【天皇賞・春】世代交代だ!“強い4歳馬”が1~4着独占 新長距離王誕生にレーン「体も精神面もまだ若い。もっといい馬になる」
2025年5月5日(月)6時0分 スポーツ報知
ヘデントール(左)がビザンチンドリームとの接戦を頭差で制してG1初勝利(カメラ・朝田 秀司)
◆第171回天皇賞・春・G1(5月4日、京都・芝3200メートル、良)
第171回天皇賞・春・G1は4日、京都競馬場で行われ、1番人気のヘデントール(牡4歳)が直線の追い比べを頭差で制してG1初勝利。国内最強ステイヤーの座に就いた。初コンビだったダミアン・レーン騎手(31)=オーストラリア=はタスティエーラでの23年日本ダービー以来、通算6度目のJRA・G1制覇。1〜4着を占めた“強い4歳馬”が、世代交代を印象づけた。
100周年を迎えた淀のターフに、ニュースターが誕生した。最後の直線、残り150メートルで先頭に立ったレーンとヘデントール。外からビザンチンドリームが馬体を並べる勢いで追い上げてきたが、譲らなかった。「外から来ていたけど、馬がファイトしてくれた」と相棒をたたえた鞍上は、先月27日に香港で行われたクイーンエリザベス2世Cと同じ勝負服を身にまとい、2週連続でビッグレースを手にした。
見応えのあるレースになった。勝負どころは2周目の4角手前。3角で並んでいたショウナンラプンタと武豊が外から早めに動いた。包まれる恐れもあったが、「武さんの馬が来たけど、スペースが開くまで待っていた」とレーン。冷静に受け流し、最後のひと踏ん張りにつなげた。天皇賞・春は2度目の騎乗で制覇。23年の日本ダービー以来のJRA・G16勝目に「とても権威のあるレースで勝つことができてうれしい」と胸を張った。
木村調教師も春の盾は初めての勝利となった。「トップオブトップのG1。1番人気を背負って出走させるその大きさは、分かっているつもりでした」と胸をなで下ろした。天皇賞・秋連覇などG16勝の名馬イクイノックスで培った経験が、大一番で生きた。
1週前に美浦・Wコースで7ハロン92秒1というハードな追い切りを課した。「自分が提案した調教が、彼にとって本当に良かったのか。間違えていたと思った側面もある」とトレーナーはプレッシャーを感じていたことを吐露。「それでも勝ってくれた。調教師の上をいってくれました」と愛馬に感謝した。厩舎力のアップと馬の成長がかみ合い、見事に実を結んだ。
上位4頭は全て4歳馬による決着。世代交代を物語る結果となった。レーンは「体も精神面もまだ若い。もっといい馬になると思う」と、さらなる成長に期待した。次走は未定だが、凱旋門賞・G1(10月5日、仏パリロンシャン競馬場)の登録は済ませている。厩舎の偉大な先輩を追いかける旅が始まった。(山下 優)
ヘデントール 父ルーラーシップ、母コルコバード(父ステイゴールド)。美浦・木村哲也厩舎所属の牡4歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算9戦6勝。総獲得賞金は4億8610万1000円。主な勝ち鞍は25年ダイヤモンドS・G3。馬主は(有)キャロットファーム。
◆ハイレベル世代 現4歳世代は、3歳限定戦が終わった昨秋以降、レガレイラが有馬記念を制すなど、世代レベルの高さを示してきた。今年はJRA平地重賞で5歳世代と並ぶ最多の11勝で、勝率、連対率、複勝率は全て世代別トップ。海外でもフォーエバーヤングのサウジC制覇、日本ダービー馬ダノンデサイルのドバイ・シーマクラシック制覇などG12勝を含む重賞5勝と国内にとどまらない強さを見せている。