大谷「パパでもキング」へ量産態勢 パパ5号目!5月7試合で4発目 さらに大好き6月も 指揮官も納得顔
2025年5月10日(土)1時30分 スポーツニッポン
◇ナ・リーグ ドジャース3−5ダイヤモンドバックス(2025年5月8日 フェニックス)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が8日(日本時間9日)、敵地でのダイヤモンドバックス戦の9回2死で一矢を報いる11号ソロ。試合には敗れるも、両リーグトップのジャッジ(ヤンキース)らに1本差に迫った。長女が誕生し、4月29日のマーリンズ戦で「パパ1号」を放つとそこから急上昇。5月は7試合で早くも4発目となり、得意の6月を前に「パパでもキング」へ向けて一気に量産態勢に入る。
「BEAT LA(ドジャースを倒せ)!」。3点ビハインドと敗色濃厚の9回2死。敵地フェニックスのファンの大合唱にも、打席の大谷は表情一つ変えなかった。2ボールからスライダーを2球続けて空振り。しかし冷静さは揺るがない。フルカウントからの7球目、95・9マイル(約154キロ)の直球を打ち砕く。右中間最深部へ飛距離426フィート(約129・8メートル)の2試合ぶりとなる11号ソロ。あまりに豪快な一発に敵地は一瞬で静まり返った。
同地区のライバルを相手に8、9回に3点を返し、最後は大谷の強烈な一発で一矢を報いた。「我々は簡単には引き下がらず、しっかり粘る姿勢を見せた。打者のスイングの内容も、スコアボードに表れた以上に良かったと思う」とデーブ・ロバーツ監督。試合には敗れたが、大谷自身にとっては手応え満点の一発だった。
例年、開幕直後はスロースターター。今季も4月は5本塁打だったが、5月は7試合で早くも4発目だ。「構えから動きの中で正確に動けていれば、自分のヒッティングポイントに近づいていく」。大谷の打撃の要は「不動の構え」にあり、まさに一発を放った第5打席で体現していた。さらには長女が生まれ、4月29日のマーリンズ戦で「パパ1号」を放ってから急上昇カーブを描く。これで同戦を含めて9戦5発だ。
リーグトップを走るシュワバー(フィリーズ)には1本差。3年連続本塁打王へ絶好の位置につけている。現在シーズン46本塁打ペース。5月はまだ20試合を残し、さらに過去4年で3度2桁本塁打をマークしている大好きな6月も待っている。さらなるペースアップは確実だろう。柔道の谷亮子は「ママでも金」と宣言して08年北京五輪に臨んだ。大谷は「パパでもキン(金)グ」へ向けて、一気に量産態勢に入る。
これでナ・リーグ西地区はロッキーズを除いた4球団が全て20勝以上をマーク。指揮官が「楽しいシーズンになるだろう」というハイレベルな順位争いでも、大谷のバットはひときわ輝き、チームに「金」をもたらすに違いない。(奥田 秀樹通信員)
▽谷亮子の名言 女子柔道のレジェンドでヤワラちゃんの愛称で親しまれた谷は「田村で金、谷でも金」とシドニー、アテネ五輪で金メダルを獲得。「ママでも金」と臨んだ北京五輪では銅メダルだった。
≪1920年以降で初の珍記録≫
大谷が2試合ぶりの11号ソロ。ソロ本塁打は9本目(残り2本は2ラン)となった。1番打者として両リーグトップの41得点をマークする一方、打点は16で同96位タイ。下位打線が不振で走者を置いての打席が少なく、大谷自身も得点圏打率.143に終わっている。米データ分析サイト「オプタ」によれば「5月以降で本塁打、長打、塁打でトップ5入りしながら、打点で90位以下」は、打点が公式記録となった1920年以降で初の珍記録だという。
≪4年で2桁3度“6月男”≫
21年以降の大谷の月別本塁打数を比較すると、3〜5月は1桁とスロースターター。一方、6月は最近4年で2桁をマークしたのが3度。23年には15本を積み重ね、初の本塁打王のタイトルにつなげた。54本塁打を放った昨年は6月の12本だけではなく、8月に12本、9月に10本と終盤まで量産した。