敗戦のトヨタ佐藤恒治社長「『挑戦者たれ』。失敗は挑戦をした者にしか起きない」ル・マン後コメント全文

2023年6月12日(月)17時34分 AUTOSPORT web

 6月10〜11日、フランスのル・マンに位置するサルト・サーキットで開催されたWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レース。決勝レースが行われた翌日の12日(月)、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のリリースを通してトヨタ自動車の佐藤恒治社長と、前社長のモリゾウ氏からコメントが発表された。


 大会直前の5月31日にFIA国際自動車連盟が発表したハイパーカークラスのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)により、トヨタGR010ハイブリッドは37kgの重量増、同じく24kgの車重加算を受けたフェラーリ499Pよりも16kg重いクラス最重量マシンとなったなか、TGRは大会6連覇を目指しル・マン24時間レースへと臨んだ。


 6月7日(水)に行われた予選では、小林可夢偉組7号車が3番手、平川亮組の8号車が4番手タイムを記録し、最終予選のハイパーポールへ進出。翌日の8日(木)に行われたハイパーポールではタイム計測を赤旗に阻まれながらも8号車が3番手、7号車が5番手のタイムを記録し、それぞれ2列目、3列目のスタートグリッドを獲得した。


 不安定な荒天も影響し、序盤からアクシデントが続出する展開となった100周年大会の決勝では、レース折り返しの12時間が経過したあたりから8号車トヨタと51号車フェラーリ499Pの一騎打ちに。一時は8号車が40秒のリードを築くいがた、タイヤパンクチャーなどの影響からリードを失い、スタートから15時間半が経過した時点で51号車フェラーリに逆転を許してしまう。


 2番手となった8号車は、4連続スティントを担当したブレンドン・ハートレーが好タイムを連発する気迫の走りを見せるも、51号車をかわすほどの距離に接近することは叶わず。最終スティントでは、平川がアルナージュコーナーで痛恨のコースオフを喫し万事休す。その後ポジションをどうにか守り切り総合2位でチェッカーフラッグを受けた。


 一方の7号車は、スタートから8時間目を迎えたタイミングのテルトル・ルージュの入口で多重クラッシュに巻き込まれ、レース3分の1の段階でリタイアとなっている。


 そんな各ドライバーやチームに向けて発信された佐藤社長のメッセージでは、100周年記念の大会でもあったル・マン24時間を戦い抜いたチームメンバーを労う言葉が、モリゾウ氏のメッセージでは“場外の戦い”にも屈せず正々堂々と戦った結果としての準優勝を誇る旨が述べられている。


 佐藤社長、モリゾウ氏のコメント全文は以下のとおりだ。


* * * * *


●佐藤恒治社長(トヨタ自動車株式会社 社長)


100周年という記念の年に、6連覇という大きなプレッシャーがかかる大会で、トヨタWECチームは全力を出し切りました。


応援してくださった全ての皆さまに、心から感謝申し上げます。


チームと共に1年を歩んできて、私はチームの色々な姿を知っています。


可夢偉代表が、日々チーム全員と対話し、闘いの意義やチームワークの大切さを現場で伝えてきたことを。


マイク、ホセ、セブ、ブレンドン、亮、そしてドライバー可夢偉、ドライバー達が、アスリートとして自らを追い込み、速いクルマを創ってきたことを。


メカニックが、この日のために一つひとつの作業を磨き、タイヤ交換の練習を毎日毎日、繰り返し行ってきたことを。


一昨年と昨年のル・マンで起きたトラブルをエンジニアが見事に解決し、クルマの信頼性を格段に高めてくれたことを。


みんなで思いをひとつにして、チームはモリゾウとともに、トヨタのWECへの挑戦を支え続けた内山田とともに、闘いに挑みました。


どんな状況であっても、諦めずに努力を積み重ねて挑戦した結果だから、チーム全員を私は誇りに思います。全員がヒーローでした。


私たちの挑戦には、いくつか失敗もあったかもしれません。しかし、失敗は挑戦をした者にしか起きないのです。限界を超える挑戦には、途方もない勇気が要ります。その勇気こそが、未来を変えていく原動力だと私は思います。


「挑戦者たれ」。


今年のル・マンは、次の100年をどのように迎えるべきなのかを私たちに教えてくれました。


たくさんの応援をありがとうございました。私たちは、これからも闘い続けます。


●モリゾウ(豊田章男トヨタ自動車株式会社 会長)


今年のル・マン24時間レースは“場外の戦い”が、みんなのアスリートとしての戦いを邪魔していました。


このことが本当に悔やまれて、残念で、申し訳ない気持ちです。


しかし、そんな中でチームのみんなは正々堂々と戦ってくれました。


2位完走の結果は本当に素晴らしいです。みんな、ありがとう。


この準優勝をみんなで自慢しましょう!


チームモリゾウ全員で戦った証として胸を張りましょう!

レース開始前にチームを鼓舞する豊田章男会長 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース

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