ETCRのヒュンダイ陣営にトム・チルトンとジョン・フィリピ加入。2022年からはFIA格式に

2021年5月6日(木)12時42分 AUTOSPORT web

 2021年に初年度開催を予定する、TCR規定を採用した電動ツーリングカー選手権『PURE ETCR(ピュアETCR)』に参戦するヒュンダイ・モータースポーツは、すでにレースドライバーとして発表済みだったアウグスト・ファーフスとジャン-カール・ベルネイに加え、トム・チルトンとジョン・フィリピの加入をアナウンス。すでに開発作業に従事するふたりとともに、4台体制でシリーズに挑むと発表した。


 また同シリーズは2022年からFIA格式に昇格することも決定し、来季からは『FIA eTouring Car World Cup(FIA eツーリングカー・ワールドカップ)』として、改めてWTCR世界ツーリングカー・カップの電動版の位置付けに据えられる。


 スペインやイタリアを中心に、シリーズへの参戦を決めているセアト・クプラやアルファロメオらと事前テストを進めているヒュンダイ・モータースポーツだが、このピュアETCRに投入するヒュンダイ・ヴェロスターN ETCRを託す残り2名のラインアップに、ツーリングカー経験豊富な実力派の起用を表明した。


 WRC世界ラリー選手権でもファクトリーチームの代表を務めるアンドレア・アダモは、この電動シリーズ初年度に改めて4台体制を敷くことを確認するとともに、このラインアップは「毎週末に誰もが勝利を目指してレースができる顔ぶれ」だと自信を見せた。


「これまでのところ、電動ツーリングカーの製造と開発の過程で直面したすべての課題に立ち向かい、それを打ち負かし乗り越えてきた。この分野の競争は時代の最前線であり、レースシーズンが始まって我々のドライバーたちが活躍する日を楽しみにしている」


 先行開発を担当してきたファーフスとベルネイに続きヒュンダイ加入を決めたチルトンは、2021年も地元でBTCCイギリス・ツーリングカー選手権に参戦し、今季はBMW330i M-Sportのステアリングを握る。そのプログラムと並行し、このEVシリーズでも後輪駆動モデルで新時代のツーリングカー挑戦を決めた。


「電気を動力源とするマシンは僕にとって完全に新しい体験だが、ヒュンダイ・モータースポーツへの加入は、勝利を狙うにあたり最適な場所に居ると感じている」と、意気込みを語ったチルトン。

『PURE ETCR』に向け最初のテストベッドとして先行開発に臨んできたヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR
初期から開発テスターを担当したアウグスト・ファルファス(中央)に加え、公式テストからはジャン-カール・ベルネイ(左)も加入した


■7月のゾルダー戦がキャンセル。8月にハンガロリンクで代替戦開催へ


「ジョン(・フィリピ)とは以前からともに働いた経験があるが、アウグストやジャン-カールとガレージを共有するのはこれが初めてだ。彼らは言わずと知れたツーリングカー界の成功者であり、年間を通じて自分を評価する良きベンチマークになるだろう」と続けたチルトン。


 一方、2020年は名門ターゲット・コンペティションとともにTCRヨーロッパに参戦し、ヒュンダイi30 N TCRで合計3度の表彰台と優勝も記録したフィリピは、総合ランキング2位の勢いをピュアETCRにも持ち込みたい構えだ。


「僕は昨季もヒュンダイ製のTCRモデルでシーズンを戦ったが、ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCRへの移行はとても大きな変化だ。そのすべてを楽しみにしているし、最優先課題は開幕前テストでクルマを“モノにする”こと。新たなクルマ、チーム、フォーマットのすべてに慣れる必要があるね」と、冷静な見通しを語ったフィリピ。


 その新生ピュアETCRは初年度開幕に先立つ4月30日付でリリースを発表。まだ実際のレースは1度も開催していない状況ながら、2年目の2022年からFIA格式のワールドカップ戦として承認され、新たに『FIA eツーリングカー・ワールドカップ』として開催するとアナウンスした。


「今回、新たにFIA eツーリングカー・ワールドカップが加わったことで、FIAファミリーのツーリングカー競技がさらに拡大した。これはとても喜ばしいことだね」と語るのは、FIAツーリングカー・コミッション代表を務めるアラン・ゴウ。


「FIAが許認可を与えたTCR規定ツーリングカーに関して、従来の内燃機関搭載モデルの最高峰として位置づけるWTCRに対し、この革新的なフォーマットを採用した完全電動カテゴリーが共存するのは理想的なシナリオだ」


「すべての関係者のみならず、ツーリングカー・ファンにとっても重要なステップであり、この新世代の競技が具現化する日を楽しみにしている」


 その一方で、2021年度のピュアETCRカレンダーに組み込まれていた7月のベルギー・ゾルダー戦は、現地の24時間レースとの併催やロジスティックの問題で見送られることが決まり、代替戦として8月のWTCRハンガロリンク戦とジョイントし、第5戦とすることも決まっている。

2020年は名門Target Competition(ターゲット・コンペティション)とともにTCRヨーロッパに参戦し、ランク2位を得たジョン・フィリピ
2022年からFIA格式に昇格することも決定し、来季からは『FIA eTouring Car World Cup(FIA eツーリングカー・ワールドカップ)』となる

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