【ヴィクトリアM】ビヨンドザヴァレー 自己ベスト11秒7! 橋口師「今週も一発狙いたい」
2025年5月16日(金)5時30分 スポーツニッポン
厩舎の勢いは一番。「第20回ヴィクトリアマイル」は15日、出走馬が確定した。堅実な走りが光るビヨンドザヴァレーは栗東坂路で木曜追い。菱田騎乗でラスト1F11秒7とデビュー以来、初めて12秒台を切った。橋口慎介師(50)は先週土日の東京重賞ダブルV。パンジャタワーで制したNHKマイルCと同舞台でG1連勝を狙う。また、NHKマイルC12番人気3着(チェルビアット)で高配を演出したマイケル・ディー(29)はミアネーロとのコンビ。美浦Wコースの木曜追いで好感触をつかんだ。16日に枠順が発表される。
G1連勝が視界に入る。ヴィクトリアマイルに管理馬ビヨンドザヴァレーを送り込む橋口師は先週の東京重賞連日Vを達成した。土曜のエプソムCが6番人気セイウンハーデス、日曜のNHKマイルCが9番人気パンジャタワーと両馬とも下馬評を覆す大金星。指揮官は「厩舎に勢いが付いた。この勝利の流れに乗って、今週も一発を狙いたい」と意気込みを語った。
G1初挑戦のビヨンドザヴァレーは関西馬で唯一の木曜追い。堂々と開門直後の坂路に登場した。菱田を背に序盤はリズム重視で運ぶと中盤あたりから乗り役のわずかな重心移動で瞬時にギアを切り替え、馬場のど真ん中を駆け上がる。全体時計を4F55秒8(馬なり)にまとめ、ラスト1F11秒7と自己ベストをマーク。鞍上は「キャンターに下ろしてから前半の走りっぷり、しまいの反応を含めて、全てが良かった」と納得の笑み。橋口師も「指示通りの時計で駆け上がってきて最後は切れた。本当に具合はいい」と胸を張る。
昨年11月の清水Sでオープン入りを決めた。重賞未勝利ながら近3走は3走前ターコイズSが0秒1差2着、前々走の中山牝馬S、前走の阪神牝馬Sが続けて0秒2差4着と安定感が光る。同師は「前走はラストで決め手の差が出てしまった印象だけど内容は良かった。力をつけている」と悲観していない。
エプソムCはやや重でコースレコードが飛び出し、NHKマイルCも過去10年で2番目に速い時計だった。週末の天気予報は傘マークが出ているが高速決着になったとしてもレコードVが2回ある父イスラボニータ(13年東スポ杯2歳S、17年阪神C)の血統背景に加え、先行力とスピードの持続力を兼ね備えている。適性は高そうだ。「長くいい脚を使えるところが長所。東京はいいと思う。スローの上がり勝負では分が悪いが、持ち味が生きる持久力戦なら楽しみ」。東京マイルは初陣Vを飾った舞台。今、最も勢いに乗るトレーナーが今週も府中で話題をさらう。
◇橋口 慎介(はしぐち・しんすけ)1975年(昭50)3月31日生まれ、滋賀県出身の50歳。父はJRA通算991勝を挙げた橋口弘次郎元調教師。99年、JRA競馬学校厩務員課程入学。2000年4月から栗東・池添兼雄厩舎で調教助手。15年に調教師免許を取得し、16年3月に開業。JRA通算2247戦209勝、うち重賞7勝。