23歳の幕下・颯富士が引退 飛龍高出身の元高校横綱...関取目前まで番付上げるも度重なるケガで決断
2025年5月28日(水)16時22分 スポーツニッポン
日本相撲協会は28日、夏場所限りで引退した力士を発表した。既に発表されている元小結・北勝富士(32=八角部屋)、4月14日に外陰部壊死性筋膜炎で33歳の若さで死去した序二段・若戸桜(式秀部屋)の他に、幕下以下9人の引退が新たに発表された。
夏場所を3勝4敗で取り終えた西幕下37枚目の颯富士(23=伊勢ケ浜部屋)が引退。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)の定年を前に、5年間の力士人生に終止符を打った。足首や首のケガに苦しみ、23歳という若さで現役引退を決断した。
静岡県藤枝市出身の颯富士は、飛龍高3年時に全国高校総体で優勝して高校横綱のタイトルを獲得。同学年に熊本・文徳高の草野直哉(現十両)、鳥取城北高のダワーニンジ(のちの幕内・北青鵬)、和歌山商高の花田秀虎(のちのアマチュア横綱)ら強豪選手が集う中で頂点に立った。12月の全日本選手権では大学生2人(現幕下の豪刃雄と藤闘志)を破って決勝トーナメントに進出。鳴り物入りで伊勢ケ浜部屋に入門し、2020年初場所で初土俵を踏んだ。同期生には、飛龍高の同級生の天道山(現幕下=藤島部屋)や栃木・矢板高出身の生田目(現十両=二子山部屋)らがいた。
序ノ口デビューから3場所連続6勝1敗の好成績を収め、各段優勝こそなかったものの所要5場所で幕下に昇進。そこから1年以上は勝ち越しと負け越しを繰り返す一進一退の日々だったが、幕下中位の壁を突破して2023年夏場所で自己最高位となる西幕下4枚目まで番付を上げた。その場所は、3勝3敗で迎えた7番相撲に敗れて惜しくも負け越し。関取昇進のチャンスを逃した。翌名古屋場所で右足首を骨折。2度手術し、復帰に向けての稽古中に悪化させるなど苦しんで4場所休場が続いた。当時は飛龍高の1年後輩にあたる熱海富士が幕内で大活躍しており、先輩としての焦りもあったという。2024年春場所で序二段から再起。日常生活には固定装具が外せなかったが、取組時だけテーピングで固めての強行出場だった。
そこから3場所連続で勝ち越して同年秋場所で幕下に復帰。稽古場では草野や天照鵬、松井といった幕下上位勢とも互角に渡り合って期待が高まっていたが、再び途中休場で三段目へ番付を下げた。その後また3場所連続勝ち越しも、最後の場所は3勝4敗で負け越し。高校時代から痛めていた右膝に加え、左股関節、右足首、さらには首も痛めるなど力士人生はケガとの闘いだった。今後は地元に戻り、角界での経験を糧に第二の人生を歩んでいく。
◇颯富士 元揮(はやてふじ・げんき)本名=大桑元揮。2001年(平13)12月6日生まれ、静岡県藤枝市出身の23歳。やいづ少年相撲クラブで小1から相撲を始め、5年時に全日本小学生優勝大会3位。藤枝市立高洲中3年時に全国都道府県中学生大会16強。飛龍高1年時に全国高校選抜大会団体優勝。3年時に全国高校総体個人戦優勝(高校横綱)、国体個人戦4位、全日本選手権32強。伊勢ケ浜部屋に入門し、2020年初場所で初土俵。2021年春場所で幕下に昇進。最高位は西幕下4枚目(2023年夏場所)。通算成績116勝74敗27休。身長172センチ、体重139キロ。