【虎番リポート】阪神・岩崎の「レガシー」受け継ぐ救援陣 「頑張っている誰かが欠けるのは嫌」
2025年5月20日(火)5時15分 スポーツニッポン
17日の広島戦で通算100セーブを達成した12年目の岩崎に転機があるとすれば、まだ先発だった2016年だろう。
「あのまま先発なら、今頃クビになっていたかもしれないし、トレードに出されたかもしれない。感謝です」
当時の金本監督に「先発に未練はないやろ」と通達され決まった中継ぎへの配置転換。以降、さまざまなポジションを経験しながらクローザーまで上り詰めた。
快調にセーブを重ねて、大台が見えてきた4月下旬。岩崎本人とゆっくりと話す機会があった。昨年まで8年連続で40試合以上に登板。ブルペンの“主”だからこそ見える景色、募る思いがあるという。視線は後輩たちへ向けられた。
「1、2年活躍する選手はいっぱいいるじゃないですか。やっぱり自分としては、長くやってほしいですよね」。若手への激励に聞こえる言葉には、文字通り、身を削り“救援稼業”にいそしんできた自負もにじんだ。
結果がすべての世界。特にブルペンは入れ替わりが激しく、誰かの穴を埋めるニューカマーが都度、登場するのも阪神の強み。そんなことは承知の上で本音を口にした。
「やっぱり頑張っている誰かが欠けるのは嫌なので。今だったら(石井)大智とか桐敷ですかね。仮にあと3年、自分が現役をやるとしたら、その3年間は一緒にブルペンで頑張りたいですよね」
2年連続で40試合以上を投げ防御率1点台をマークする石井、昨季70試合登板を果たした桐敷は名実ともに岩崎に続く存在で次代の守護神候補だ。この過酷なマウンドで長年投げ続けることの難しさを分かり始めた2人に向ける岩崎の視線は少し特別なのだろう。
くしくも18日の広島戦は背番号13の3連投を避けるため8回を桐敷、9回を石井が担い、ともに零封で白星をもぎ取った。岩崎とその背中を追う2人。ブルペンの「レガシー」を伝え、受け継ぎながらウイニングランを歩んでいく。 (遠藤 礼)