階級上げで問われる“怪物の真価” フルトン有利の下馬評もあるメガマッチで井上尚弥に期待したくなる理由

異次元のパワーで数多の猛者たちを沈めてきた井上。激戦必至のフルトン戦に向けては厳しい予想もある(C)Getty Images

　至極のバトルが予想されるメガマッチまで1か月を切り、その注目度は日増しに高まっている。来る7月25日に来る7月25日に東京・有明アリーナで実施されるWBC＆WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者スティーブン・フルトン（米国）と井上尚弥（大橋）の一戦だ。

　プロキャリアで無敗を誇る両雄は、互いに異なるファイトスタイルを武器としており、試合展開の予想も容易ではない。とりわけ、“モンスター”と称される井上の日本人離れしたパワーが階級を上げた影響を受けるのかどうかは意見の分かれるところでもあるのだ。

【動画】英紙が愕然としたスパー風景！ 井上尚弥の破壊力抜群の左フックを見る

　すでにさまざまな識者が興味深い持論を展開している。元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーJr.氏の父メイウェザーSr.と叔父のジェフ・メイウェザー氏の公式YouTubeチャンネル「The Mayweather Channel」で「フルトンが勝つ」と断言したのは、元WBAスーパーライト級王者のモーリス・イースト（フィリピン）だ。

　3階級制覇王者ノニト・ドネアの“師”としても名高いイーストは、フルトン勝利を予想する理由を端的に語っている。

「なぜって？ それはフルトンの方がナチュラルに身体がデカいからだね。イノウエは階級を上げて1試合目だし、簡単じゃないと思うよ」

　もっとも、階級上げによってより効果を発揮するのではないかという見方もある。それについては他でもない井上自身も言及するところだ。過去24戦21KOという圧倒的戦績を誇る偉才は今年3月の会見時に「まずパワーでは負けていないかな」とし、「一瞬のスピードも自分の方が上」と冷静に語った。

　リーチで上回るフルトンが試合巧者ぶりを発揮すれば、さしもの井上も翻弄される可能性はゼロではない。それでも「モチベーションが生み出すパワー。階級を上げていきなりこういうビッグマッチができるのはモチベーションが上がります。どういう試合ができるかわからないけど、当日の自分に期待したいですね」と語っていた怪物が真価を発揮するのかは興味深いところである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]