17位転落の湘南。C大阪戦で露見した攻守の質不足【J1リーグ2023】

2023年5月22日(月)14時0分 FOOTBALL TRIBE

石原広教(左)中野嘉大(右)写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第14節の計9試合が5月19日と20日に行われ、湘南ベルマーレは20日、本拠地レモンガススタジアム平塚でセレッソ大阪と対戦。最終スコア0-2で敗れた。


直近のリーグ戦7試合勝ちなしと、泥沼にはまった湘南。ここではC大阪戦を振り返り、この試合で露見した同クラブの攻守の課題について言及する。




湘南ベルマーレvsセレッソ大阪、先発メンバー

湘南vsC大阪:試合展開


膠着状態が続いたなか、先に試合を動かしたのはC大阪だった。


GKキム・ジンヒョンのロングパスで湘南のハイプレスを空転させたC大阪は、後半8分にMFジョルディ・クルークス(右サイドハーフ)を起点に遅攻を繰り出す。ボールが敵陣左サイドに展開されると、DF山中亮輔(左サイドバック)のクロスにFWレオ・セアラがヘディングで反応し、ゴールを挙げた。


後半44分には、C大阪のMF奥埜博亮が湘南陣営の漫然としたパスをカットし、すかさず前線にボールを送る。このパスに反応したMF上門知樹が速攻を結実させた。直近のJ1リーグ4連敗を喫した湘南は、17位にまでリーグ順位を落としている。




湘南ベルマーレ MF中野嘉大 写真:Getty Images

漫然としていた湘南の守備


[3-1-4-2]の基本布陣でこの試合に臨んだ湘南は、町野修斗と鈴木章斗の両FW(2トップ)を起点とするハイプレスを試みる。平岡大陽と小野瀬康介の両MF(インサイドハーフ)のどちらかが前線に加わる[5-2-3]、もしくは両方が前に出る[5-1-4]の守備隊形を敷いたものの、ボールの奪いどころがはっきりせず。C大阪のパスワークをどこへ誘導し、どの相手選手に激しく寄せるかの意思統一が、湘南の選手間でなされていなかった。


湘南の[5-2-3]の隊形による守備(小野瀬が前線に加わるパターン)

中央のレーンを漫然と埋めただけの湘南の守備は、C大阪相手に通用せず。アウェイチームの最終ラインから中盤への縦パスを防ぎきれなかったほか、GKキムとDF山中の精度の高いロングパスに苦しめられた。布陣を[4-4-2]に変えた後半15分以降は、相手のパスワークをサイドに追いやるプランが湘南の選手間で浸透していただけに、キックオフから1失点目の場面までの守備が悔やまれる。


後半15分、湘南は布陣を[4-4-2]に変更

湘南の1失点目の場面では、同クラブの選手がペナルティエリア内に4人いたのに対し、C大阪陣営は5人。ゴール前の人数で負けていたうえ、湘南のDF杉岡大暉とMF中野嘉大が相手FWレオ・セアラのマークの受け渡しに失敗。杉岡と中野どちらも、クロスボールとマークすべき相手選手を同一視野内に入れるような体の向きや、相手よりも先にボールに触れる立ち位置を整えられなかった。ハイプレス時のボールの奪いどころの設定と、クロス対応にあたる選手の体の向きとポジショニングの改善が急務だろう。


湘南ベルマーレ DF石原広教 写真:Getty Images

湘南の攻撃配置は要改善事項


この試合で露見した湘南の攻撃の問題点は、[3-1-4-2]の布陣で臨んだ際の両ウイングバック(DF石原広教と中野)、及び[4-4-2]の両サイドバック(石原と杉岡)がGKやセンターバックからパスを回すときに低い位置に張りすぎていること。彼らが自軍のセンターバック付近や、自陣後方のタッチライン際でボールを受けようとし、相手チームのプレッシングの標的となる場面が散見された。基本布陣[4-4-2]のC大阪のサイドハーフとサイドバックの間に立ち、相手チームがマークの受け渡しに困る状況を作るのがベターだった。


また、3バックの両脇の選手と、ウイングバックが大外のレーンに同居してしまう場面もちらほら。これは柏レイソル戦(J1第11節)でも露見した課題だが、今14節でも浮き彫りになってしまった。湘南の攻撃配置は要改善事項と言えるだろう。




湘南ベルマーレ 山口智監督 写真:Getty Images

「爆弾を投げる場面もあった」


湘南の山口智監督はC大阪戦後の会見で、自軍の攻撃について言及。漫然としたパスワークと、自身によるチームへの落とし込み不足を反省した(湘南ベルマーレの公式ホームページより引用。一部加筆、補正、省略)。


「今日は相手が全然(プレスに)来ないなかでボールを動かすテンポだったり、自分がボールを持っている時に持ちすぎて考えてしまって判断が遅れる、尚且つ雑になってしまってボールホルダーが爆弾を投げるような(リスキーなパスを出す)シーンがあったと思います」


「自分のところに誰も来ていないのに爆弾を投げる場面もあったし、何よりも何を目指すのかということが抜けていたと思います。選手は本当に一生懸命やってくれているなかで、自分のもっと意識を持たせるところだったり、習慣にしていくところは大きな課題として出たと思います。しっかり目的を持ってポジションを取り続ければできるところが、疎かになってしまったというのは原因としてはっきりしたと思います」


「90分を通してやり続けるという約束事があるなかで、しんどくなってきたり楽をしたくなってきたりすると、(ミスが)起こってしまう。そのあたりはもう一度、もう一度というかずっと要求しなければいけないと思います」


J2リーグ降格圏(18位)との勝ち点差4の17位と、苦境に陥った湘南。選手はもちろんのこと、就任3シーズン目を迎えた山口監督にとっても正念場と言えるだろう。

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