「正しくて面白いことを伝えて、できればちょっと感心されたい」競馬を愛した故人の言葉を胸に予想を続ける
2025年4月27日(日)16時0分 スポーツ報知
ドウデュース(中央)、ドゥレッツァ(右から2頭目)
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
今年2月、東京競馬場で「馬トク」イベントの後、競馬ファンに声をかけられた。「大上さんのおかげでダービーのドウデュースの単勝を取れました」
ダービーで私はドウデュースを本命にしていない。詳しく聞くと、皐月賞週のBSイレブン競馬中継に出演した際の「(3着ドウデュースの)武豊騎手は後方から脚を測ったような騎乗で、直線が長い東京に替わるダービーでは怖い」というコメントを参考にしたという。
すっかり忘れていた。1、2着の回顧の後、MCの東幹久さんに話題を振られ、とっさに出た言葉だった。怖いなと思った。どんな原稿、コメントが受け手にどう刺さるかは、コントロールできない。細部まで気を配って発信しようと、改めて肝に銘じた。
「正しくて、できれば面白いことをなるべくたくさんの人に伝えて、できればちょっと感心されたい」。競馬を愛した経済評論家・山崎元さん(故人)の言葉が好きだ。競馬予想は常に「正しく」百発百中とはいかないが、独自の切り口や、面白く役に立つ情報を盛り込むことはできる。
1面予想を担当していた頃。23年菊花賞で重賞出走経験のなかったドゥレッツァの過去の上がり時計を検証し、G1馬たちを押しのけ本命に抜てきした。昨年の安田記念では、持ち時計が劣る香港馬ロマンチックウォリアーを、香港と日本のタイム計測の違い(日本はゲートを出て5メートル地点から計測)から、高速決着に不安なしと結論づけた。的中したこれらの予想は、山崎さんの言葉に少しだけ近づけたと自負している。
◆大上 賢一郎(おおうえ・けんいちろう) 1993年入社。専門委員。ネット記事のPV数と競馬予想的中を求めて奮闘中。