DTM:2019年に向け“プライベーター・メルセデス”チームの参戦容認を検討へ

2018年5月2日(水)12時32分 AUTOSPORT web

 DTMドイツ・ツーリングカー選手権をプロモートするITR e.V.の代表を務めるゲルハルト・ベルガーは、将来にわたってシリーズに参戦するマシン台数とチームを確保すべく、2019年以降は「マニュファクチャラーのバックアップを受けないプライベーター・エントリー」での参戦にも門戸を開く意向を明かした。


 昨年、DTMからのワークス活動撤退を表明したメルセデスAMGの決断を受け、2018年を最後にアウディスポーツ、BMWモータースポーツの2メーカーのみが参戦する形に移行すると見られているDTM。


 そのチャンピオンシップの維持に向けた施策を検討すべく、ベルガーは新たな代替案の作成を提案。従来までのファクトリーチームのみによるシリーズ運営ではなく、インディペンデント・エントリー、つまりはプライベーターにも参戦枠を承認するコンセプトを導入するという。


 これは現在、ITR e.V.が精力的に進めている“第3のマニュファクチャラー”勧誘が不発に終わった際のセーフティネットとしての機能も担っているとみられるが、この方針は2018年シーズンも引き続きメルセデスのファクトリー・プログラムを担う前線部隊として活動するHWAにも扉を開くこととなり、彼らがプライベーター枠としてDTMに残ることが可能となる道筋が見えてきた。


 地元DPA(ドイツ通信社)の質問に答えたベルガーは「現在採用しているマニュファクチャラー・バックアップによるフルワークスチームのみのシリーズ形態は良くないものだ。それは参戦しているメーカーも認識している」とコメント。何らかの対策が早急に求められている、と続けた。


「もしHWAがモータースポーツ活動で異なるプロジェクトを模索する必要があるとき、DTMマシンを引き続き走らせるというオプションはとても素晴らしく、魅力的な選択肢になるだろう。DTMに対する経験と専門知識に関して、HWAを上回る組織は世界のどこを探しても見つかるものではないからね」

クラス1以外のワークス活動としては、F1やフォーミュラEなどのシングルシーターのみとなるメルセデス
前線部隊のHWAとしても、引き続きツーリングカーを走らせる場所が用意される形となる


 メルセデス・モータースポーツのディレクターであり、元HWAの運営役員のひとりでもあったトト・ウォルフは、HWAがメルセデスのブランディングを前面に押し出してクルマを走らせない限り、このアイデアに反対することはない、と述べた。


「我々はプラットフォームとしてDTMを活用することを終了する決断を下した。残念だが、それが現実なんだ」と語ったウォルフ。


「しかし、HWAが引き続きDTMでマシンを走らせる希望を持っていて、その独立した事業に対して賛同するパートナーが見つけられれば、我々としてはその活動に何の障害を設ける気もない」


 現在DTMは2017年から施行されたホモロゲーション・サイクルの2年目に突入しており、これはアライアンスを組む日本のスーパーGTも同様となっている。


 しかし、ともにクラス1レギュレーションを採用する両者の間には少なくない隔たりが存在しており、2018年に向けてはDTMが空力レギュレーションに規制を設けることで、約30%のダウンフォース削減を実施。


 また、エンジンに関してはよく知られているとおり、日本のGT500クラスのような2リッター4気筒直噴ターボの導入は実現しておらず、DTMは今季も4リッターV8自然吸気エンジンを搭載する。


 当初の計画では昨年からDTMにも導入されるはずだったこのターボ化計画は、撤退を決める以前のメルセデスの反対によって延期された経緯があり、昨年末になってようやく2019年からアウディ、BMWが新エンジン搭載に向け合意する流れとなっていた。


「そのため、マシンは現行のものがそのまま継続される。しかし、エンジンだけは大きく変更されることになる」と付け加えたベルガー。


「(インディペンデントエントリーでも)スポンサーによる資金を調達する必要が出てくるだろうが、それでも実現は可能なはずだと思っている」

ドイツ3メーカーがそろう最後のシーズンとなる2018年。新規参入マニュファクチャラーは見込めるか
プライベーターでの参戦が認められれば、クラス1の車両を用いて多くのチームに可能性が開かれることに


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