酪農学園大とわの森三愛がセンバツ出場の東海大札幌を撃破 右横手投げ・貞尾が97球でマダックス達成
2025年5月18日(日)4時30分 スポーツニッポン
◇第64回春季北海道高校野球大会札幌支部予選Aブロック3回戦 酪農学園大とわの森三愛1—0東海大札幌(2025年5月17日 札幌円山)
酪農学園大とわの森三愛が、今春選抜甲子園16強の東海大札幌を1—0で撃破し、12年ぶり2度目の春季北海道高校野球大会(26日開幕、札幌円山)出場に王手をかけた。先発した右横手投げの貞尾陽光(ひかる)投手(3年)が7回まで無安打投球。97球で1安打の公式戦初完封勝利を飾り、マダックス(100球未満の完封)を達成した。東海大札幌は選抜枠で同大会に出場するが、春夏連続甲子園出場を目指す夏は札幌支部予選をノーシードで戦うことになった。
わずか1点リードの9回2死三塁。背番号11の貞尾が最後の打者を中飛に仕留め、力強く両腕を突き上げた。昨秋北海道大会王者を巧みな投球で翻弄(ほんろう)し、最後まで本塁を踏ませなかった。
「ここまでうまくいくとは思わなかった。97球?ずっと集中していたので精神的に疲れました」と笑った。
球速は110キロ台だが、打者の手元で変化するカットボールとややシュート回転の直球を中心に組み立て、凡打の山を築いた。7回までノーノー投球。8回は先頭打者の矢吹太寛(3年)に唯一の安打を許したが、1死二塁から2者連続三振でピンチをしのいだ。
大舞台にめっぽう強い。1年秋の北海道大会初戦・札幌大谷戦で先発し、1失点完投勝利でチームを3季通じて初の道大会白星に導いた。その強さを買われ、2日前に先発を言い渡された背番号11は「やってやるぞ!と思った」。今春の東海大札幌との練習試合で3回無失点に封じた自信もあり、臆することはなかった。
2年春には体の開きが早く、本来の投球を見失ったが、昨夏の南北海道大会1回戦の北照戦の好投で「やっと形になった」と貞尾。冬は初動負荷のトレーニングで柔軟性を高め、肩や股関節の可動域も広がり「捕手から球速以上に伸びると言われ、空振りも取れるようになった」と自信を深めていた。
野球部は1990年創部。帯広農を率いて21年夏の甲子園に出場した前田康晴監督(49)が22年秋から指揮を執る。今春は新1年生35人が加わり、部員数は北海道内最多88人となった。貞尾は「この春(に勝ち続けて)とわの森はヤバいぞ!と印象づけたい」と笑い、19日の支部代表決定戦では強豪・札幌日大に挑む。(武田 政樹)