俊足ファントールを欠くマグヌッセン陣営。スパは「実力を示すチャンスになる」
2025年5月8日(木)11時55分 AUTOSPORT web

5月10日に決勝を迎えるWEC世界耐久選手権第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースで、2台のBMW Mハイブリッド V8を走らせるBMW Mチーム WRTは、今季初めて2ドライバー体制を採るが、ドライバーのレネ・ラストは「アプローチは大きくは変わらないだろう」と予想している。
ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカで開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のイベントと日程が重複していることから、BMWのスパでのドライバーラインアップは縮小。ドリス・ファントールとシェルドン・ファン・デル・リンデの両名は、カリフォルニアでのレースに出場するためWECを欠場する。
つまり、ラストは今週末、20号車BMW Mハイブリッド V8をロビン・フラインスとのみ共有することになり、もう1台の15号車はファントールの欠場を受けてケビン・マグヌッセン/ラファエル・マルチェッロというコンビで6時間レースに臨む。
今回のスパではアストンマーティンも同様の対応をとっており、2024シーズンにはキャデラック、プジョー、そしてハーツ・チーム・JOTAも特定の時期に同様のアプローチを採用していた。
スパでのイベントに先立ちSportscar365の取材に応じたラストは、BMWのスパでの走行計画への影響は比較的小さく、ドライバーの走行時間の増加が最も大きな違いになると予想した。
「確かに、走行計画は影響を受けている」とラストは語った。
「通常、FP1からFP3までは3人で走行する必要があるが、今回はふたりのドライバーしかしないから、(ひとりあたりが)より多くの走行時間を確保できる」
「おそらくロビンが予選を担当し、僕がレーススタートを担当する。その間のセットアップ作業やプラクティスセッションで発生した問題は、ふたりで分担することになる」
「だから、やるべき仕事が増えるという点を除けば、大きな変化はない。ドライバーもレースに向けてもう少し体調を整える必要がある。というのも、今回は運転時間が長くなるからだ。ふたりとも1時間ほど余計に運転することになるが、それは問題ではないね」
この運転時間の増加がレースにどのように反映され、ドライバーローテーションにどのような影響を与えるかと聞かれると、ラストは「まだ分からない。他の多くの要因、そしてレースの展開次第だ」と答えた。
「もし突然フルコースイエローやバーチャルセーフティカーが出た場合、ピットインを即断即決しなければならなくなり、計画を変更する可能性がある。そして、それは僕らの予想どおりにはいかないかもしれない」
「だから少し慌ただしく走らなければならないが、通常は僕がレースをスタートし、2スティント、あるいは3スティントを走り、そこから始めていくことになる」
■もうドリスには戻ってきてほしくない?
一方、ガレージの反対側では、ドリス・ファントールが初めて15号車に加わらない週末を迎える。
ポルシェワークスドライバーのローレンスを兄に持つドリスは、BMWのハイパーカー・シリーズの中で頭角を現し、ウェザーテック選手権で3連続ポールポジションを獲得するなど、最近はその実力がますます際立ってきている。
また、昨年カタールで開催されたMハイブリッド V8のデビュー戦を除き、全ラウンドで予選ドライバーを務めている。昨年のカタールでは、マルチェッロが予選を担当した。
昨年、WRTがWECハイパーカークラスに参戦して以来、ファントールのコ・ドライバーを務めてきたマルチェッロは、ファントールの不在は自身とマグヌッセンにとってスパで「実力を示す」チャンスになると説明した。
「もし今回のレースがうまくいったら、もうドリスには戻ってきてほしくないね」とマルチェッロは冗談を口にした。
「いや、冗談だよ。ドリスはほぼ常に予選を突破し、IMSAでもポールポジションを獲得しているので、事実上僕らのナンバーワンドライバーだ」
「彼は、このマシンで最速ではないにしても、最速ドライバーのひとりであることを証明した。だから、彼がいなければ簡単ではないことは確かだが、結局のところ、僕とケビンもシーズンはじめには非常に良い結果を残している」
「だからきっと大丈夫だと思う。ドリスがやっていたことを僕らがやれるチャンスにもなるだろうし、自分たちにもドリスと同じことができるということを示すチャンスにもなるだろう」
「戦略上、普段より多くドライブすることになる。これは良いことだ。通常、WECでは赤旗も出るからフリープラクティスのセッションはそれほど長くない。だから、たくさんドライブできるのは良いことだ」