【リーグワン】BL東京とS東京ベイのプレーオフ決勝はまさに頂上決戦 どちらが“カラー”を強く出せるか
2025年5月28日(水)12時10分 ココカラネクスト

モウンガのプレーは鍵になりそうだ(C)産経新聞社
リーグワン2024-25シーズンプレーオフ準決勝が5月24日、25日の両日に行われ、シーズン1位の東芝ブレイブルーパス東京(以下BL東京)と同3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下S東京ベイ)が決勝進出を決めた。決勝は前シーズン優勝チームと前々同優勝チームとの対戦という、まさに頂上決戦と言って良い対戦カードとなった。
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5月24日に行われた第1戦。BL東京が、シーズン5位ながら、プレーオフ第1戦でシーズン中に二度対戦して二度とも敗戦したブルーレブズ静岡に勝利したコベルコ神戸スティーラーズ(以下神戸S)と対戦した。
勝ち運に乗った状態の神戸Sの勢いに気圧されたのか、BL東京はキックオフ直後に二度続けて反則を犯し、PGを決められて0-3といきなり劣勢を強いられた。
しかし終わってみれば神戸Sの得点はこの3点だけ。神戸Sは時折優れた個人技でビッグゲインし、トライラインに迫るシーンを見せたものの、最後の最後でBL東京の粘り強いディフェンスに阻まれて結局ノートライに押さえ込まれた。
後半35分過ぎまで17-3とスコア上は拮抗してはいたものの、BL東京のディフェンス網は磐石と言って良く、神戸Sは最後まで打開策を見出すことができなかった。逆に最後の5分にBL東京のしつこいフィジカル勝負に根負けして2トライ2ゴールを許し、最終的には31-3と大差がついてしまった。開始直後以外はミスらしいミスもなく、リーグでも屈指の攻撃力を持つ神戸Sをほぼ完璧に抑え切った快勝だった。
5月25日の第2戦は、シーズン2位でリーグワン初年度王者の埼玉ワイルドナイツ(以下埼玉WK)と、S東京ベイとの対戦。この両チームはいずれも強力なフィジカルを活かしたタフなディフェンスからの逆襲を得意としており、各局面で濃密なフィジカルバトルが展開された。
バトルそのものはほぼ互角だったが、勝敗を分けたのはほんのちょっとした勝負勘の差。開始早々のマルコム・マークスのトライはWK埼玉の密集サイドディフェンスが整わないうちの速攻で奪ったものだったし、前半10分のトライも埼玉WKSOの山沢京平のキックに恐れることなくチャージに行った藤原忍の果敢さが産んだものだった。『JSports』の解説後藤翔太氏が「両チームともに、グラウンドのどこの地点でもゴール前5メートルと同じようなフィジカルバトルを展開させる」と語っていた通りの、一瞬たりとも気を抜くことができない展開が80分間続くなか、S東京ベイは開始早々の二つのトライで得たアドバンテージを最後まで手放すことなく、28-24で激戦を制した。筆者はフィジカル勝負なら埼玉WKに分があると予想していたのだが、見事にその予想は覆された。
決勝は、相撲に例えて言うなら「組んでS東京ベイ、離れてBL東京」とでもなるだろうか。セットプレー並びに密集からのピックアンドゴーが多発し、複数人数でのユニットで戦うことが多くなればS東京ベイが、BKにボールが回り、個々人のランプレーが多い展開になるのならリッチー・モウンガという世界屈指の司令塔に率いられた、決定力の高いBK陣を有するをBL東京が’優勢に試合を進めることになるだろう。
その上で勝負の分岐点となるのはミスの多寡となると予想する。BL東京は準決勝で相手がシンビンで一人少なくなっているスクラムで押し込まれたり、ラインアウトで2回キレイにスチールされるなど、セットプレーにやや不安材料を残している。ミスが多くなればセットプレーの機会が増える。S東京ベイは定評ある埼玉WKのスクラムを度々押し込んでいたし、南アフリカ代表マルコム・マークスや日本代表候補の江良颯がスローワーを務めるラインアウトも安定している。また準決勝で50メートル近い距離のPGを2本決めたハラトア・ヴァイレアのような「飛び道具」もある。
どちらがミスなく自分のカラーをより強く出せるのか。いずれにしても、今シーズンの締めくくりにふさわしい熱戦を期待したい。
[文:江良与一]