軽視される制球と重視されるパワー MLB通算262勝のバーランダーが止まらぬ投手の高速化に苦言「愛してきた野球ではない」

2025年5月18日(日)7時0分 ココカラネクスト

昨今の野球界で広まる“傾向”にバーランダーは苦言を呈した。(C)Getty Images

 レジェンド右腕は、米球界で強まる“傾向”に苦言を呈している。

 興味深い意見の発信者となったのは、ジャイアンツのジャスティン・バーランダーだ。MLB通算262勝の大投手は、米メディア『The Score』で、今季からストライクゾーンが4分の3インチ(約1.9センチ)まで狭まったことを「信頼とコミュニケーションが欠如している」と嘆いた。

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 MLBは、審判協会との新しい労働協約の中で、審判員を評価する採点方法を変更。元来、ホームプレートの外枠を境とする規定のストライクゾーンよりも内外角とも2インチ(約5センチ)程度広めにストライクをコールする慣例があったゾーンの判定について4分の3インチ(約1.9センチ)まで狭めていた。

 しかし、バーランダー曰くストライクゾーンの判定を巡る変更は選手たちには「十分に周知されていなかった」という。

「ロブ・マンフレッド(MLBコミッショナー)は、毎年の春季トレーニングで『我々はオープンだ。君たちと話し合いたいし、素晴らしい関係を築きたい』と言いながら走り回っている。しかし、重要な決定のすべてを閉鎖的な場で行って、僕らがプレーし、生計を立てているのに、一切参加させようとしない」

 水面下でルール制定を推し進める上層部に不満をぶつけるバーランダーは、「リーグは『全員に通達した』と言ったが、誰もが『何も聞いていない』と言った。誰かが嘘をついている」と指摘。その上で、ストライクと判定されるゾーンが狭まった理由が高速化の進む投手の傾向にあるとした。

 MLB公式サイトによれば、メジャーリーグにおいて4シームの平均球速は、昨季までの過去16年間で3キロも増加。昨季も94.2マイル(約151.6キロ)となるなど高速化が進行し、100マイル(約160.9キロ)を投げる投手の登場はもはや当たり前となっている。

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歳のベテランは、「問題だ」と見ている。

「今は良い変化球と101マイル(約162.5キロ)を投げる投手を選んで、キャッチャーがど真ん中に構えて思い切り投げさせ、相手の打順を2回ぐらい回ったら、ブルペンで100マイルを投げる投手を選ぶ。自分にとって、それは長年知っていて、愛してきた野球の在り方ではないし、ファンが望んでいるものではないと思う」

 投打にパワーが重視される傾向にあるメジャーリーグ。その進化を“現場”で見てきたレジェンドの指摘は実に興味深い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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