3年ぶりの公開車検でル・マンウイークが開幕。特別カラーも続々登場【車検初日Topics】

2022年6月4日(土)13時16分 AUTOSPORT web

 6月3日金曜、ル・マン市街中心部のリパブリック広場に39台の参戦車両が集まり、第90回ル・マン24時間レースの公開車検がスタートした。市内で車検が行われるのはコロナ禍前の2019年以来、3年ぶりのこととなる。


 この日のル・マン市内は午前中に激しい雷雨に見舞われたが、午後は晴天となり、暖かい気候となった。


 チームとドライバーは参加受付、写真撮影、メディア対応やステージでのトークショーなどをこなし、サーキットから運ばれてきた車両はふたつの計測所を通過した後、ドライバー・スタッフらとの記念写真撮影に臨む。


 2日間にわたる車検のスケジュールは事前に発表されており、今年のトップバッターとなったのは木村武史もドライブするケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evoだった。

ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo


■他レースとのバッティングで欠席者多数。“写真ボード”も登場
 3〜4日に行われる車検、そして5日にサルト・サーキットで行われるテストデーの日程は、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のデトロイト戦、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのポール・リカール戦、そしてフォーミュラE世界選手権のジャカルタ戦の週末とバッティングしている関係で、多くのドライバーが欠席を余儀なくされている。


 デトロイトでのIMSAに出場する12名のDPiドライバーのうち10名がル・マンに参戦するが、彼らは車検を欠席している。GTDドライバーのヤン・ヘイレンとベン・バーニコートも同様に欠席する。


 なお、LMP2クラスにエントリーするベクター・スポーツは、セバスチャン・ブルデー(IMSAに出場)とニコ・ミューラー(GTWCヨーロッパに出場)の欠席を補うため、記念撮影ではふたりのドライバーの写真が切り抜かれたボードを用意した。




■例年より多い“アメリカからの客”
 LMP2のクール・レーシングは、先日納車されたばかりの100台目のオレカ07をル・マンで走らせる予定だ。ポール・リカールでのシェイクダウンの後、チームはスペインのアラゴンでテストを行っている。


 ル・マンでのドライバーとなるリッキー・テイラーは、IMSAデトロイト戦とのバッティングの影響により車検には参加しなかったが、そのアラゴンでのテストには参加したという。


「彼や、他のチームスタッフと親しくなることができた」とチームメイトのイーフェイ・イェは言う。「彼は素晴らしいペースを示してくれたので、いいラインアップになったと思う」。


 なお、IMSAに参戦するウェイン・テイラー・レーシングのテクニカルディレクターであるブライアン・ピラーは、リッキー・テイラーとともにル・マンに向かい、クール・レーシングのエンジニアリングを支援するという。


 同じくアメリカからル・マンへ赴いている人物として、ヘンドリック・モータースポーツのスタッフがいる。


 2023年の“ガレージ56”枠で、次世代NASCAR車両のカマロを走らせるヘンドリックからは、事実調査の一環として、かなりの人数がル・マンに参加する予定だ。プログラム・マネージャーでヘンドリック副社長のチャド・カナウスは、金曜日の公開車検で目撃されている。

LMGTEプロクラスに参戦するコルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.R


■特別カラーも続々登場
 スピリット・オブ・レースの55号車フェラーリ488GTE Evoは、イオリス女王エリザベス2世のプラチナ・ジュビリーを記念して、カラーリングに若干の変更を加えた。車体にはゴールドのタッチが追加され、左サイドには君主のシルエット、右サイドには王室の記章が描かれている。

スピリット・オブ・レースの55号車フェラーリ488 GTE Evo


 また、ニールセン・レーシングのオレカ07は、メキシコの『死者の日』をモチーフにした、特別カラーリングをまとって登場した。


 ドライバーのロドリゴ・セールズはアメリカとメキシコのハーフであり、11月2日の彼の誕生日と重なることが多いこの祭りの日を表現したかったのだという。マシンには死者の日のシンボルであるメキシカン・スカルとともに、彼およびベン・ハンレー、マット・ベルが飼っているペットの犬も描かれている。

LMP2クラスに参戦するニールセン・レーシングのオレカ07・ギブソン
LMGTEプロクラスにスポット参戦するライリー・モータースポーツの74号車フェラーリには、蜂が描かれている


■ニコラ・ラピエールは2度現る
 車検初日、ハイパーカークラスからはアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソンのみが姿を見せた。


 スパ・フランコルシャンで2台のGR010ハイブリッドをル・マン前にシェイクダウンしたトヨタGAZOO Racingとは異なり、アルピーヌは第2戦スパ6時間レースと、第3戦となるル・マンの間に走行を行っていない。


 アルピーヌのチーム代表であるフィリップ・シノーは、チームがリザーブドライバーを採用する予定はないと語っている。シノーは3月、現在AFコルセのGTEアマドライバーであるガブリエル・オーブリの後任として、新たなリザーブドライバーを探すことを示唆していた。


 現在もその計画があるかどうか尋ねられたシノーは「ない」と答えた後、こうジョークを飛ばした。


「だが、必要なら私がドライブする準備はできているよ!」


 なお、チームのドライバーであるニコラ・ラピエールは、クール・レーシングのチーム代表も務めているため、この日2度、車検場に登場した。

アルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン


* * * * * *


 車検2日目となる4日土曜日には、残る23台のマシンがリパブリック広場に姿を現す。ハイパーカークラスを戦うグリッケンハウス・レーシングやトヨタGAZOO Racingが登場したあと、ポルシェGTチームの2台のLMGTEプロ車両が、ラストを締めくくる予定となっている。

リシャール・ミル・レーシングチームからLMP2クラスの戦いに挑むセバスチャン・オジエ(中央)も車検初日に登場
車検場で計測を待つスピリット・オブ・レース71号車フェラーリ488 GTE Evo

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