの日本予選会を突破した。その後は18年11月の米ツアー予選会を36位で突破し、12月にプロ転向。19〜21年まで米ツアーメンバーとして活動した。21年、日本ツアーのプロテストを受験するも、3打届かず。「絶望まではいかないけど、結構しんどかった」と当時を振り返った。
「そこから22年はその反動で、そのときにきっぱり半年くらいやめた方が良かったのかなとか思った。イップスまではいかないけど、ゴルフにならなかった。今年も(プロテストは)ダメなんだろうなって思っていて案の定、2次で落ちちゃった」
23年には一念発起し、一人暮らしを始めた。練習環境を変え、2月にはスイング改造も行った。同年のプロテストは不合格も「久しぶりにゴルフが楽しいなと思えた」と充実の1年となった様子。そして昨年、4度目の挑戦でプロテストに合格。今季開幕前には「プロになってJLPGA(日本ツアー)の試合が初めてなので、ワクワクと、1年間通して楽しみ」と期待に胸を膨らませていた。
米ツアー予選会では5日間、90ホールをプレー。試合運びと、ショートゲームで気付きがあったという。「長丁場の試合で、プレッシャーがかかった場面でどう対応していくかも課題。100ヤード以内の精度ももっと上げていかないとなって思ったので、オフはそれに取り組んでいた」。2月には師事する森守洋コーチ、堀奈津佳、琴音姉妹、原江里菜と熊本で1週間、合宿を行った。振り遅れる悪癖のあるスイングを中心に、今季へ調整を重ねてきた。
来季の米ツアー再挑戦を目指す今季。米下部ツアーの自身初戦がいよいよ始まる。「常に楽しそうにやっている感じで見られていると思う。自分も楽しんでいるところを色んな人に見て(もらって)、自分を広げていきたい」と注目してほしい部分を語った24歳。同じ2000年度生まれの「ミレニアム世代」の古江彩佳、西村優菜、吉田優利はいずれも日本ツアーで優勝し、米女子ツアーを今季の主戦場として活躍中。山口は「今季は日本とエプソンツアーで優勝することが目標」と意気込む。ミレニアム世代のルーキーが米下部ツアーから這い上がる。(富張 萌黄)
◆山口 すず夏(やまぐち・すずか)2000年8月2日、神奈川・相模原市生まれ。24歳。7歳からゴルフを始める。15年の全米女子オープンに14歳で日本人メジャー最年少出場。18年秋の米ツアー予選会を通過し、同年末にプロ転向。東京・共立女二高卒。24年11月、4度目の挑戦で日本ツアープロテストに合格。得意クラブはパター。ドライバーの平均飛距離は240ヤード。160センチ。