阪神13年ぶりのハードオフエコスタジアム新潟、試合前の守備確認が生きた懸命に守り合う好ゲームだった
2025年5月14日(水)8時0分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神1—1DeNA(2025年5月13日 ハードオフ新潟)
【畑野理之の談々畑】阪神が13年ぶりに訪れたハードオフエコスタジアム新潟は、かなり広い。両翼100メートル、中堅122メートルはバンテリンドームと同じサイズだ。9回2死からの高寺望夢の同点弾は正直驚いた。あの場面で出るんだ、と失礼ながら誰も予想していなかったと思う。
DeNAが7回先頭で放った山本祐大の左越え二塁打、9回1死での代打・九鬼隆平の左越え三塁打は完璧に捉えられたものだったが、いずれもフェンス直撃。スタンドまで届かなかったのを見た後だけに、高寺の右翼席に突き刺さる弾丸ライナーはインパクト絶大だった。
さらに、この試合の展開を支配していたのがファウルゾーンの広さだろう。ベンチからダイヤモンドまで塁間と同じくらいの距離がある。12回の攻防でDeNAは計6個の邪飛があったが、他球場なら少なくとも4つは観客席に飛び込んでファウルになっていた。2回に佐野恵太の飛球を中野拓夢が一塁フェンス近くで好捕して先頭打者の出塁を防いだ。5回2死二、三塁で中川勇斗が約40メートルを疾走して追いついた度会隆輝の左邪飛も、広いファウルゾーンに助けられたものだ。
阪神は試合前、いつも以上に守備を確認していた。内野手はゴロの速さや跳ね方など人工芝を、外野手はクッションボールの処理や、飛球が前に落ちたときのバウンドの高さなどをチェックした。
一方のDeNAも09年以来、継続して訪れている(20年はコロナで不開催)とはいえ、年に1度の開催に、河田雄祐外野守備兼ベース兼野手コーチが細心の準備をさせていた。4回に先頭の中野拓夢が遊撃内野安打で出塁。林琢真の送球はワンバウンドして後ろにそれたが、捕手・山本祐大が深くまでしっかりバックアップしていた。次打者の森下翔太が二ゴロ併殺打だっただけに、中野が二塁に進塁できていれば展開は違っていた。
こけら落としだった09年7月7日の広島戦は1—8で敗れ、計5失策が敗因だった。前日に同スタジアムで準備した広島と、一度も練習せずに乗り込んだ阪神。対照的なアプローチがクローズアップされていた。
この日は才木浩人が1つ悪送球したが、懸命に守り合う、好ゲームだった。