バサースト12時間:メルセデスAMG勢がIGTC開幕戦を席巻。サンエナジー1、9年ぶり2勝目飾る

2022年5月17日(火)13時30分 AUTOSPORT web

 5月15日、オーストラリアの“聖地”マウント・パノラマ・サーキットで、2022年シーズンのIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ開幕戦『リキモリ・バサースト12時間』が行われ、優勝したサンエナジー1・レーシングの75号車メルセデスAMG GT3(ジュール・グーノン/ルカ・ストルツ/ケニー・ハブル/マーティン・コンラッド組)を先頭に2台のメルセデスAMG GT3が続き、メルセデス陣営が表彰台を独占した。


 バサースト12時間、スパ24時間、インディアナポリス8時間、そしてキャラミ9時間の計4イベントで構成されるIGTCが3カ月遅れで開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で2021年は開催中止となったバサースト12時間は、今年2年ぶりのシリーズ復帰を果たしたが、2022年もパンデミックの影響を受けて開催日程が例年の2月初旬から5月13〜15日の週末に移されていた。


 そんなバサーストでの開幕戦は、同じ週末に開催された他の選手権との兼ね合いからアウディとメルセデスAMG以外の自動車メーカーがサポートを控えたため、主にドイツメーカー2社のマシンによる戦いとなった。


 また、予選方式やアマチュアドライバーの搭乗を義務付けたルールへの変更などが行われた2022年大会は、これまでのバサースト12時間とは異なる雰囲気のレースとなったが、スタート時に発生した霧やレース中、2度にわたってトラックを襲った降雨など変わりやすい天候がレースに多くのドラマを生みだした。


 現地の日の出前、5時15分にスタートが切られた同レースにおいてとりわけ大きな出来事となったのは、残り3時間半の段階で総合トップに立っていたアウディスポーツ・チーム・バルボリンの74号車アウディR8 LMSが2分間のストップペナルティを受け、優勝争いから脱落したことだ。


 ケルビン・ファン・デル・リンデのドライブで後続を1分以上引き離していた74号車は、このタイミングでルーティンのピット作業を行うものと思われたが、ブロンズドライバーのブラット・シューマッハーの走行時間を誤って計算していたため、大きなタイムロスを負うことになった。


 彼らにとって不運だったのは、この日8回目となったセーフティカーによる先導走行中のウェーブバイ・オプションが小雨が降り滑りやすい路面コンディションとなっために削除され、失ったラップを取り戻すことができなったことだ。


 その後ファン・デル・リンデはファステストラップを含む好ペースを連発し、おくれの晩梅を図ったが、2分間のペナルティによる損失は大きくその差を詰め切ることは叶わず。

レースをリードするも4位に終わったアウディスポーツ・チーム・バルボリンの74号車アウディR8 LMS Evo II
3位表彰台を獲得したトリプルエイト・レースエジニアリングの888号車メルセデスAMG GT3


■終盤戦はメルセデスAMG勢の同門対決に


 この結果、レース終盤の優勝争いはメルセデスAMG GT3を走らせるサンエナジー1と、エンジン交換のために予選を欠場し、最後尾からのスタートとなったメルセデスAMG・チーム・クラフト-バンブー、そして地元チームであるトリプルエイト・レースエジニアリングの計3チームに絞られることとなった。


 74号車アウディが脱落した時点での首位はサンエナジー1の75号車メルセデス。その30分後、ストルツはクラフト-バンブーの91号車メルセデスを駆るダニエル・ジュンカデラを17秒リードし、この状況は45分後のピットストップまで続いた。


 ピットストップ後、ジュンカデラから91号車のステアリングを受け取ったマーロ・エンゲルはヘルコーナーでコースオフを喫するシーンもあったが、徐々に首位75号車をドライブするグーノンとのギャップを縮めていく。


 一方、2台から約50秒の後れを取ったトリプルエイトの888号車メルセデスは、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ王者の“SVG”ことシェーン・ヴァン・ギスバーゲンが乗り込むが、追い上げは叶わず3番手のまま。


 75号車と91号車のギャップが約8秒に縮まって迎えた最終スティント。グーノンは同じメルセデスAMGファクトリーのエースに対して一歩も引くことなくその差を維持してみせる。結果、サンエナジー1・レーシングの75号車メルセデスは8.7秒差で同門対決を制し2013年以来、2度目のバサースト12時間優勝を達成。グーノンはベントレー・チームMスポーツで優勝した2020年に続き2大会連続で栄冠を手にした。


 メルセデスAMGチーム・クラフト-バンブーの91号車は総合2位、トリプルエイト・レースエジニアリングの888号車メルセデスがトップから1分35秒おくれの総合3位となり、今大会はメルセデスAMG勢がワン・ツー・スリーで表彰台を独占してみせた。


 ペナルティに泣いた74号車アルディは1ラップダウンの総合4位に終わり、総合5位にはウォール・レーシングの6号車ランボルギーニ・ウラカンGT3が入っている。


 全4戦で争われるIGTCの次戦第2戦は7月28〜31日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催されるトタルエナジーズ・スパ24時間だ。

2022バサースト12時間レースはメルセデスAMG勢が表彰台を独占する結果となった
2位となったメルセデスAMGチーム・クラフト-バンブーの91号車メルセデスAMG GT3
総合5位となったウォール・レーシングの6号車ランボルギーニ・ウラカンGT3
優勝したサンエナジー1・レーシングのドライバーたち。(左から)マーティン・コンラッド、ケニー・ハブル、ジュール・グーノン、ルカ・ストルツ

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