敗北を知って、カリスマは蘇る 朝倉未来が茫然自失の平本戦から死に物狂いで磨いた“技術”「俺は逃げたことないんで」【RIZIN】
2025年5月5日(月)6時30分 ココカラネクスト

鈴木との攻防で主導権を握ったまま、勝ち切った朝倉。(C)RIZIN FF
熱狂を生んだ東京ドームでの大一番は、自信を深める一戦となった。
5月4日に東京ドームで行われた格闘技イベント「RIZIN 男祭り」で、朝倉未来(JAPAN TOP TEAM)と鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が5分3ラウンドのRIZIN MMAルールで対戦。3ラウンドで朝倉がTKO勝ちした。
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敗北を知って、カリスマは強くなった。チケット完売の超満員となった会場の熱視線を集めた32歳は、直近2戦2敗と不退転の覚悟で挑んできた鈴木を相手に、磨き上げてきたMMAで応戦。序盤に両足を狙っていったテイクダウンを成功させると、そこから完全に主導権を握った。
相手は打撃に秀でた元王者だったが、「だいぶ見えていた気がします」という朝倉は動じずに試合を遂行。グラウンドの攻防から抜け出そうとする相手をコーナーサイドに押し込み、機を見てはトップポジションから鉄槌や肘打ちを繰り出し、優位に推し進めた。
試合は打撃による攻防の中で左まぶたから出血した鈴木がドクターストップをかけられるアクシデント的な決着を見た。ただ、その結末以上に執拗にグラウンドの土壌に持ち込ませた朝倉の“執念”が際立つ一戦だった。
「とにかく泥臭くても絶対勝つと決めていた」
試合後の会見で安堵の表情で浮かべた朝倉。リング上で茫然自失となり、「引退」も口にした平本蓮との試合から約9か月。己を見つめ直し、「自分のテイクダウン能力が思ったよりも上がっていた」と自分でも驚く成長を遂げた。
勝利への執念を見せ、復活を印象付けた。そんなカリスマの姿に、東京ドームは沸いた。その熱狂的な場内の雰囲気は本人もヒシヒシと感じ取っていた。「次から歓声はなしでお願いします」と冗談を口にする朝倉は、こう続けている。
「今回はホッとしたっていう感じですね。プレッシャーはないと思ってましたけど、やっぱり歓声を聞くと感じましたね。ファンに対して強さを証明してあげたいという気持ちが強かった。みんな自分のために戦ってくれって言うものの、応援を聞くと俺はみんなのためにってなってしまう」
人を惹きつける“未来節”もかました朝倉。気になるのはやはり次戦だ。奇しくも今回のイベントで解説席に座った平本は、「朝倉未来も全然強いとは思わなかったです。それよりも鈴木千裕が何をしたかったか終始謎でした」と強気に言い放ったが、“路上の伝説”はどのような構想を描いているのか。
遺恨の平本に対して「鈴木選手の方が強いと思っていますけど。ボコボコにしたいですね。もう1回やったら勝てると思っている」と強気に語る朝倉は「自分自身、成長している中でベルトは狙っていきたい思いはある」とし、メガマッチに対する意欲を口にした。
「(RIZINフェザー級王者となったラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)との試合も)全然あります。よくなんか、アンチとかが『なになにから逃げるな』とか言いますけど、俺は逃げたことないんで。ビビってるとかないんで、誰とでもやりますよ」
屈辱の敗北から勝利にこだわって這い上がった。平本とのリマッチ、シェイドラエフとの頂上決戦などさまざまに想像が膨らむが、東京ドームという檜舞台でRIZINのメーンに返り咲いた感がある朝倉はどのようなチャンピオンロードを歩むだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]